1-10 あの日の過ち ※
俺は
他の誰かが彼に口付け····じゃなくて口移しをする光景なんて見たくなかったし、嫌だった。かと言って、俺自身がするのもなんだか気が引ける。
たとえこのキャラが本物の
俺の過ちの原因。それは、高校一年の、ある秋の日の出来事。放課後、オレンジ色に染まる教室。
その日はミーティングだけで部活が早く終わるからって、一緒に帰ろうと約束をしていたのだ。けど終わって戻って来たら、
それはありきたりな恋愛漫画のワンシーンといってもいい。
(眠ってる無防備な
それは本当に触れるだけのもので。
待ちくたびれて寝ていた
しかも眼鏡を勝手に外して、その可愛らしい寝顔をしばらく眺めていたのだ。もはや言い訳はできない。勝手にキスして、後悔して、その場から全速力で逃げたのだから。
最低最悪な黒歴史。あの時、
(あの後、俺は罪悪感から
その間もあの『告白大作戦』は進んでおり、なんなら完成間近だった。現実とは真逆に、しろうさぎと渚としては順調に仲良くなっていて、そして何度もチェックしては直しを入れたあのゲームが遂に完成する。その日の内にSNSでDMを送った。
製作費はお年玉やお小遣い、部活の合間にしていたバイト代、姉貴の先行投資、足りない分は一緒に作ってくれたひとたちが用立ててくれた。そんな強い想いだけで作り上げた『
(
なにも伝えられなかった。それどころか、
どちらにしても、時間は戻らない。
どうにもならない。
(転生して、しかも自分が関わったゲームの中で、目の前にはあいつとそっくりなヒロインって····これ、罰ゲーム?)
それでも元々の秀でた才覚や身体能力は衰えてはおらず、頭領は彼を気に入り、常に傍に置くようになった。
やがてあの暗殺計画を持ち掛けられ、彼が誰の代わりに攫われ今に至るかを知っていた頭領は、あえてかつての友をその手で殺させようと目論む。
彼にとって初めての任務。失敗も在り得るだろう。故に、もうひとりの暗殺者を同行させた。
(
器の煎じ薬を口に含む。
(うっわっ! なにこれまっず⁉ にっがっ⁉ 今すぐ吐き出したい!)
口の中に広がったその異質なものに、俺は今まで真剣に考えていたことが、嘘のようにすべて吹っ飛んでしまった!
(ちょっと待て! これを飲ませるのか?
これ、マズすぎて目を覚ますんじゃないか?
後々、気まずくならないか?
動揺しつつも、
覚悟を決め、眠っている
(俺は
けど、俺は――――。
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