SFらしき
渡部碧
廃校にて
あの学校は廃れていた。生徒数は少なく、いつ廃校になってもおかしくない程。
「そろそろこの学校、廃校だよね」
上級生の一人がぼやいた。上級生といってもこの学校に一人しかいない。
「だね。でもどうしてこんなに人数が減ったんだろう」
下級生が首を傾げた。
「それは…」
「それは?」
「皆ここから出て行ったから」
淡々と語る上級生。残念そうな顔をする下級生。
「どうして…ここはいい場所なのに」
「さあ。出て行った人の気持ちは分からないや」
「だね」
二人は笑っていた。二人だけの教室で。いや、二人だけの学校で。
「寂しいと思う?」
「さあ」
もはや寂しいとかいう感情は無いようだ。悲しくもない。
「どうする?この学校が無くなったら」
「どうするもこうするも無いよ。今年も新入生はいないんだから」
上級生は苦笑いをした。
「人々は地球から宇宙へと次々に移り住んでいった。ここを見捨てたね」
「そんなに宇宙がいいのかな」
今二人だけがこの地球にいる。
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