捨て犬を拾ったら、まさかの幻獣だった件

@TIAKI3939

第1話 捨て犬の名は、ガブリエル!

僕の名前は、尾田太一。

捨て犬を拾って帰ったことで、人生が変わっていく。

僕の人生を、変えてくれた犬との話。


あぁ今日も雨か、梅雨ってなんで来るんだろう。


ずっと晴れなら気持ちがいいのに。


僕は、雨が嫌いだ。

じめじめするし、傘をささないといけないし、濡れたら風邪を引いて遊べないし。

良いことが1つも無い。


学校が終わってから、いつものように一人で下校していた。


いつもの通学路で、見慣れない箱が置いてあった。


あれ?朝にあの箱あったっけ?

不思議に思ったが、近づいて何が入ってるのか確認した。


するとそこには、犬が入っていた。


僕は、急いで抱きかかえて帰った。


風邪を引いてないかなと、心配になりながら服に包んで走った。


家について真っ先に、お風呂へと向かった。

お母さんに、捨て犬を拾ったことを伝えて、タオルとかを用意してもらった。


お風呂から出ると、お父さんとお母さんがこちらへ来た。


保護するのは良いけど、明日動物病院で検査をしてから、部屋へ連れて行くようにと言われた。


僕の家にはすでに猫がいる。

名前は、マリー。

僕が、生まれたときにお父さんが、買ってきたらしい。


名前の由来は、女の子だからマリー・アントワネットから取ったんだって。


お父さんは本が好きだから、いろんな本が家にある。

図書館みたいになってる部屋がある。


犬は、一切吠えること無く、すやすや寝ている。

とりあえず、怪我とかはなさそう。


猫と犬が一緒にいると、喧嘩したりしないかな?


お父さんは、実家で猫と犬を飼っていたが、仲良くしていたと話した。

だから、ゆっくり慣らせば、お互い仲良くしてくれるだろう、と言ってた。


猫はあんまり、散歩したがらないけど、犬は毎日散歩が必要だから、これからは頑張らないとなと、意気込んでいた。


気が早いかもしれないが、名前を考えていた。


何がいいかな?


お父さんは、名前を決めるときどうしたの?


うーん。

お父さんはね、これまでに読んだ本や、見た映画の中から好きなキャラや、声優さんから取ることが多いね。


読んだ本か。


確か、お父さんの本の部屋に、かっこいい名前の人出てるのあったな。

名前は、ガブリエルだったかな。


これには、お父さんもびっくりしていた。


太一そんな本を読んでいたのかい。

まさか、旧約聖書を読むなんて、面白い。


たまたま目について、読んでいただけだよ。

これは本当にたまたまで、気になったものを見たり、触ったりしたくなる衝動と一緒だ。


お父さん!

名前は、ガブリエルでもいい?


太一が決めたんだ、どんな名前だって問題ないよ。

名前は大事な要素だからね。


お母さんにも伝えてきてごらん。


わかった。

お母さん、この子の名前は、ガブリエルになったよ。


かっこいい名前ね。


うん。


明日、お母さんが動物病院へ連れて行って、検査してくるから何も無ければ、明日太一が学校から帰って来るころには、家にいると思うわ。


わかった。

お母さんお願い。


翌日の学校では、早く終わらないかなと、そわそわしながら一日を過ごした。


学校が終わって、いつもより急いで帰宅した。


ただいま!

ガブリエル帰ってる?


お母さんが、ガブリエルを抱えて玄関に来た。


おかえり。

検査の結果、特に以上も無く健康だって。

ご飯をしっかり食べたら、元気になるって言ってたわ。


よかった。

ただいまガブリエル。


ガブリエルは本当に静かだ。


犬なのに、尻尾を降ったりせず、ただ悠然と歩いてる。

でも、呼んだら来てくれるし、噛みついたりもしてこない。


なんか想像してたより、犬って大人しいんだなと思った。


ご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、部屋で遊んだ。


遊び疲れて、僕もガブリエルも寝てしまった。


次の日から、学校が終わるとすぐに帰って、夕方には散歩するのが、日課になっていた。

梅雨も開けて、いよいよ夏が来た。


夕方は涼しいから、犬の散歩にもってこいの時間帯だ。


体育が好きじゃないから、あんまり走るのも好きじゃなかったけど、ガブリエルが来てから、走ることが増えて体育も少し好きになっていた。

先生からも、最近やる気出てるね。

いい調子だよ、と言ってもらえた。


散歩中に気になったことがあった。

なんだか、ガブリエルが通るとき、周りの動物が避けているような、気がしていた。

気の所為だとは思うけど、喧嘩にならないのは良いことだ。


まだ子犬だけど、いつかゴールデンレトリバーくらい大きくなるのかな?


帰ったらお母さんに聞いてみよ。


ただいま!


おかえりなさい。

晩ごはん出来てるわよ。


太一もガブちゃんも、手洗いうがいしてらっしゃい。


ガブリエルの足を拭いてあげて、家に入れた。

僕は、洗面所に行って手洗いうがいをした。


食事を終えてから、お母さんに聞いてみた。


お母さん、ガブリエルはゴールデンレトリバーくらい、大きくなるの?


病院の先生も、犬種がよくわからないって言ってたのよね。

だから、大型犬の可能性もあるし、小型犬の可能性もあるんだって。


そうなんだ。


まぁどっちでもいいか。


いつものように、食後の運動をして就寝した。


ガブリエルは小型犬なのに、危険を察知して僕を止めてくれる。

この前も、曲がり角から見えない角度だったのに、車が来てるのに気づいて、僕を止めてくれた。

ガブリエルは、とても賢い犬だとわかった。


家の中では、基本寝ているように見える。

たまに、マリーとお話してるみたい。


僕の家の猫と犬も仲良しでよかった。

お父さんの言う通りになった。


最近、運動も定期的にしてるおかげで、メンタルも非常に良くなってる気がする。

前まで学校は、行きたい場所じゃなかったけど、最近は授業も楽しいと感じるようになってきた。


今日は、いつもと違う散歩コースを、開拓しようかなと休み時間に考えていた。


授業中もガブリエルのことを考えていた。


帰ったらお母さんに伝えて、新コースでお散歩楽しみだな。



・・・おまけ・・・

私は、マリー。

この家で飼われている猫。

今日も雨で日向ぼっこが出来ないのが、とても悲しいわね。


お母様は、いつも美味しいごはんを用意してくれる。

お父様は、いい音楽を流してくれる。


とても快適な空間だわ。


おや、太一くんが帰ってきたみたいだわ。


なにこの気配!?


あの犬?


なんか、だいぶ弱ってるようだけど、大丈夫かしら。

まぁ病院へ行くのなら大丈夫でしょう。


病院苦手なのよね。

私は行きたくないわ。



初めまして、私はマリーこの家にお世話になってる猫よ。


初めまして、俺はガブリエル。

まぁこれは、太一がつけてくれた名前だがな。


あなたは、何者なの?


やっぱり動物は気づいちまうか。

俺は、犬じゃない。

正体は言えないが、特にこの家に危害を加えることは無い。


むしろ、恩人の太一に恩返しをする予定だ。


本名は、チョーガ・ス・ルージュだ。

よろしくな。


よろしく。


仲良くできそうだわね。


こうして、密かに動物同士の挨拶が終わっていた。

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