第3話

「夜空って遠くまで見渡せそう」

家族で天体観測をする事になった。ういがずっと夜の空を長い間見たいと言ったから。昼寝させて夜星を見ることにした。

「ナツメも浪漫ちっくなこと言うのね。そうね、昼より夜の方が遠くまで見えるものね」

りんなはにこにこしていた。普段中々家族揃って何かをする事は少ないので。神の国は夜真っ暗なので星がよく見えた。

「ずっとあっちから何かが来るよね」

ういがある方向を指差しそう言った。みことはういの示す方向を見た。何かが来る?何が?と聞くと分からないと答える。

「うん。父さん母さんには感じない?向こうから何かが降ってくる。色んな物が。まだよく分からないけどずっと気になってた。夜はどっちから来てるかよく分かる」

ナツメもういの示す方向をじっと見つめていた。ふたりが天体観測をしたかったのはこの為だったのかと、みことは驚いた。

みことは魔法でふたりの示した方向を印して後で調べようと考えた。

「幼稚園で魔法使っちゃ駄目って言うけど、怪我を治す魔法も駄目なの?今日うい使っちゃったの。ごめんなさい」

多槻達が地球の医学を学んで治療の魔法が少しずつ開拓されていった。まだまだ本格的には使えないけれど、簡単な怪我などは魔法で治せるようになった。人間の身体の構造が分かったからだ。

「基本的には駄目だけど、誰かを助けるためならいいよ。でも助けるために誰かを傷つけるような魔法なら、許されない。それだけは覚えておくんだ。でも。命がかかってるなら父さんを呼ぶんだ」

ういは怒られなかったので安心してこくこくと頷いた。ナツメはそれをじっと眺めていた。

「誰かを助けるために誰かを傷つける?難しいや」

まだ人生経験が少ないナツメには難しかったのだろう。天を仰いで寝そべりながら大の字になる。

りんなは割と長い間立って夜空を眺めていた。なにかが起こる気がして、不安で座っていられなかった。

「りんな、ずっと立ってて大丈夫か?無理はするな。いつもそんなに動けないんだから」

そんなりんなを見て不安になるみこと。ういとナツメはそんな親を見てにやにやした。

「父さんと母さんはいつまでも仲良しだよな。純ちゃん所みたいに浮気だーって喧嘩してなくていいよな」

ナツメがそう言うとりんなとみことは顔を見合わせた。今どきの園児ってそんなのなの?と。

「私はお父さんとお母さんが仲良しなの嬉しいよ。私もお父さんみたいな優しい人と結婚したい」

ういはにこにこしている。みこともりんなも少しほっとして微笑み返す。

「きっと見つかるよ。ういが他人を大切にしていればいつか出会えるよ」

ういはみことに抱き上げられて喜んでいた。天体観測はただ家族で空を眺めてるだけだったが、少しみことの研究に先が見えそうだった。

物凄いエネルギーは降ってくるがマイナスが大きい。そのエネルギーのせいで災害が不意に起こってしまうのだ。それを止めたい。その先を調べることにした。

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