第81話 強化体オーガ
俺は我が謹製魔導機雷をマブクロから取り出し、それをところかまわず大量にばらまいた。
当然、マブクロから目に見えない何かを取り出してそこらにばらまく俺の姿は周囲からは滑稽に見えるだろう。
ただ手を動かしては周囲に巻く姿は何かのジェスチャーをしているようにしか見えないからだ。
元スコットのオーガは俺を見て怪訝な表情を見せた。
「何をやっているスドウ?オレ様のパワーを見て気がおかしくなったのか?辞世の句の代わりにパントマイムごっこが貴様の遺言かよ、ガヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!」
「スコット様、我々も加勢を!」
周囲の兵隊の声掛けに元スコットは怒鳴る。
「こいつは俺の獲物だ!手えだしたら承知しねえぞ!!少し待ってろ、ガキの首を取ったらにはエルフの方を楽しませてやるからよ!」
高笑いするブラックオーガをよそに、俺は走ってオーガの周囲を回るように移動する!
当然、走りながらもマブクロから例のブツを瞬時に周波数入力しながらばらまき続ける!
「周囲を回りながら俺の注意をそらす気かよ?」
「相手の注意をそらして集中力を消耗させるやり方か。ボクシングなら有効かもしれんが」
「ちょろちょろうぜえんだよクソガキいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」
ブラックオーガはご自慢のハルバートを片手で横なぎに振り回した!
ズガアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!!!
周囲の森の木々が豆腐のようにぶった切られ、ドジャッッッという地響きを立てながら倒れた。
俺はそれをちょこまか動きながらかわし、そこら中に魔導機雷を設置し続ける。
「バカにしやがってガキめ!俺はパワーだけじゃねえってことを貴様に教えてやる!!」
「はあああああああああ!!!!!!!」
何!?
脳内のステータス表示に高エネルギー反応!
魔力が極限まで濃縮されていく!!
「まずい!!ルイーゼさん伏せろ!」
「はいっ!」
俺はギリギリ立ち止まってから、奴が魔法を放つ直前に脇に飛んで伏せた!
「メテオフラッッッシユウウウッッッッッッ!!!!!」
ブラックオーガの右手が太陽光のように一瞬光った後、強烈な熱線が須藤たちに向けて放たれた!
ドググオオオォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!
「グフッ!」
俺はメテオフラッシュの爆風に吹き飛ばされて、近くの木に激突した!
今ので設置した魔導機雷のいくばくかが誘爆したせいで爆発の衝撃も上がってしまった。
「メテオフラッシュ。上級魔導士しか使えない技をオーガが使うなんて!?」
このデカブツ、魔力まで一気にけた違いに上昇したと思ったら上級攻撃魔法まで使えるってか!?
よし!
すさまじい戦闘力と魔力のオーガを前に、しかし須藤は一瞬ニヤリと笑った。
「オレ様を筋肉だけのお馬鹿さんとでも思ったか?人は外見で見ちゃいけないって学校で習わなかったのかよ!ぎゃはははははは!!!!」
「今ので分かったぞ!お前何か爆弾か何かを設置していたな!だが、ちゃちな爆弾ごときがオレ様の肉体を滅せるなどと思ったか?」
「“冥性鉱”と“神性銀”の組み合わせで強化されるのは戦闘力と魔力だけではない!肉体そのものが生物の限界を超えた強度を得られるのだ!俺を殺したければ原爆でも持ってくるんだなあああ!!!!」
「スドウさん!!ここは逃げましょう!!オーガ種は元から強い上にさらにメテオフラッシュを使えるオーガなんて聞いたことない!!絶対勝てるわけない!!!」
ルイーゼの表情には明らかに余裕がない。
高笑いするブラックオーガ強化体をよそに須藤はルイーゼに右手をサムアップした。
「それは心配に及ばんよルイーゼさん!」
「無茶よ!あいつの体からは対魔法防御の魔力も感じる!並の攻撃魔法とかも通用しないわよ!」
「大丈夫!とっておきをこいつにお見舞いしてやるからよ!」
「何だクソガキ!?絶望に震えてとうとう頭が発狂し始めたか?ぎゃはははははは!!!!」
「これだけの相手だ。見せてやる。本気版を!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます