第2話 隠れ家探し

(ハア、ハア...)

超生物だとか重要破壊生物だとか言われてきた、体力が尽きることなどそうそうない俺が息切れするくらいに走ったのは久しぶりだった。

(...しまった。)

ただ無我夢中で走ってきたから、今自分がどこにいるかも、今が何時なのかもわからない。あのちょっとダサいデザインの次世代スマホくらいは持ってくるべきだっただろうか。...いや、GPSでもつけられていただろうから持ってこなくて正解だったか。

どこかの山の奥まったところに、俺...ガウが1匹。

こんな見た目だから、鹿なんかの草食動物はおろか肉食動物でさえも近寄ってこない。

動物は苦手だから虫やら何やらしか寄ってこないのは助かる。

いや...人間なんかは寄ってくるな。特に自衛隊とか警察官とかは。



にしても...疲れたな。

山の奥の方だから誰も来ることはないだろうし、ゆっくり休む場所でも探そう。

見た目が二足歩行のオオカミとはいえ、一応元々は人並みの感情と知性を持つ戦闘用ロボットとして作られた研究所生まれかつ研究所育ちの俺。そこら辺で寝るだなんて考えられない。

辺りを見回してみる。まあ、案の定植物以外の何も無かったが。

しょうがない。少し抵抗はあるが木の上でならギリギリ寝れるし...

...いや、俺は諦めない。やっぱり嫌だ。汚い。

しかし。結局1時間ほど探してみたが、やはり植物以外は何もない。

ハア、とため息を吐きつつ他の木と比べれば少しは綺麗に見える白樺に登り、太陽が差す森を見下ろしてみる。

すると、何だか灰色の四角い建物を発見。

ああ、何だ最初からそうすれば良かったのか、と思いつつ白樺にサヨナラの挨拶をする。

何だかんだお世話になった。

(...よし。)

そこからは簡単だった。あの灰色の建物目掛けて飛行モードに切り替え、ひとっとび。

30秒ほどで着くと、そこには比較的新しめの廃墟(?)が。

おそるおそる中に入ってみると、そこは夢のような空間であった。

生活するために必要なベッドやらなんやらは全て揃っていたし、非常食なんかもどっさりある。...少し埃っぽいけれど。

俺はロボットの中ではハイテクな方なので、食料は年に一度、それもガムなんかを1粒飲みこんでしまえば100%となる。もちろん胃なんかもバツグンに強いので消費期限なんて気にせずに飲み食いが出来る。

「...最高じゃないか。」

そう言うと、俺はベッドの中に一目散に飛び込んだ。





...その後のことはあまり覚えていないが、きっと寝てしまったのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バーチャルリアリティがリアリティ味を増しすぎて現実世界とマジで混ざった件について こより @hayase1234

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る