第2話 友達になってください!
僕は友達がいない。
これは、自慢することじゃないけど、自分から話しかけるのが苦手なんだ。
だから、これまで中学に入ってから、友達が出来たことはない。
今日も、授業が終わったら帰って、ガブリエルの散歩をする予定だ。
今日からは、散歩コースが変わるから、気をつけて進まないといけない。
多分ガブリエルのほうが、危険察知能力が高いから、助けられるかも。
帰宅すると、お母さんが晩ごはんを作っていた。
今日の晩ごはんは、カツカレーライスらしい。
僕の大好物である。
カレーライスに、福神漬けを乗せて食べるのが好き。
あんまり辛いのが好きじゃないから、基本的には甘口と中辛をブレンドしてくれている。
お父さんもお母さんも、僕に合わせて甘めなカレーライスを、食べてくれている。
ありがとう。
今日は、カツもあるからボリュームがすごそうだ。
お母さんに、ガブリエルの散歩に行くと伝えて、外へ出た。
ガブリエル今日は一日何してたの?
マリーと仲良くしてた?
そうやって、返事が帰ってこないけど、話しかけている。
今日は、初めてのコースだから緊張した。
しっかり曲がり角は、注意しながら進んでいた。
これまで、不思議に思っていたことがある。
ガブリエルは、散歩中にトイレをしない。
一応準備はしてきているけど、外でトイレしてることを、1度も見たことがない。
まぁ家でやってるから問題ないかと思っていた。
散歩していると、前方から人が来た。
太一くん?
あ、春場くん。
太一くんも犬の散歩してるんだ。
あんまり話したことないから、何を話したらいいんだろう。
人と話すことが少ないから、急に話しかけられて緊張してしまった。
太一くん大丈夫?
うん。
春場くんもこの辺が散歩コースなんだ。
そうなんだ。
もう少し行ったら家があるから、その周りを散歩コースにしてる。
僕は、ちょっと離れてるんだけど、今までの所に飽きてきたから、新しいコースを試してるんだ。
へぇ、そうなんだ。
僕のことは、透でいいよ。
同じクラスなんだし、もっと学校でも話そうよ。
共通の話も出来そうだし。
僕たちが話していると、犬たちはなんだか騒がしかった。
透くんの犬が、なんだか警戒してるようだった。
たけし、どうしたんだい?
透くんの犬は、たけしって言うのか。
日本人っぽいね。
ガブリエルが、なにかを言ったみたいで、たけしと仲良くなっていた。
本当にガブリエルは不思議だ。
透くん、友達になってくれる?
もちろん!
今日から、太一くんと僕は友達だ!
初めての友達が出来た。
ガブリエルは、勇気や出会いをたくさん持ってきてくれる。
感謝しないとな。
それじゃあ、そろそろお母さんが、心配しそうだから帰るね。
また明日の学校で会おう。
そう言って別れた。
ガブリエル、たけしと何を話してたの?
ワン!とだけ返事した。
まぁ犬なんだから人語を話すわけないよな。
帰宅して、いつものように手洗いうがいして、晩ごはんをたくさん食べた。
お父さん、お母さん、今日ガブリエルの散歩中に、同級生の透くんに出会って、友達になれたんだ。
今日あったことを話した。
お父さんもお母さんも、よかったね。
明日から、学校楽しみになるんじゃない?
そんな事を言ってくれた。
これまで、学校の行事の連絡はするけど、日常のことはあんまり話してなかった。
学校どうだったと聞いてくることはなかった。
多分、僕から話すのを待ってたんだろう。
ごちそうさまでした。
部屋に戻って勉強して、ガブリエルと遊んだ。
翌日、学校についたら透くんが、挨拶をしてくれた。
おはよう!太一くん。
おはよう。透くん。
これまで、学校についてもすぐに席について、ずっと読書するか教科書を読むか、しかしてなかったのに、友達と話す日が来るなんて、驚いている。
お昼休みに、透くんと犬について話していた。
太一くんは、いつから犬を飼ってるの?
1ヶ月前くらいに、捨てられてるのを見つけて、拾って帰ったんだ。
そう考えたら、出会ってからだいぶ経ってるな。
なら、太一くんの犬は、何歳かわからないんだ。
そうだね。
でも、誕生日は拾った日にしたんだ。
透くんの犬は、いつから家にいるの?
たけしは、去年の僕の誕生日にお迎えしたんだ。
お父さんが、友達から譲り受けたものなんだ。
年齢は、今年で2歳だね。
基本家族全員で強力して面倒を見てる感じ。
透くんなら、犬に詳しそうだな。
ちょっと気になったことを聞いてみようかな。
ねぇ透くん。
散歩中に犬が1度もトイレしないことってある?
いや、基本最低でも1回はやってるんじゃないかな。
やっぱりそうなんだ。
病気とかなのかな?
いや、動きとか食欲の変化がなかったら、多分大丈夫だと思うけど。
もし気になるなら、病院へ連れて行くのもいいかも。
帰ったら、お母さんに話してみるか。
話し込んでいたら、休憩時間終了のチャイムが鳴った。
学校が終わり、帰宅した。
お母さん、ガブリエルがお外でトイレしないんだけど、病気かな?
うーん。
お母さんにはわからないけど、普段家では普通にしてるわよ。
ガブちゃん、ちょっと来て。
お母さんに呼ばれて、こちらへやってきた。
確かに、僕も普段家で見てる限り、変なところは無いと思う。
思い過ごしならいいんだけど。
まぁどうしても気になるのなら、お母さんが病院へ連れて行ってくるわ。
わかった。
とりあえず、今日も散歩行ってきます。
ガブリエルと散歩へ出た。
昨日のルートを通った。
そしたら、ガブリエルが電柱でトイレし始めた。
トイレ掃除の仕方は、お母さんに教わっていたので、しっかり水をかけて処理した。
ガブリエルがトイレした。
はぁ病気じゃなくて安心した。
今日も、透くんとたけしに出会った。
こんにちは。
お互い挨拶をして、少しお話した。
ガブリエルが、トイレをしたことを透くんにも伝えた。
たけしとガブリエルは、見つめ合ってなにかを話しているのかな。
また明日学校でと言って別れた。
ちなみに今日の晩ごはんは、昨日のカレーの続きである。
2日目の方が、美味しいと思う。
そろそろ、体育祭の季節が近づいてきた。
これまでの僕だったら、気が重い行事だったが、今年の僕は少し違う。
先生が、競技を黒板に書き出して、出たい競技に挙手するようにと、話していた。
大玉転がし、玉入れ、台風の目、二人三脚、障害物競走、借り物競走、リレー、この中から2つ選択する必要がある。
大縄跳びは、強制全員参加らしい。
僕は、台風の目と障害物競走を選択した。
放課後に、それぞれ練習があるので、帰る頃にはへとへとで、散歩がきつい。
この期間だけは、お父さんが変わりに散歩をしてくれることになった。
ありがとうお父さん。
台風の目の練習は、先輩に囲まれて緊張しながら、一生懸命走った。
障害物競走は、特に練習することが無いらしい。
ぶっつけ本番のほうが、順位がわからなくなって、面白いかららしい。
昼休み、教室内でも練習の話をみんなしていた。
透くんは、他の友だちと話をしているみたいだ。
こうなってしまったら、僕は1人で図書館でも行くことにしてる。
図書館の司書さんは、とても話しやすい人で静かに話していたら、特に怒られることも無い。
そして、練習期間が終わり、いよいよ明日体育祭当日。
・・・おまけ・・・
俺はたけし、主人の透を守るために、常に周りを警戒してる。
今日も、透とパトロールだ。
なんか、前方から見慣れない犬が来るな、見たことない奴は危険だからな、どんなやつか見てやろう。
襲ってくるようなら、俺が返り討ちにしてやる。
?!
なんだあいつ!?
なにかわからない危険な感じがある。
言葉に言い表せないけど、こいつと関わるのは危険だ。
あぁ、驚かせてすまんな。
俺の名前は、ガブリエル。
特に争うことは無いから、そう気をはらんでもいい。
なんだこいつ。
でも、敵意がないならいいか。
俺の名前は、たけしよろしく。
よろしく。
そろそろ、帰るみたいだな。
これからも、このルートを通ると思うから、よろしくな。
そう言って?短い犬通しの会話も終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます