第57話 ガトリングの戦い

「おー久しゅうな、ブラッディデーモン!!お前は確か弟か?」


刃を首の後ろ側、人間のもっとも弱い箇所に突き付けられても魔女の表情には余裕のまま。


魔女の背後で両刃のナイフを突きつけるモンスターは全身が血の様に真っ赤な皮膚に覆われた悪魔。


「デーモン種の最上級種!?初めて見た!」

須藤の驚きを察したデーモンはちらりと彼を見てすぐに目の前の魔女に視線を戻す。


「全くオレはついている。わざわざ兄貴の復讐の対象がわざわざお出ましになるとはな!」


「それはこっちのセリフじゃよ、ケツの赤いデビ公。おぬしにはこの小僧の修行の生贄になってもらう」


デーモンの眉間に小刻みなしわが寄った刹那!


魔女の姿がその場から消えた!


同時に背後の何かも消えた!


どこだ!?


・・・上か!


俺が上を見上げた時、2名は天井の高い洞窟の天井まで約3メートルほどまで飛び上がっていた。


「魔殺拳・飛龍の型!」


空中で魔女の高速正拳突きの連打が赤いデーモンに打ち込まれる。


それを両腕全体で受け流すデーモンは間髪入れず魔女の顔面に右ひざを打ち込む。


空中で素早くそれをかわし、間合いを開ける魔女。


息つく暇もなくガトリングは高速詠唱を始めた!


「ドラグーンフラッシュ!!」


魔女の両手から飛龍の形をした電撃が放たれた!

激しい光をまき散らしながら、龍の形をした電撃が目の前のデーモンを呑み込まんと襲い掛かる!。


デーモンはしかし表情を変えずに不規則に洞窟の空中を飛び回り、高速で逃げ回る。


デーモンは突然鍾乳石のまえで一瞬停止する。


そのデーモンを電撃が直撃した!


あの魔女の単体での攻撃魔法を須藤は初めて見た。


「あれほどの電撃なら即死・・・・え!?」


直後!


ドガッ!!!!!!!!


魔女の帽子付近に叩きこまれる重い拳!


地面に転落した瞬間、地表が割れてすさまじい土煙が上がる。


かなりの衝撃で上空から落ちてきたことは明白。


須藤は上空での戦いを見るのに目がついていくのがやっとだった。


埃っぽい土煙が晴れてくると、魔女がめんどくさそうにローブや帽子に着いたほこりを払っている。


全くダメージを受けている様子がない。


一体何を食ったらあんな動きができるんだと須藤は魔女の強靭さを疑った。


空中からまっすぐ地表におりてきたデーモンは何かの布で全身を覆っていた。


「ペッ!ゴム引きでわれの電撃を防ぐとは。原始的な奴め!」


「黙れ!戦いにおいては何を使ってもよい。それを教えたのはお前だぞガトリング!」


「そうだったかのう~」


「ふざけやがってこのクソ魔女!!!!貴様俺の兄貴と魔法で勝負するとかうつつを抜かして兄貴の魔宝玉の杖をただの木の棒とすげ変えて卑怯試合仕掛けやがって!!!!」


「何をぬかすか魔族の分際で!そんな甘ったれた能書きをほざくとはそれでも魔族か!」


「戦いに手段はない!勝てばよい、歴史は常に勝者が作り上げるのじゃ」


「この場で兄貴の仇を打つ!」


デーモンはゴム引きの布を放り投げると、両刃のダガーナイフを逆手に持ち、ダッシュして魔女との間合いを一気に詰めた!


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