再び添削

「一部やり直して来ました。どうですか?」

また二枚の原稿用紙を先輩が見ていた。

「面白かったぞ。展開がやり直し前よりはっきりしている」

「やったあ。昨日の夜、必死に書き直したんですよ」

後輩は原稿用紙をさっと見下ろした。

「じゃあこれをコンクールに出せ」

「先輩はいいんですか?」

「もう書き終わっている。応募し終わった」

「早いですね」

「前に応募し忘れたことがあってから、応募はなるべく早くしてるんだ」

「だからですか。先輩が作品応募するの、いつも早い理由」

「ああこれは予備の原稿だ」

そう言って机の上に出したのは四枚の原稿用紙。タイトルは『星の無い夜』。

後輩はかなりその原稿が気になったようだ。

「どんな話ですか?」

「人類が街を明るくしすぎたせいで、夜空の星が見えなくなるって話だ」

先輩は原稿用紙の束を掴む。

「へえ〜。先輩のペンネームの音羽おとはってかっこいいですね」

「お前のペンネームのにじチョココロネは、どういう意味だよ」


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SFらしき 渡部碧 @loads7182

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