第2話 アヌビスとの出会い
日々の奇妙な体調不良に悩まされながらも、康平は次第に夢の中で不思議な体験をするようになった。ある夜、彼はエジプトの砂漠を歩いている夢を見た。砂漠は果てしなく広がり、その中で彼は迷子になってしまう。太陽が容赦なく照りつける中、康平は疲れ果て、やがて意識を失いそうになったその時、彼の前に一匹の黒い犬が現れた。
この犬は彼の愛犬、グディーとは異なる、威厳ある様子で立っており、その目は深い知恵を湛えているように見えた。犬は康平に近づき、優しく鼻を彼の手に押し付けると、犬は話し始めた。声は明瞭で、まるで人間のように。
「康平よ、恐れることはない。私はアヌビス、死者の守り神である。お前の旅は、まだ始まったばかりだ。」
驚きとともに、康平はこの犬、アヌビスに導かれる形で砂漠を歩き続けた。アヌビスは時おり、康平の未来や生き方について語りかける。その言葉はいつも謎めいており、康平は夢の中で多くの示唆を受ける。
「人生とは、自らの道を切り拓く旅である。お前は多くの試練を経て、真実を見出すだろう。」
夢から覚めた康平は、何とも言えない感覚に包まれていた。夢の中でのアヌビスとの出会いが彼の心に深い印象を残し、彼は古代エジプト神話について調べ始めることに決めた。本を読み、インターネットで情報を集めるうちに、彼はアヌビスが死と再生を司る神であることを知る。
この知識は彼に新たな視点を与え、日常の不調が彼に何かを伝えようとしているのかもしれないという考えに至った。康平は、もしかするとこの全ての体験が、自分自身の変容のための何かであるかもしれないと感じた。
愛犬グディーを見る目も変わり、彼はグディーがただのペットではなく、何か特別な存在であるかもしれないと感じ始めた。グディーの行動一つ一つに意味があるように思えてきた。康平はグディーとの散歩を長く取るようになり、彼の動きを注意深く観察した。
ある日、散歩中にグディーが康平の手を優しく舐めると、ふと夢の中でアヌビスがしたのと同じ動作を思い出し、康平は決意する。
「グディー、お前とならどこへでも行ける。一緒にこの奇妙な旅を続けよう。」
この決意とともに、康平とグディーの本格的な旅が始まるのだった。彼らはこれから訪れるであろう未知の体験へと歩みを進めていく。
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