第19話 情報がほんの少し
放課後、私達四人はS組に向かった。
「ーってこと。
S組は高原教室で他のクラスと別行動ってこと。
「ああ。どうせそんなモンだと思っていたよ」
誉は別に嘆いてもいなかった。もう分かっていたのかもしれない。
「それよりも、俺達六人で秘密の高原教室やる方が楽しそうじゃないか。やってみたい。学校のことなんか、忘れちゃおうぜ」
「たまには忘れてもいいのかな?」
「そうだぜ。
誉と賢悟君って本当に仲良いんだね。賢悟君っていつも暗めの顔してるけど、誉といる時は違う。にこにこしている。
もういっか。高原教室のことは。
「失礼しまーす。こんにちは」
場面は変わってカフェ[スイートピー]の中。
今日は誉のお母さんから話があるって言われて、いつもより急いで来た。悲しい報告とかをするのかな…。
にしては笑顔だから違うか。話が始まった。
「皆にここに初めて来た時に言ったと思うのよ。私と私の友達でこの店をやってるって。その友達がもうそろそろここに来るの。誉の友達に会ってみたいって」
「そうなんですね」
「どんな人ですか?大きいですか?」
「そうねぇ…。
ドアが開いて、肩よりもほんのちょっと短いショートヘアの女の人がやって来た。うわ。大きい帽子かぶっている。
「私は
「ええ。そうです」
「私…
「
「
「私は
「えっと…。
香だけ、初めて会った同級生向けの自己紹介になっている。
「白砂さん。今日はどうしてここに来たんですか?」
「噂で聞いたのよあなた達が謎のへファイトスを探しているって。今、どうなのかなって気になって来たの」
「そうですか」
説教されるかと思っていたけど、全然違かった。
「警察には通報したんですか?」
「まだよ。でも…あなた達だけでもいけるんじゃない?」
「う〜ん。今の所、分かっている情報は自動車の運転免許を持っている大人ってぐらいで…」
「だから大人を積極的に疑っています」
賢悟君はまだ白砂さんを信用していない。すごい疑いのジロ目で白砂さんを見ている。
「私はへファイトスじゃないから安心して」
「証拠はあるんですか?」
「由輝子さんは、先週までアメリカにいたのよ。彼女が作った車椅子を使うパラアスリートと練習試合に出てたの。でしょ?」
「そうです。だから、へファイトスの話も昨日知って…」
賢悟君。証拠があって良かったね。
「…分かりました」
「白砂さんは…へファイトス見つかると思いますか?」
「もちろん。変な手紙が来た場所に共通点は無かった?」
「福祉施設とか、障がい者の関連施設!」
「香。そこに来たのはもう分かってるんだよ。それ以外の共通点のこと」
「そうなの?」
「たぶん…車で手紙を置いていった」
優太君が水を飲みながら、つぶやく。
「なるほど」
犯人が車を使っていたことは分かったけど…。それぐらいしか…。
「へファイトスはやりたいこととかあるのかな」
「やりたいこと?」
優太君。一人ですごいことを言っている気がする。
「と、ともかく…。本当にこの店に爆弾が仕掛けられちゃうのかな。怖くない?」
「香。まだなってもいない状況を気にすんなよ」
誉の言う通りだな。誉のお母さんと白砂さんに話しかけようと思ったけれど、二人はどっぷり話しているので入れそうにない。
カランコロン。あ。誰か入って来た。
「こんばんは。六人で話し合い中?」
「そ〜ですね。半分雑談ですけど。ところで三好さん。今日はやけにここに来るのが遅かったですね。どうして?」
「誉君。いい所につくね。実は…寄り道しちゃってさ」
「え?」
どういうことだ?三好さん、寄り道しない人なのに。
「数日前、駅に爆弾が仕掛けられただろう?今度は市営球場の近くにあったって。それを見に行ってたんだ」
三好さんがスマホで撮った写真を見せてくれた。茉奈は驚く。
「これって本当に爆弾じゃん」
「犯人は捕まったんですか?」
「もう捕まったよ。学生四人。彼らはへファイトスとは無関係だってさ。会ったことも無いって」
「やっぱり変だよね」
賢悟君が真剣に考えている。三好さんすぐ外に出ちゃった。
「変って…何が?」
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