4-4 裏工作は任せて!
『あなたがそう思うのなら、私にはそれを否定する権利はありません』
ありがとう、イーさん。大丈夫、もう無茶はしないから。
「それに。この改変で本当の意味でハッピーエンドが確約されるなら、痛くも痒くもないわ! むしろご褒美よ!」
『あ、あなたがそう思うのならそうなのでしょう』
あの片恋拗らせ歴十年以上の
「そうと決まれば、隣の部屋にいる
『そんなことをすればまたペナルティが付いてしまいますよ?』
「いいの。これで最後だから」
ひとつでも残っていれば強制排除はない。なにより、ふたりのハッピーエンドが確定した今、これ以上のトラブルは起きないはず。もし仮に起きたとしても、ふたりの誤解が解けてお互いの気持ちが離れなければ、なにがあってもきっと乗り越えられるって信じてる。
私はすぐ隣の
「
「
『
でしょでしょ?
「母の形見の耳飾りが、気付いたら片方だけなくなってしまっていたんです」
「もしかして、
まあその設定でもいいんだけど、それだと大捜索になっちゃうからボツね。
「おそらく、戻って来てからだと思うんです。でも私の部屋にもハクちゃんの部屋にもなくて。宮殿内を探したいのですが、私ひとりでは不審がられるかなぁって」
「そういうことなら、力になります。他の者たちにも探させましょう」
「それはいけません。私などのために
胸に右手を当てて、私は沈んだ表情を作って俯いた。
「わかりました。ではここに戻って来てからのあなたの行動を辿っていき、その動線を中心に探しましょう」
そんなひとを騙して連れ出すなんて気が引けるけど。これもふたりのためだし、彼のためでもある。だってほら、想いが通じ合ったふたりがどうなっちゃうかなんて、もうわかりきってるもの!
(というか、あの執着心ハンパない
「ハクちゃんのこと、どう思ってますか?」
「
このルートの
それは、
「
「ハクちゃん、物理的にはじゅうぶん強いですもんね····あの傷も痕は残ってしまうかもしれませんが、なんだかんだでほとんど治りかけてますし。本当なら毒の影響もあるから、数ヶ月は安静にしてなきゃならないのに。もう包帯も取れました」
「それは彼が白き龍の民だからでしょうね、」
白き龍の民。龍の子の子孫という
皇子様に守られるヒロインというよりは、皇子様を守っちゃう方のヒロインだし。
「
「どうしてですか? 生きているはずがないってすぐに諦めちゃったから、責任を感じているんです? ハクちゃんはそんなこと、少しも気にしていないと思いますよ」
でもだからって、
「私にとって守るべきものは、
「それが、ハクちゃんのためでもあるって。
「買いかぶりすぎです。私は、少しも優しくなんかないですよ、」
いや、超絶優しいですよね。だって今も私のために、私の嘘に付き合ってくれてるじゃないですか。たぶんバレてますよね、私がなんで部屋から連れ出したか。あんなに騒いでいたんだから、
「
嬉しい!
すごく嬉しい····けど、損得はある!
ふたりのいちゃいちゃ甘々エンドな未来のために、投資しているようなものなの!
せっかく
「で、どのあたりで落としたんですか?」
「うーん。こっちかしら?」
そうやって一時間くらい失せモノ探しに付き合ってくれた後、私がちょうどいいタイミングで耳飾りを見つけたふりをして、この茶番劇は幕を下ろすこととなる。そして
夜が明けるまではあと二時間あるかどうかだろうか。部屋に戻っていないところをみると、作戦は成功のようだ。このまま眠っても良かったが、なんだか目が冴えて眠れそうにない。
今日は皇帝と皇后の前で婚約宣言をする
「でも
『それには私も同意します。お茶会のメインイベントが改変されたことにより、
「それって····今日のイベントに影響を及ぼしたりしないのかな? 」
あの場にいなかったから、彼女がなにを考えているのかまったくわからない。始まってしまったら対策も取りようがないし。私も
「そういえば、もうひとり出ていないキャラがいるわよね」
『第三皇子の
私はこの時、ものすご~く嫌な予感がした。
そしてその嫌な予感は、この後見事に的中することとなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます