第175話 夢の異世界ファンタ乳!

 深夜のキモヲタ邸建設現場で、角材の影に身を潜めながらキモヲタはラミアたちが働く様子を覗き見ていました。


(バルンバルン! バルンバルンでござる! まさに異世界に求めていた我輩の理想郷があそこでバルンバルンしているでござるよ!)


 ぶつぶつと独り言をつぶやくキモヲタの視線の先では、長い蛇体と人間の細いくびれ、そして驚異的な二つのスイカあるいはメロンあるいはバスケットボールを乗せたラミア女子たちが働いていたのでした。


 もしキモヲタの脳内がエロ汁で満たされていなければ、彼女たちがスポーツブラをしていることと、その胸元にあるシュッとした線のマークに気がついたかもしれません。


 もしエロではなく普通に注意深く彼女たちを観察していれば、そのマークが前世で見たことのあるもので、この世界で手に入るものではないことにも気づいたかもしれません。


 しかし、いまキモヲタの脳内は、バルンバルンとダイナミックに胸が躍動するラミアたちの映像をRECするのに120%のリソースを費やしていたのです。


 異世界に来てからキモヲタは、様々なファンタジーな種族や生物を見てきました。

 

 前世ではありえないようなゴブリンやサイクロプスといった魔物は、確かにキモヲタの好奇心を十分に満たす存在ではありました。それどころか妖異なるホラー成分過剰な化け物までいる始末。


 前世でキモヲタは「我輩も異世界転生してみたいものでござる」と思うことがよくありました。しかしそれはあくまでエロゲーの世界や、Web小説のランキング上位にくるような感じの世界であって、暗い魂が徘徊するようなダークな世界ではなかったのです。


(あのショゴタンなる妖異を見た時には、もしかすると死にゲーの世界に来てしまったのかと思ったものでござる。そもそも我輩が求めているのは恐ろしいモンスターではなく、エルフやケモミミ娘であって、オークとか黒スライムとかまったくいらんのでござるよ)


 キモヲタは魔物ではなく、美しい女性を通じて異世界を実感したいと常々考えていました。その願望はある程度は満たされていました。エルフのエルミアナ、犬耳族のキーラ、くっころ姫騎士男の娘のユリアス、目に炎を宿したセリア、さらには魔神ウドゥンキラーナ。彼女たちの存在は、キモヲタの異世界充足度を満たしてくれてはいました。


(あのイロモノ魔神を除けば、前世であってもエルフ耳とケモミミ尻尾などであればコスプレでなんとかなるレベルのものでござる。しかし、あのラミアたちはコスプレでどうこうできる次元のものではござらん!)


 確かにキモヲタの言う通り、ラミアたちは人間ではなしえないような動きを見せていました。長い蛇体を柱や梁に巻き付けて高所を移動し、人間の男が二人がかりでも動かせそうにない大きな建材でも尻尾で軽く引き上げたりしていたのです。


 さらに彼女たちは夜目も効きました。


 二つの月が明るく輝き、魔鉱灯や篝火かがりびが焚かれているとはいえ、今は深夜で暗いことには変わりがありません。


 この現場の作業監督を務めているらしいドワーフは、ずっと篝火の近くに立っていラミア女子たちに指示を出していました。火の近くでもまだ灯りが十分でないらしく、図面を見るときには魔鉱灯をかざしています。


 キモヲタも、暗闇に目をならしてから天幕を出てきていたのですが、それでもここに来るまでに何度もつまづいて転んでいました。


 しかしラミアたちは建物の中でも外でも、まるで昼間同然のようにスルスルスルスルと自由自在に移動していくのです。


(人体蛇身という異世界なフォルムと機動力。人間離れしたあの膂力。そして何よりあの巨乳! あの巨乳! そしてあの巨乳!)


 ラミアたちは基本蛇の動きであり、移動する度に彼女たちの身体に様々なベクトルから力が加わることによって、胸部がダイナミックに跳ね回るのでした。


 それは大きいうえに激しくバルンバルンするので、薄暗い中でもハッキリと視認することができました。


 屋根の上を移動するラミアを見たキモヲタは、双月の光をバックに跳ねるラミアのおっぱいに思わず感動の涙を流してしまうのでした。


(これぞ 異世界! あぁ、これぞ我輩が求めていた異世界成分でござる。このラミアおっぱい天国こそ、我輩の夢見てきた異世界ファンタちちでござる!)


 建材の陰で感動に打ち震えていたキモヲタ。


 クルクルッ。


 突然、キモヲタのでっぷりとした身体に何かが巻きつけられました。


「なっ!?  何事!?」


 と思った次の瞬間には、キモヲタの身体は空中に引き上げられます。


 何が起こったのかわからずパニックに陥るキモヲタに、下から女性が声をかけてきました。


「こんなところで私たちのことを覗いて、いったい何のつもりなのかな?」


 キモヲタは下を見ずとも、自分の身体に巻きつけられたものによって、声をかけてきた女性が誰なのかわかりました。


 それが腕が触れたところに感じる湿ったなめらかさ。


(こ、これはラミアでござる! 我輩、いまラミアに巻かれているでござるよぉおお!) 

 

 感動のあまりデュフフフフとキモイ笑いを浮かべるキモヲタなのでした。





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