「密猟者」 寒川光太郎 1939年下半期 第10回
タイトルから察せるように、これは雄大で危険に孕む自然と対決する男たちの物語である。
豹は、北方の白熊狩りのため、アメリカ人のアーノルドに、射手として雇われた。豹は師匠や妻に先立たれ、狩猟中に殉職することも考えていたが、死にきれなかった過去がある。豹は同じく射手として雇われていた稲妻に声をかけられ、彼の狩猟に対する思いを聞かされる。
狩猟地に到着すると、すぐさまに白熊との格闘を始めた。そんななか、同じく雇われの身であった蛸が重傷を負ってしまった。稲妻は悲嘆していたが、豹は平然としていた。稲妻は豹の冷静な様子に痺れを切らし、ふたりは口論となった。
翌日もまた、白熊との格闘であった。稲妻が白熊と遭遇し、危機に陥った。豹は彼を掩護し、ふたりは瀕死の重傷を負ってしまい……
自然との対決は常に死との隣り合わせである。もしかしたら、今日が自分の最期なのかもしれないのだ。当然、本人たちはそれを承知した上で挑んでいる。この小説も自然の理不尽さを淡々と伝えている。それにしても、最後にある人物がとった行動はとても不穏であり、純文学独特の後味の悪さを際立たせている。
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