第271話 腕立て百回! フィオナ・ランバート訓練生
キモヲタたちが奈落のダンジョンでフロアボスを討伐していた頃、セリアとソフィアは、グレイベア妖異対策局で実践訓練の真っ最中でした。
グレイベア村から南30キロにある初級ダンジョン入り口。
その前に整列している5人の訓練生を前に、サキュバス族にしてFカップの鬼教官イリアナ(銀髪緑眼)が、胸をバルンとさせて激を飛ばしていました。
「いいか子ブタ共! 本日は、貴様らが一人前の帝国軍人を目指すに値するブタになるか、それともママのおっぱいを吸うしか能のないクソブタになるかの天王山でだ!」
「テン・ノー・ザン?」
「フィオナ・ランバート訓練生! 私語は慎め! 腕立て百回!」
「了! いっち、にー、さん、しー……」
フィオナがその場で腕立てを始めるのを見て、イリアナが話を続けました。
「このダンジョンの地下三階にいるフロアボスを倒すのが貴様らの目的だ! 安心しろ! 既にこのダンジョンは我等タヌァカ帝国水陸機動隊によって制圧済みだ。現在も、お宝を求めて何人が潜っている。貴様らはただフロアボスを倒すことに集中して構わない!」
イリアナは訓練生ひとりひとりの顔を見て、その覚悟ができているのかを確認します。
「にじゅう、にじゅういち、にじゅうに、にじゅうさん……」
「それではフィオナの腕立てが終わり次第、ダンジョンに潜れ! 地下三回のフロアボスを倒してそいつの核石を回収し帰還せよ!」
「「「「了!」」」」
4人のメンバーは装備を整え始めると、イリアナがフロアボスについて解説をはじめました。
「フロアボスはクロウルス・マカブリス。クソ喰らいの王とか呼ばれてる、ようはでっかいフンコロガシだ! 小さい虫を操って襲ってくるから、虫よけのクリームを塗るのを忘れるな。ちなみにこの”虫こなくな~るC”は、ほとんどの羽虫を寄せ付けなくなるスグレモノで。対策局の売店に置いてあるから、冒険のときには必ずい本は持っおけ」
「「「「了!」」」」
「よんじゅうきゅー、ごじゅう、ごじゅういち……」
腕立てを半分クリアしたフィオナに、訓練生Aが話しかけます。
「あなた火炎放射器をお願いね」
「ろくじゅう、うん、わかった、ろくじゅうに……」
「……」
「……」
「……」
そこからフィオナが腕立て終えるまで、なんとも言えない空気の時間が続きました。
「きゅうじゅうきゅう、ひゃく! 腕立て終了しました!」
「よし! では急ぎ装備を整え次第、出発しろ!」
「了!」
こうしてセリアとソフィアと訓練生ABCは、フロアボス討伐のためにダンジョンへと潜っていくのでした。
青い迷彩服を着た訓練生たちは、64式7.62mm小銃を構えつつ、慎重にダンジョンの中を進んできました。その中で耐火防護服に身を包んだフィオナだけが、火炎放射器を手にしています。
フィオナがガスマスク越しにセリアに語り掛けました。
「フゴーフゴー。セリア姉さん。フロアボスを倒したら、いよいよ卒業だね。フゴーフゴー」
「えっ、なに? よく聞こえなかった
セリアがフィオナの方を向いて、ポンポンと自分のゴーグルを指で叩いて見せると、慌ててフィオナがゴーグルのスイッチをオンに切り替えます。
「ありがとう! いよいよ卒業だね!」
インカムから響くフィオナの声にセリアが頷くと、今度はイリアナの叱責が届きました。
「気を緩めるな! 訓練に集中しろ!」
「「も、申し訳ありません!」」
「わかればいい。もし途中に宝箱があったら中身をちゃんと回収して、わたしの土産に持ち返れよ!」
「「了!」」
こうしてダンジョンの奥を進んでいく二人と訓練生ABC。
「いよいよだね。フィオナ」
「そうだね。セリア姉さん」
わずかに押し広げた扉の間から、訓練生Cがスタングレネードを投げ入れます。
「閃光弾!」
訓練生Cが叫んでから10秒後。
「突入!」
訓練生Aの号令で、フロアボス部屋に突入するセリアとフィオナなのでした。
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