短編.番外編.いつものごめんの積み重ね


少々お待ちくださいませって言う人ほど待たせないよねと言う大人びた話に、成長を感じつい、友人を見るが。

彼女、夏帆には笑い返されるばかり。

いい加減、事前連絡くらいして欲しいものだ、娘を見習って。





最近、時間が読めなくてストレスが溜まると話し出した夏帆の娘、ほたるちゃんが話すのを私も母親の夏帆も聴きながら手は止めない。



淡々とヘタが取られ、飾りのため切るはここから交代して大人の仕事。

鍋に作ったジャム、牛乳、ゼラチンを入れ火にかけて、かき混ぜるは、見守りながら、ほたるちゃんにお任せ。


ちなみに今の私は汚れてもいいが清潔なお助け着とエプロン。自宅ではしない完全な家事おばさんスタイルで万全の準備、道具もわざわざ自宅から用意して来た。







久しぶりの友人から、ちゃんと事前連絡がと思いきやほたるちゃんからで、曰くいちごジャムを作りたいのだけど助けてと。

因みに、夏帆本人は食べる専門で作るのは夫さん。とは言え。

「バレンタイン来ちゃうからパパに、内緒でしたい」


カレンダーを見た。

日にちはあと数日に差し迫りすぎていた。



幼稚園の年長さんになるしっかり者なほたるちゃんだが、出来る作業は限られる。

幼稚園に行った後から作業をし、ジャムを作り始め。

帰って来たところから、ジャム、では無くジャムを使うお菓子を作ることに、話し合いの末変更。

ジャム作りのやたら混ぜる時間と、ジャムで作る予定のお菓子など時間配分も、作業量も理想は美しいが初心者にハードル激高で。

何かは妥協しないと、何も完成しなそうな計画だわかる。

すぐに話し合いをし。

手作りは譲れないほたるちゃんのこだわりの為に準備し、ジャムは代わりに作り。


ゼリーと、いちごジャムのクラッカーサンドと言うお菓子本体を、ほたるちゃんは作るそんな予定に組み直す、が。


母、夏帆本人は作業しながらとお菓子を取り出すくらい。呼んでおきながらこれは無い、そんな態度に内心イライラしながらも、作業は進み完成したのは冬だから日が短く薄暗い時間。


また来てと娘を室内に、アパート下まで見送りに来て言う夏帆に。

こっそり。

ほたるちゃんが、いないところで。

絶交の切り札を切る。



「いつも、送りつけたり、連絡しなかったり

人任せにしたい、何度やめてて言ったか覚えてない?」


「ごめん、次氣ぃつけるから」


「無理。自分でやって。出来るようになってよ、ほたるちゃんすら出来てるけど?」


お土産と帰る私に手渡したジャムはわざわざ、他人の家で朝から私が作った、ジャム。唯一、出来そうな食器洗いも、パパにしてもらいましょう、あげるんだしと言う。


夫婦や親子がどんな関係でも私に関係はないが。

私は、別れた夫にも、そして彼女、夏帆にも。

友人だから妻だから、と。

随分して来て、して貰うことは無いなと最近ハッキリ氣付いてしまい。



あ、止めよて。

もちろんほたるちゃんは可愛い。

今回頼まれてあげたのは、だからこそだけど。


もう、いい加減にして勝手にしてと。

言っていいって教わったから。



さよなら。

私と彼女の8年。



帰宅して一息いれたら、チャイム。

いつものドライバーさんから荷物を受け取り、何故か今日は少し注意される。


早い時間にした方が良い。

明るい時間にした方が良い。

それは、あなたの安全のために。


そんな氣遣い、大切に扱われたりし出したから。だから分かってしまった、一見良い人なのに、中身がずっと残念な人もいる事。



向かい合うこの人が、悪い人じゃ無いと良いなと思いつつ。警戒しつつ。


定番の会話のやり取りをし、ドライバーさんは帰り、私は二重ロックを掛け。

覗き穴を塞ぐ。



良い人は悪い人を見る目をくれた。

素敵な人、を見せてくれた。


それゆえ。

矢鱈と着信やメール受信で光りっぱなしの携帯電話を見てため息しかでない。

電源は切れないから着信合図のランプやバイブレーション、これ、どうやってきるんだっけ?



後日。夫さん個人携帯からの着信に折り返す。



聴かれて事情説明はした。

夏帆本人反省していると、聴いた。


だけど。

8年変わらないがすぐ変わるか?と言う話。


彼女のごめんに、重みや信頼性がないんだよなと言う事で。


しばらくやり取りしない事を改めて伝え、連絡してこないで欲しいと言う。


娘のほたるちゃんは出来た子で。

どうやら、しない夏帆の分、あの歳でせっせとしていただろう家事姿に。

尚更に、自己へ甘いのが目についた。


母であるし、まず人でしょう?貴方はとはほたるちゃん退いた、手前言わなかったが。


サヨナラして悲しいのはほたるちゃんに会う機会が無くなる事だけ。

下手にほたるちゃんとだけやりとりしたらまたなし崩しに夏帆はほたるのためだからと、私に寄り掛かりだす。

きっと未来はそうなるだ、ろ、うから。



私からさようならを突きつける。

いつもの口ばかりの、お返しを。


-お仕舞い-


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賞味十分の積み重ね 月見 @Tsukimi8taiyou

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