第170話 ちっぱかろうとおっぱかろうと大好物でござるからね!
天幕のなかでユリアスから、王都で頻発している行方不明事件について話を聞いたキモヲタ。
久しぶりに女神クエストを確認してみれば、そこにはカザン地下帝国なる場所にドド=スライムと、仮面の者という未知の妖異がいることが分かってしまったのでした。
女神クエストを確認したことによって、キモヲタは初めてカザン地下帝国なるものが存在したことを知りました。
「地下水道がかなり深いダンジョン構造になっていて、深層に住む者たちがいるのは聞いてござったが、まさか地下帝国とは……下の世界は我輩の想像していた以上の規模らしいですな」
顎に手をやって考え込むキモヲタにユリアスが、
「その地下帝国に妖異がいるということは、間違いないのでしょうか。そこにあの大きな黒スライムがいるのだとすれば、放っておくわけにはいきませんし、行方不明事件との関わりも気になります」
とドド=スライムを行方不明事件を結び付けて考えようとします。
「確かにドド=スライムは恐ろしい妖異ではござるが、動き自体は遅いので女性の足でも十分に逃げられるはずでござる。まぁ自分から近づいたり、ばったり出くわして気絶するというのなら別でござるが」
実際にドド=スライムを見たことがあるユリアスは、キモヲタの意見に同意します。
「となると、キモヲタ様の女神クエストにあるもう一方の妖異。『仮面の者』でしたか。行方不明についてはそちら妖異が怪しいかもしれませんね」
そこへ、外に飲み物をもらいに行っていたキーラとソフィアが戻ってきました。
「キモヲタ、ユリアス、ただいま! アーシェの生乳搾りラッシーもらってきたよ!」
キモオタに「ハイッ!」と言いながら、アーシェの生乳搾りラッシーを手渡すキーラ。
「もらってきました! ハイッ!」
ソフィアもキーラをまねて、ユリアスにアーシェの生乳搾りラッシーを手渡すのでした。
「ねぇねぇ、キモヲタ! ボクたちキモヲタが喜びそうないい話を聞いてきたよ! このアーシェの生乳搾りラッシーなんだけど、アーシェっていうのは、女の人の名前で、その人のおっぱいがとっても大きいんだって!」
「その話くわしく!」
おっぱいというキーワードに即反応するキモヲタ。想定通りだったキモヲタの行動に、キーラとソフィアはお互いに目を合わせて「してやったり!」という表情になるのでした。
「それでそのアーシェって人のおっぱいから絞ったお乳から作ったのが、このラッシーなんだって!」
「なんだって! です!」
楽しそうに話すキーラとソフィアを見て、キモヲタはニチャリと相好を崩します。
「なんと! 首都中で大流行しているアーシェの生乳搾りラッシーが、そんな風に作られていたとは!? そのアーシェなる女性はよほどの巨乳なのでござろう」
そう言ってキモヲタは、ついキーラの胸元へと視線を向けてしまいました。
「あっ!? いまボクの胸を見たな! なにを考えたのさ! ちっちゃいとか、そんなとこでしょ!?」
バッと両腕で胸を隠しながら、キーラはキモヲタを睨みつけました。
キーラよりも年下で妹分のソフィアは、フォローして良いものかどうか戸惑ってオロオロしていました。ソフィアは、キーラよりも立派な果実を下げており、それをキーラがうらやましがっていることを知っていたからです。
「どうせキモヲタはデカ乳が好きなんだよね! エレナとかシスター・エヴァとか、いっつも胸ばかりみてるじゃん!」
「ちょ、キーラタン! 我輩がデカ乳好きなどと、それは聞き捨てならんでござるぞ! 我輩はデカ乳好きではない、乳好きなのでござる! もっと言わせていただけるのでござれば、キーラパイはちっぱかろうとおっぱかろうと大好物でござるからね! キーラタンのパイだから好きなのであって、ちっぱいおっぱいは関係ないでござるんだから! フン!」
何故か途中からキモイ感じのツンデレになってしまったキモヲタ。
「むっ!?」
思わぬキモヲタの反撃に、キモヲタの腹を爪でひっかいてやろうとしていたキーラは爪を立てたままフリーズしてしまいます。
キモヲタの奇妙な言い回しのせいで、キーラはキモヲタの言っていることを半分も理解できてはいませんでした。ただキモヲタが、自分の胸が好きだと言っていることは分かっていました。
「むむぅぅうっ!?」
反応に困ったキーラは顔を紅潮させ、そのまま戦闘態勢を保ってフリーズしていました。
ブルンブルンブルン!
が、尻尾が高速回転していることに本人は気づいていません。
「もしちっぱいのが気になるというのでしたら、我輩が毎日揉んでさしあげるでござるよ。愛情込めて揉めば揉むほどに大きくなるそうでござるからな!」
そう言って両手をワキワキさせて近づいてくるキモヲタ。
「キシャアァアアア!」
「ぎゃぁあぁあ!」
キモヲタのキモイ行動のおかげで、ようやくそのお腹を爪でひっかくことができたキーラなのでした。
そしてこの同時刻。
カザン王国より遥か東にあるアシハブア王国の辺境で、生乳搾りラッシーに自分の愛称を付けられた女性が、大きなくしゃみをしていました。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927862346660239/episodes/16818093079058852553
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