第21話 魔物はいきなり襲い掛かってきた!
現地に到着後の俺たちに待っていたのはいきなりのバトルだった。
駐屯地手前でいきなり馬車が止まった。
駐屯地から上がる黒い煙の数々。
馬車の御者は我先に自分の武器と金目の荷物だけ荷台から回収して逃げ出したのだ。
俺たちはベルリオーネさんの号令の元、自分たちの武器などを取って駐屯地へ急いだ。
駐屯地へ近づくと、血と肉が焼ける臭いが鼻を突いた。
オークと飛行竜、それに肉弾系の表面が固いスライムの大群が北部前線近くの駐屯地に襲い掛かってきていたのだ。
現地には既に何組もの冒険者のパーティや王国の騎士らがいて、駐屯地のすぐ目の前で敵味方入り乱れての戦闘を繰り広げていた。
「スドウ様!私とスコットさんから離れないでください!!」
「万物の源よ、我の呼びかけに答えその力を現せ!!」
「ダークスレイヤー!!!!」
ベルリオーネさんの持つ金属製の杖の先端から光り輝く閃光が程走り、前方10時から14時の範囲から襲い来る魔物の軍勢を一瞬で薙ぎ払うように倒した。
閃光を食らった魔物は体の一部が消し飛ぶ者、臓物をぶちまけてのたうち回る者がいた。
頭がなくなっているにもかかわらず惰性で剣を振りかざしながら突撃し、俺たちの手前で糸が切れた人形のようにドチャリと倒れこんで痙攣するオークの死体もあった。
ダークという名のつく魔法ながら光り輝くところを見て邪悪な者に効果を発揮する攻撃魔法なのはすぐわかった。
「スドウ様、まずはアークティスクリンゲで援護してください!」
「了解!!」
俺は愛刀アークティスクリンゲを抜き、叫んだ。
「唸れアークティスクリンゲ!!!!!!!」
青みがかった美しい白刃から吹雪とともに氷結系の攻撃魔法が繰り出される。
つららのような氷のスピアはオークの心臓を的確に射抜いた。
オーク6匹が心臓から逆流した血反吐を吐きだしてうつ伏せに倒れた。
傍らにいた肉厚スライムはカチコチに凍って動かなくなった。
俺の蹴りを受けるとガラス細工のように粉々になった。
いずれもあっけない死。
こんなにも簡単に殺せるのか。
「その調子ですスドウ様!スコットさんは背後から・・・・え!?」
スコットはベルリオーネが指示を出すよりも早く敵陣真っただ中に向かって走りだしていた。
走りながら手にした長い革ケースの中から得物を取り出した。
大きな革のケースを投げ捨てると全体が黒い色をしたハルバート。
槍の穂先と斧が合体した先端部分から柄の末端に至るまで黒一色で染められたそれは見る者に独特の恐怖を与える印象を受けた。
太陽の光に照らされても反射しないそれは槍の部分が長く、斧の部分は見かけ以上にコンパクト。
スコットさんはそれを片手で軽々と振り回す。
「ヒャッハハハハハハハハハハハー!!!!!!久々のクソザコ狩りよー!!!!!!!皆殺しだああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
バーサーカーのごとき叫びをあげながら僧侶戦士はハルバートを振り回し、オークやスライムを斧で顔を横なぎに斬る。
ワインレッドに近い血と脳みその破片、そしてスライムの半分凝固した卵のようなゼリー状のボデイが四方に飛び散った。
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!!!!!!!」
空中から急降下して襲い掛かる飛行竜の攻撃をかわし、空中に飛びあがって上から竜の頭を串刺し。
暴れる竜へスコットはハルバートを一旦引き抜くと、竜の脊髄めがけて得物を突き刺した。
通常なら鋼鉄並みに固い竜の皮膚を軽々と貫くハルバートが貫通した直後、竜は轟音を立てて地上に倒れ動かなくなった。
「お次は豚野郎の串焼きじゃあああああ!!!!!!!!!」
オークの顔面を固い金属製の柄で殴りつけ穂先で口を一突きにした。
そのまま200キロはあろうかというオークを持ち上げ、火炎魔法で火をつけて他のオークへとハルバートを振り回してその屍を投げつけた。
3匹のオークに火だるまの死体がのしかかるように命中し、異常な燃焼速度の火が3匹に瞬く間に燃え移り、3匹はのたうち回った。
オークたちは明らかにおびえ、徐々に退却を始める者が出始めた。
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