第27話 インターネットで答え合わせしたい心理

 私はこのエッセイや何か文章を書くとき、自分の中から出てくる言葉を綴ろうと思っています。だから、何も調べないでそのまま思いついたことを書くことが多いです。


 でも、裏を取りたい、他の人はどう思うか調べたいという欲求に駆られることもあります。その場合は調べてみることもあるかも。



 学校のテストには正解があります。ちょっとでもミスったら不正解になり点数をもらえません。


 そういった教育を受けていると、無意識のうちにどんな問題にも正解があるように思い込んでしまいがちですが、実際の現実世界では正解のない問題がほとんどです。


 右の道と左の道のどちらを選ぶか。A社とB社のどちらで働くか。C太郎とD次郎のどちらと結婚するか。人生選択のほとんどには、正解・不正解はありません。選択した方が正解なんでしょう。


 学校の授業で正解のある問題が多くある一方で、道徳や国語の授業など、どう思ったか? とか、この主人公はどう感じただろうか? という答えのない問いを扱う授業もあります。


 自分が子ども時代どうだったかはあまり覚えていませんが、最近の授業では、答えの決まっていない問いに対しての発言を肯定していこう、と先生方は取り組んでいるように思います。

 その答えがどんなに見当違いなものであっても、「〇〇さんはそう思うんですね」とまず肯定します。これはとても良いことだと思います。子どもの自信に繋がりますし、次に発言する人も否定されないんだと安心するでしょう。


 しかし、子ども達の中には正解がない問いに対しては、答えられない、という子もいるようです。気持ちは何となくわかります。


 そこには『間違えたくない』という強い怖れがあります。


 間違えることは恥ずかしい

 間違えて自分のダメさを晒したくない

 変な答えを言ったら怒られそう

 馬鹿な答えを言って笑われそう

 自信がない……


そのような感情があるかもしれません。


 

 そのように『間違えたくない』という怖れは、大人になってもあります。自分の意見や考えに自信が持てない。誰かに認めてもららないと自信が持てない。  


 そんな時にインターネットが役に立ちます。インターネットが使えるようになってから、さらにスマホが普及してから、私達は気軽に簡単に何でも検索しできます。


 インターネットで検索すれば、例えば自分が抱えている悩みやテーマなど、インターネット上で既に誰かが考えや意見を述べているケースが多いかもしれません。そのように他の人の意見を参考にできることは大変便利です。


 このように、世論とか世間の考え、専門家や評論家やインフルエンサーの意見、もっともらしい個人の意見などをすぐに調べられる環境があります。


 一つ懸念されるのは、自分の意見を吟味する前にそういった周りの情報を取り込んで自分の意見にしてしまうということがあるかもしれないということ。ちゃんと自分の頭で考えましょう。


 それらを一つの意見として参考にする程度がちょうどよい距離の取り方かと思います。



 正解のない問いは、正解がないのだから間違えもありません。


 そして、仮に正解・不正解がある問題があったとしても『間違ってもいい』のです。


 人間として生まれてきた以上、立派そうに見える人だって間違えることもあるし、みんなどこか未熟な部分があったり、ポンコツな部分があったりするものです。


 ちびまる子ちゃんのおじいちゃんを思い出してみてください。子どもみたいで、微妙に間の悪い発言をしたり、色々とやらかしてますが、そこが味があって愛すべきキャラクターを形作っています。私はまる子のおじいちゃんが大好きです。


 大人は率先してまる子のおじいちゃんのようにありのままのダメな自分を隠さず示すことをすれば良いでしょう。子ども達はそれを見て、大人でも間違えてもいいんだ、間違えても大丈夫なんだと思えるかもしれません。



 文章などで、何か意見を述べることにおいても、考え方に間違えなんてないから一般の人はどう思っているんだろうとか気にしなくてもいいし、事前にネットで答え合わせなんてしなくてもいいということです。


 偏っていても、未熟でも、それが今の自分だから仕方がない。人と違ってもいいと思います。


 正解のない問いには、確かな答えもありません。正解があるとしたら一人一人の中にあるもの。それが答えです。人の数だけ答えはあるのだと思います。


 インターネットの中にある答えに囚われず、『自分の中にある答え』にフォーカスしようと思います。



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