龍の導きと奇跡の旅

@kazu2134

第1話 不吉な始まり

2021年6月12日、夜の10時頃。康平は自宅で普通にテレビを観ていたが、突然、下腹部に奇妙な圧迫感を感じ始める。それはまるで食べた物が一方向に集中して落ちていくような、異常な感覚だった。最初は疲れからくる一時的なものだろうと軽視していたが、次第にその感覚は強まり、恐怖さえ感じるほどになる。


「これはおかしい…。」


康平は携帯を手に取り、緊急番号へと指を滑らせた。救急車を呼ぶべきか一瞬迷ったが、この異常な感覚は明らかに普通の不調ではないと判断し、救急車を呼ぶことにした。


救急隊員が到着すると、康平はすぐに病院に運ばれた。病院の冷たいベッドの上で、彼は何か大きな病気にでもかかったのではないかという不安にかられた。しかし、緊急の検査の結果、特に異常は見つからず、ただの消化不良と診断される。


医師は康平に点滴を施し、「たぶん疲れが溜まっているんだよ。今夜はゆっくり休んでみて」と言う。その言葉を信じた康平は、何とか自宅へと戻る。


しかし、家に帰った後も康平の体の不調は改善されず、むしろさらに奇妙な症状が現れ始める。夜が更けるにつれて、彼の体からは納豆菌のような発酵を感じる異常感覚が広がっていった。身体中が菌の糸で覆われていくような感覚に、康平は布団の中で丸くなり、恐怖と戦った。


「何これ…何が起こってるんだ…!」


康平は必死にその感覚から逃れようと頭を抱えた。彼はエアコンの温度を30度前後に保ち、部屋を温かくしてみるが、それでも体内の発酵感は消えない。その夜、彼はほとんど眠ることができず、生命維持のために何か音楽を流したり、テレビの音量を上げたりして過ごした。


朝になっても康平の体の奇妙な発酵感は消えず、彼は再び病院を訪れるが、やはり具体的な病名は出されない。医師からは「精神的なものかもしれない」と言われるが、康平にはその説明が納得できなかった。


この日を境に、彼の生活は大きく変わることになる。これまでの普通の日々が、一変して未知の体験へと突入していくのだった。康平は自分の体と向き合い、何が正常で何が異常なのか、その線引きすら曖昧になっていく。そして、この奇妙な体験が彼をどこへ導くのか、その答えはまだ見えないまま…。

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