第273話 お尻の痒みが収まる不思議な踊り
~ 奈落のダンジョン ~
フロアボスの広間では、クロウルス・マカブリスの解体を終えたエルミアナとユリアスが、キモヲタの【足ツボ治癒】ライトバージョンを受けて体力を回復していました。
「んっ……んっ……んふっ❤」※エルミアナ
「あんっ❤ キモヲタさま❤ くっころ❤」※ユリアス
ユリアスによる「くっころ❤」をありがたいと感謝はしていたものの、二人の悩まい声に、キモヲタが発情することはありませんでした。
というのも、背後にいるドラゴンボーンズたちの痒さに苦しむ声が、あまりにうるさすぎて、発情どころではなかったからです。
「「「「うぉおおお! ケツが痒いぃぃ! 虫に噛まれたところが痛てぇえ! それより痒い! ケツがかゆかゆ痒いぃぃ!」」」
ステータスが【体力無限】なのかと疑いたくなるくらい、彼らの絶叫はいっときも途切れることなく続いていました。
「キモヲタ様……」
ユリアスがキモヲタに近づいてきて、耳元で囁きました。
『私としては、キモヲタ様の【お尻痒くな~る】のことはなるべく秘密にしておきたいです。もしクラウディア様に知られでもしたら、私もキモヲタ様も絞首台に送られかねません』
キモヲタをアシハブア王国の名誉男爵に推したのはユリアスです。もしソープランドのプレオープンで、クラウディア姉弟が痴態を
しかもそのときは、もう一人の被害者であるルートリア連邦のアイザック・フォンベルト連邦貴族議員と、カザン王国のアリエッタ姫をも巻き込んでいます。下手するとルートリア連邦とカザン王国からも、責任を問われかねないのでした。
『そ、それは大変とてつもなくヤバイでござる。絶対に知られるわけにはいかぬでござるよ』
『ここはドラゴンボーンズの方々をなんとか言いくるめてしまいましょう……』
相談の結果、キモヲタが考え付いたのは……
「ソイッ! ソイッ! ソイソイッ! ソイソイッ!」
ドラゴンボーンズたちの前で「お尻の痒みが収まる不思議な踊り」を踊り続けることでした。
両手を勢いよく振って円形の軌道を描きながら、ときおりソイヤと突きを入れたり、奇妙な動作を加えて踊り続けました。
その動きは、普段のキモヲタからは想像することができないほどキレの良いものでした。
「ソイッ! ソイッ! ソイソイッ! ソイソイッ!」
「キモヲタ! うぉおおお! ケツが痒いぃぃ!」
「その踊りは! ふえぇええ! お尻がかいぃぃ!」
「なんなの? かいかい! あと虫に噛まれたところが痛いぃ!」
「さっ? ケツがかゆかゆ痒いぃぃ!」
「ウーッ! 盾でお尻ズリズリキモチイイ! ヤーッ!」
ドラゴンボーンズたちのお尻を掻きながらの質問に、ヲタ芸で応えるキモヲタ。
「これは! ソイッ! ソイッ!」
「みなさまの! ハッ! ハッ!」
「お尻の痒さを消す祈り! ハイッ! ハイッ!」
「でござる! ハイハイハイッ!」
「「「「うぉおおお! ケツが痒いぃぃ! キモヲタ! 感謝する! 虫に噛まれたところが痛てぇえ! それより痒い! ケツがかゆかゆ痒いぃぃ!」」」
それから約二時間、
キモヲタの不思議な踊りと、ドラゴンボーンズたちの応酬が続けられました。
もちろん、キモヲタは途中でセルフ【足ツボ治癒】を施して体力回復にしていたのでした。
「あふん❤」
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