Page.12 『楽しみ方を教えよう』

部活に向かった真を見送った俺は昇降口につながる廊下を歩いていたら真と馬鹿みたいにでかい声で言い合っていたのもあって、偶然出くわした科学の和泉先生に「廊下は響くから自分たちが何デシベルで会話するのが最適か考えてね?」と、科学の先生だからこそできる注意方法で注意されたことによって、俺の中で和泉先生の評価が上がったわけで、おかげで反省の色なしの男子になりましたとさ。


というわけで、先生曰く渡り廊下で話していたから科学室には聞こえていたらしいからおそらく70デシベル近くは出ていたと思う。


うん、うるさいね!


「はぁ……」


「どうしたの? そんなにアホそうな顔して」


「今日はやけに辛辣ですね神咲さんや」


「ごめんなさいね。ちょうどさっき料理に失敗して自分にムカついていただけだから気にしないで」


なるほど、俺はその八つ当たり道具というわけか。

あ、神咲さんは平常運転なのは間違いないから傷つくことはないわけで、というか料理に失敗して起こるって意外とかわいいなこの人。


「それで? なぜため息を吐いていたのかしら?」


「神咲さんは遊園地とか興味ないの?」


「唐突ね。まぁ、ないわけではないわよ。子供の頃は好きだったし」


「へー意外かも」


「そうね。普段私からは想像は難しいと思うわ」


子供の頃ってことは小学生の頃かな?

意外とやんちゃだったりするのか?


「うむぅぅ……」


「私が譲ったチケット、篠崎さんには渡したのかしら?」


「いやね? 渡したんだけど、もう一回考えろって返されたよ」


俺はこのときのためにポケットに入れていたチケットを取り出してヒラヒラと見せた。


「……悪いけど、私は行かないわよ。行くなら篠崎さんと行ってくれば?」


「いや、俺は別に神咲さんとでもいいよ?」


「え?」


「あ、いや! 変な意味とかじゃなくて! その、神咲さんチケットもらった時に少しだけかもしれないけど、興味ありそうな表情をしてたから……」


「あ……」


やばいっ!?

表情見てたって理由がなかったらただの変態じゃん!?

終わった……俺の人生……


「あ、あははっ」


「ほぇ??」


「そっか……私が、ね」


「え、あ、うん」


なになに???

こわいんだけど!?


氷姫がこんなに笑うところとか見たことないんだけど?!


「そっかそっか。君はほんとに人のことよく見てるのね。まさか表情だけで見抜かれるとは思ってなかった。完敗だよ」


「わ、わぁい?」


「そうね……確かに興味はあるわ。絶叫系とか乗ってみたいもの」


「まさかのチョイス」


「そうかしら? 私だって面白いものとか怖いものにだって興味はあるわよ。まぁ、驚かしてくる系統は流石に無理だけど」


何だその可愛らしい基準。

俺もそうだけど。


「でもいいの? 篠崎さんの方がもっと興味ありそうだけど」


「そうでもないよ? 真のやつ絶叫系嫌いだし、弱高所恐怖症だし、加えて迷子気質あるから逆に俺が疲れる」


「あの無尽蔵の体力はどこから来てるのよ……」


「中学の頃に宿泊学習で東京タワーに行ったんだけど、迷子になって展望台をひたすら歩き回ってたら体力がついたんだって」


「どんな体力の付け方よ」


「「ふふっ」」


「白雲くんがいいなら行ってあげる」


「そりゃ感謝ですな。皆が憧れる学園のマドンナを独り占めデートですか」


「マドンナはやめて。嬉しい言葉じゃないから」


「そう? マドンナって結構な褒め言葉だよ?」


「私としても自分が人より容姿が整っているのは嫌でも自覚してる。でもだからといって特別なことはしてないわよ。私が美人の基準に入るのは侵害ね」


「これまた辛辣なことで。ま、神咲さんが嫌ならごめん」


「うん……」


マドンナか……確かに特別感があって嫌な人には嫌なのか。


まぁ、俺としても神咲さんは美少女とは思うけど、言動とかは普通の女の子なんだよなぁ……だってあの氷姫と言われる神咲さんが遊園地が好きで、更には面白いものも好きなんて普通の女の子でしかないでしょ。


――バカ……


うん、加えてツンデレだったわ。

は?


ツンデレ!?

いやいやいやいやいや、ないない!


神咲さんがツンデレだと……!?

ツンツンの間違いだ!


そんなわk――


――デート……


うぐふっ……やべっ、キモッ!


なんだうぐふってキモすぎだろ!

口から出てないよな???


てか悪ふざけで言ったのに本気にされちまった!!

やばい顔見れねぇ!!


今更悪ふざけなんて言えねぇ!!


うがぁあぁぁぁぁ!!


俺が頭を抱えて(内心)いた間に神咲さんは部屋に入ってしまったらしく、俺もトボトボと部屋に入ることにした。


そしてベッドに体を埋め込みスマホを自身の前に引き寄せてから真に――


『神様仏様私を埋めてください』


――と送った。


翌朝、真から『君が埋められるなら喜んで手を貸そう』と送られてきた。


この幼馴染は我に恨みであるのだろうか……


🧊🧊

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】

お疲れ様です。

翔くん頑張ったね!

よくやった!


あと神咲さんはツンデレだといいね!


というわけで、今回は短めの話になりましたが、書きたいことがかけたので満足!

ついでに先週のラブコメ習慣ランキング240位ありがとうございます!

これからも深夜テンションでがんばります!

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