4-7 蒼夏の思惑
正直、私も
ハッピーエンドが確定した上での本編メインイベント。もちろん、何も起こらないとは思っていなかったが、まさかあの第三皇子の
「だってこの子、兄上の命を狙った暗殺者の仲間なんですよね? なんでそんな奴を花嫁なんかに? 未遂だったとしても、儀式に潜入した罪を裁くのが先じゃないんですか?」
いったい誰が彼にそのことを話したのか。
どこでそんな情報を得たのか。
まさか、
(
お茶会での改変により、
これは想像でしかないけれど、大幅な改変のせいで他のキャラクターたちが予測不可能な行動や言動をするようになっている。皇帝陛下の前で暴露させることによって、絶対に逃げられない場を作り出し、
暗殺者の仲間とわかれば、いくら
私はもちろんこの場で言葉を発する権限もないし、不用意に庇えば逆に疑いが深まってしまうだろう。そんな中、離れた場所で
「皇帝陛下にお伝えしたいことがあります」
声がした方を辿れば、いつの間にか
(
白を基調とした漢服を纏い、その場に跪いて深く頭を下げ、丁寧に拱手礼をしている
「本当に
ぽつり、と横でそう呟いたのは
もしかして、この件って
(さっきのは、思わず本音が出たって感じだったわ····だったら、この展開はヒロイン次第で良い方向へもっていけるかもしれない)
案の定、
皇帝陛下も皇后も、真心を絵に描いたような人格者という設定。だからこそ嘘偽りを並べるのではなく、真実を告げることで、同情心だけでなく信頼さえも得られるはず。
本編をプレイしている
暗殺集団に拾われ、そこに属していたこと。記憶が曖昧なこと。けれども誰も殺していないこと。イベントで取り戻した幼い頃の記憶の欠片。
そして、あの誘拐未遂事件の裏側で皇子に間違われて攫われた自身のこと。淡々と紡がれる物語に皇帝陛下も皇后も胸を痛めているようだった。
「でもそれは叶いませんでした。そこで待ち構えていただろう賊たちに囲まれ、殴られ、俺は意識を失ってしまったから」
「ひど。小さい子にすることじゃないよね。誰の差し金だろう?」
そんな
妃嬪の中でも貴妃の位にある
ただ、このあたりはざっくりとした設定なので、あくまでそれっぽい設定を取り入れたに過ぎない。
青龍の国という、そもそも架空の国が舞台のファンタジーものなので、本格的な時代劇とは違う。
側室の人数も一国の後宮としては少ない設定だし、皇子が三人だけっていうのも他の中華風ファンタジーに比べたら少ないはず。
(あんな害のなさそうな顔をして、実は
最初の様子を考えるに、そもそもは
(これは完全に想像でしかないけど、
でもそれには、ヒロインの正直さやひたむきな想い、皇帝陛下を納得させるだけの言動が必要だろう。それが
(でもできると踏んだから、ああやって話を合わせてるんだわ)
今まさに、ハクという不確かな存在が、確かな存在になろうとしていた。
「ふーん。じゃあ、君はいったい誰なの? 自分が誰かを思い出したんでしょ?」
「はい。俺は
幼い頃の
本当に罪を問うべき者が目の前にいるなんて、ふたりは考えもしないだろう。なぜなら、
(本編ではその罪を自分の子である
命だけは助かるが、彼女にしてみれば死んでいるのと同じ罰だ。
彼女の処罰について、隠しルートと本編の大きな違いは······。
「なにより俺は、
はわわわっ⁉
真剣に考察していた私の耳に、とんでもない台詞が入ってきた!
同時に、座っていた
(そうよね! ヒロインにばっかり言わせるわけにはいかないわよね!)
このメインイベントは
それが思わぬ展開で逆転して、ヒロインが全部言ってしまったこの状況で。
「父上、私もお話したいことがあります」
「······話してみなさい」
皇帝陛下は思い出したかのように我に返り、
「誘拐未遂事件と、その裏で起こっていた誘拐事件。そこにいる
うん、まずは目の前の問題を解決するのが先ね!
本編と隠しルートの違い。
そして、
私はきゅっと衣を握り締め、
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