第22話 塔へダイレクト突入

俺たちは駐屯地には入らず、そのまま他のパーティたちと連携して辺境地帯の塔へとなだれ込んだ。


塔と言っても周囲に空堀を掘り、四方に材木で物見やぐらを立てた戦国時代の簡易的な城か砦みたいな要塞だった。


「スドウ様、スケルトンです!!!」


中から鋼の剣や槍で武装した甲冑姿のスケルトンが出てきた。


甲冑と言っても部分的な装甲しかない簡易型、もしくは朽ち果てて欠損している。


実物を始めてみるがよくゲームで出てくるので意外と驚かない。


保健室の人体模型が動いているくらいの感覚しかない。


俺はそれらを剣で力任せに叩いて倒す。


骨がボキりと折れ、剣で横なぎに兜の部分を叩くと頭部のしゃれこうべが野球ボールのようにかっとんだ。


俺は倒した連中が所持するマブクロを探す。


10体から合計青銅製ナイフ2本と、解毒薬5つ、銀貨15枚を回収する。


スケルトンどもが手にしていた鋼の剣はすべて、よく見ると刀身に火で焼けた跡がある。


念のため、それを拾って近くに転がっている木を削ろうとしたが、案の定全く切れなかった。


火事で焼けた刀剣は焼き身という。


一度焼き入れをして硬度を高めた刀剣類は炎などでもう一度あぶったりしたら焼きがもとに戻ってしまい、斬れないなまくらになってしまうのだ。


なまくらと確定した鋼の剣や、同じくスケルトンどもが身につけている甲冑は痛みが激しく修復もコストがかかるので放置する。


「上には何がいるんだ、ベルリオーネさん?」


「おそらく指揮するモンスターがいるはずです、油断しないで!」


俺たちは石造りの螺旋階段を上がっていく。


途中、階段の踊り場から下にいる俺たちに狭い中で弓を射てくる小柄な妖精みたいなの2匹に俺は馬車で試したフレイムボールを放った。


2匹は顔面が火だるまになってのたうち回り階段から俺たちの近くに転落し、そのまま悪臭を放ちながら燃え上がって動かなくなった。


3階にたどり着いたところで鉄格子の部屋を見つけた。


ベルリオーネさんがカギを開錠する魔法を使おうとしたが、スコットさんが腰の皮ポーチから何かを取り出した。


カニの身を取り出すフォークのような細くて薄い金属製のプレートのセット。


要はピッキングの道具だった。


「スコットさん、まさか鍵開けできるの?」


俺がいぶかしく尋ねると、スコットさんはやたら高揚したぎらつく目つきで得意げな表情になった。


「おうよ、ダンジョンやこういう敵拠点に入ったら間違いなく財宝やレアアイテムの保管庫があるからな!!そういうとこは大抵頑丈な鉄格子付なのは常識。金庫破りは冒険者にとって常識のスキルよ!!!!」


スコットは自らの両手をもみ、温めて指先の感覚を研ぎ澄ませた。


次いでこの鉄格子の鍵に合致するであろうピックを選別し、開錠を開始した。


目つきはその道の玄人そのもの。


ガジャン!!


鈍い金属音とともに鍵が開く。


同時にスコットは我先に宝物庫へ入り、宝箱をかたっぱしから開け、重量物が入っているであろう袋をナイフで切り裂いた。


切り裂かれた袋からきらびやかな輝きが金属音とともにあふれである。


黄金色に輝くをそれをわしづかみにしてスコットは歓喜の声を上げた。


「うしゃしゃしゃしゃ!!!!!金金金じゃあああああ!!!!!!!!」


俺とベルリオーネさんはタダ黙って見ていた。


先ほどのすさまじい戦いぶりといい、この財宝を前にしての狂乱ぶりと言い、正直怖い・・・。


だが、先ほどから他の冒険者を見てもやっていることは同じ。


モンスターを倒したら冒険者たちが真っ先にすることはマブクロを持っているか確認することだ。


持っていたら中を必ず調べてアイテムか金目の物がないか調べる。


マブクロ自体も収納量が大きい上級モデルなら中古でも高値で売れるとスコットさんが言っていた。


俺は狂乱するスコットさんを尻目に、俺も金貨や各種宝石がちりばめられた宝剣を回収して自分のマブクロに入れる。


ベルリオーネさんは部屋の何かを調べていたが何なのかは分からない。

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