第4話 帰還

設定が甘く、色々と気になる点があり、物語の大筋は変えず、設定をより作り込み、「新・吹雪の国」として、もう一度、一から投稿いたします。


ダゴン襲来から年月が経ち、14歳になった。

エクリプス「ジーク、ここから出る時が来た」

私「本当ですか?」

エクリプス「明日、深淵の出口へゆく。必要な物は早朝渡す。だから早く寝ろ」

私「分かりました!」

次の日

ベッドから起き上がり、朝食を食べ、服を着替えた。

師匠に云われて工房で待っていると、師匠の召喚人である「デミウルゴス」が入って来た。

デミウルゴス「エクリプスは倉庫で必要な物を探しています。それまでに、貴方へ贈り物を一つ、私から魔導印を贈らせていただきます」

そう云われて、両方の二の腕と両手の魔導印を彫られた。左手の甲は瞳が描かれ、左手の全ての指の外側に魔導印が彫られ、右手は人差し指と中指の外側に彫られて、右手の甲は幾何学模様が彫られた。

デミウルゴス「エクリプスが探し物を見つけた様です」

私「ありがとうございます」

デミウルゴス「些細な物です。さぁ、エクリプスは家の前で待っています」

玄関に行くと、師匠が大きな布と大きな杖を持ちながら待っていた。

エクリプス「私からの選別の品だ。ローブと杖だ。このローブは巨大な古龍の逆鱗で作られた物で、魔力を込めれば透明になったり色が変わる。この大きな杖は180センチで、賢王の魔力で作られた魔力の塊を嵌め込んだ杖だ」

手渡されたローブは白を基調としたデザインで、黒茶色の革ベルトで布を固定している。杖は「ヒヒイロカネ」と云う遠い国の幻の金属で魔力の塊を囲うように貼り付けられ、持ち手やほかの部分は「カルマ二ウム」と云うシュネークランツでしか見つからない希少な金属(色は白だが、変える可能性あり)での逸品だ。

私「師匠、本当にこれを貰っても良いのですか?」

エクリプス「杖は元々預かっていた物だが、持ち主はもう死んでいるだろうし、お前の様な者が使った方が本人も喜ぶだろう。そして、ローブは元々私が使っていたが、今はもう使わん」

私「なるほど…。であれば喜んで貰います!」

エクリプス「さぁ、早くゆくぞ」

私「はい!」

エクリプスに付いて行った。

一時間ほど歩き、今までの場所とは段違いな場所に付いた。そこは、白く燦燦とした灯りが天井から裂けて漏れ出していた。圧巻な光景に驚いていると、師匠が口を開いた。

エクリプス「ここに全ての魔力をじっくり注ぎ込んで魔術を放つんだ」

そう云うと、師匠は私の後ろから私の両手に杖を掴ませ、「集中し、魔術を放つんだ。私も魔力をお前に渡す。召喚人達を出して魔物の相手をさせるんだ」と云った。

クリーガーとグリムフォニアを顕現させ、杖を使って魔術を構築する。

数分経つと、魔力に誘惑されて多数の魔物がやって来た。師匠は「大丈夫。お前は強くなったんだ。召喚人も同様に強くなっている」と云った。再び集中し、魔力を注ぎ込んだ。

また数分が経ち、全ての魔力を注ぎ込み、解き放った。解き放った魔術は、前に倒した杖の先端から現れた魔法陣が坩堝となり、地・水・火・風、そしてエーテルが混合し、円を描くように魔法陣が浮き上がり、先端の魔法陣のさらに先に魔法陣が複数現われて、最初は漆黒であったが、数秒で純白に変わり、その魔法陣達を穿った真っ直ぐな光線が裂け目を衝突した。

裂け目はさらに裂け、師匠が「デミウルゴス出番だ」と叫び、3メートルほどの牛の様な怪物が裂け目が収まるのを力技で止めている。師匠が「別れの挨拶は無い。いずれ会う。さぁ、行くんだ」と云った。私は「今までありがとうございました」と大声で感謝して、裂け目に入って行った。

目が覚めると、そこは眩しく夏の太陽が世界を照らしていた。立ち上がり、土埃を払って千里眼で帝国の方向を確認し、歩き出した。

数百キロ程歩くと、3人の子供達に出会い、子供に気になる事を聞こうとすると、怖がられて走って行った。仕方なくそのまま歩き、ようやく到着し、中に入ろうとする観光客や旅人や商人達の行列に並び、数十分で私の番になった。検問の衛兵に「身分を証明する物は持っていますか?」と聞かれて、「証明できるかはわかりませんが、紋章が彫られた懐中時計があります」と云って手渡すと、名前を聞かれた為、「ヴァ―ルハイト・エーデル・ジークです」と答えると、衛兵に囲まれて尋問室に入れられた。杖を取られて、尋問室の椅子に座っていると、恐らく尋問官の男が入り、眼前にある椅子に座った。

尋問官「まず、君が持っていた杖は、賢王の特殊な魔力の塊が嵌められた杖だが、どこで入手した」

私「深淵の渓谷に落ちた際に、とある魔剣士から深淵を出る直前に貰いました。このローブもです」

尋問官「なるほど。さて、本題の君は本当にグライド公の次男なのかい? 今の内に本当のことを云えば、真実の水晶(真の身分がわかる水晶)で本当の身分が出るぞ。まぁ、もし本当に君が本物ならば、謝ろう」

扉が3度叩かれ、尋問官が入って来て、もう1人の尋問官に水晶を渡し、私の少し離れて後ろに立った。

尋問官「さぁ、手をかざしてくれ」

手を数秒かざして、かざすのを辞めて、身分が現れ事を待った。

尋問官「おや、これは驚いた。はっはっは。いやはや、これは失礼しました。申し訳ございません。ジーク様、グライド公に連絡いたします。マラディ、連絡しろ。ご子息が帰って来た。と」

私「良かった。もしそれが壊れていて、私の身分が違うと出れば、私は死んでもおかしくありませんから」

尋問官「きっと、グライド公は急いで来るでしょう。まずい紅茶で宜しければ、お出ししますよ」

私「久しく茶の類は飲んでませんので、喜んで貰います」

客室に案内され、紅茶を飲んでいると、父上と母上が馬車に乗り、3人の騎士が馬に跨ってやって来た。


第4話 終

つづく


一口解説「賢王」

賢王とは、シュネ―クランツに伝わる「竜騎士物語」に出て来る人物であり、竜騎士物語は実際に存在する話であり、賢王は実際に存在した証拠がある。

階級の賢王とは、階級にある魔王より下にあるため、魔王より弱いと思われているが、実際には、魔王と同等の力を持っていた。

諸説あるが、魔王とは賢王の第二の異名の説がある。

賢王は「   」であった。

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