第25話 悲しい戦い
「ナメてるのか?そこの落ち着きの無い坊や」
まずい。このままじゃ
私は優太君が苦しむ顔を見たくない。
「待て!」
「のぞさん!」
私は優太君を
「
「うん。こんな傷、小さい頃は沢山あったよ…」
少し痛いけど、今はボスを捕まえなくちゃ…。
「ごめん。これシールだった」
ばんそうこうと間違えて渡さないで下さい。なんでそんな間違いを…。
「ここにいるのはガキだけか。すぐに逃げれそうだ」
ボス…。あの人は逃げるつもりなのか…。
「どうしよう。誉」
「俺に聞かないでくれ。分かんねえよ」
だよねぇ。私も分からない。困った困った。
「ほ…誉君。怪我とかしてない?」
「
どこからか飛んで来た三十センチぐらいの鎖がボスの両腕にからまっていた。ボスがジタバタしている所を三好さんと優太君が抑え込む。
ボスは力尽きたように床にうつ伏せになっていた。
「はい。残りをどうぞ」
誉はすごく怒っていた。
「観念しろ。お前達は駅前で差別、偏見反対のポスターを燃やしたんじゃないのか。どうなんだ?」
「…そうだ」
ボスはぐったりしていた。奴らの内の一人が手を合わせた。
「お願いします。リーダーだけは警察に言わないで下さい。俺らは助けてもらえなくても…リーダーだけだったら…」
私はぐったりしているボス(リーダー)を見つめた。
やせていて、元気が無い。体のあちこちに傷跡がある。痛々しい傷が細い手足を目立たせていた。
「リーダーには、小学生の妹がいます。彼がいなくなったら妹さんは暮らしていけなくなります」
「どうしてだ?」
よく分からない展開になってきた。戸惑う私や茉奈や誉。リーダーが重く口を開いた。
「今、俺の家には親がいない。二人とも出て行った。だから、俺が一人でバイトをしながら、家事を行っている」
「バイトしてるのか?」
誉が疑いながら聞いた。怪しいと思ったのだろう。
「ああ。そうだ」
「お前、年はいくつだ?」
「…今、通信高校に通っている高校生だ。いくつでもいいだろう。俺は警察につき出してもいいぜ。早くしろ」
「リ…リーダー…」
「待って下さい。妹さんは…どうするんですか?」
「…」
色々と苦労してるみたいだ。なんかかわいそう。高校生ってことは…不良集団ってことでいいのかな。
「私は
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