第27話 真実と過去
「へファイトスの正体は
「嘘…」
「城田さんがへファイトス⁉︎有り得ない…」
「どうして?信じられないよ」
「どうして僕がへファイトスだと思った?」
城田さんは平然としている。いつものスイートピーに野菜を届けに来る城田さん、そのものだ。誉がにこっと笑って話を続けた。
「へファイトスの脅迫状が届いた施設は…城田さんが勤めている農協に野菜や食品を届けてもらっていました。どこもね」
「普段から届け慣れている場所だったら、夜行っても迷子になったりしないものね」
茉奈が感心した。城田さんは…というと表情は平然としたままだったけれど、目はいつも通りの城田さんじゃなかった。
悲しいような、怒るような目。
「それだけで僕をへファイトスだと決めつけるのか?」
「ううん。だって城田さんは、私や誉が、スイートピーに残ってた時は『へファイトスは中高生ではないと思う。ここまで長い文章書けないよ』って言ってた。
でも、その後、城田さんと朝スイートピーで会った時は『名前ぐらいは聞いたことあるけど、分かんないや』って言ってた…。どっちかは嘘なんだよ。
そもそも…突然スイートピーに来た城田さんが、どうして私達がへファイトスの話をしていることが分かったの?」
「それは…」
城田さんがひるんだのを見計らって、私は叫ぶ。
「それは、障がい者差別を誉が特に気にしていることを知っていたからだよね!」
「ついでに言うと、スイートピーの常連客以外でスイートピーの場所を知っているのは城田さんだけだ!」
「お客さん…少ないね。
普通に常連客(私もそうらしい)が少なすぎる。
「城田さんが…へファイトス…」
「後…数日気づかれるのが遅ければ爆破できたのにな。…バレちまったんだから仕方無い」
「し…城田さん…」
三好さんはまだ事実を受け入れられないようだ。城田さんが笑う。
「俺は城田だが城田じゃねえ。今までの城田は外使い用の城田。こっちが本物の城田だ」
ん…。
「ねえ。城田さん(真)じゃ分かりにくすぎるから、クロタさんっていうのはどう?シロタとクロタ。分かりやすいでしょ」
香。いいぞ。とっても分かりやすくなった。
「別にいいぞ。分かりやすいし」
クロタさんはあっさり賛成してくれた。良かった。反対されなくて。他にいい呼び方思い浮かばないもん。
「クロタさんって今までどういうことをしてきたの?」
興津先生がゆっくりはっきりと聞いた。クロタさんはつぶやく。
「誉君や優太君と…似てた」
「似てた?」
香…投げながら話さなくてもいいから。どっちかにしようよ。
私もクロタさんの言ってることがよく分からない。皆もよく分からないようだった。
ただ、興津先生は堂々と立っている。
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