添削中 

「これが、君の新作か」

たった二枚の原稿用紙が机に置かれている。ステープラで簡単に閉じられた簡素な原稿だ。タイトルは『廃校にて』。

「はい。そうです」

「合計四百字とは…少なすぎないか?」

「先輩がショートショートみたいなのを書けって言うから、書いたんですよ」

二人がいるのは図書室。他に誰もいない。

「これじゃあ今度のコンクールに出せるのか分からないぞ。」

「先輩は書けたんですか?文芸部の代表でコンクールに応募するのは先輩ですよね」

「まだ」

先輩は後輩に口出ししている割には、やっていない。

「確か短編部門ですよね。何字指定ですか?」

「四百〜二千字指定。今の所書いたのは…」

先輩は書きかけの原稿を机の上に出した。一枚だけ。

「お前の『廃校にて』。これはSFか?展開が急すぎないか?一部変えてみろ。根本的にはいいけど」

「褒めてくれるんですか。短いのに」

「字数は関係ない。お前の小説、コンクールに出せよ」

「分かりました」





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