第142話 ウホるシスターと奇跡の治癒師

「キ、キモヲタ様は治癒師で、それでここにいる怪我人たちを治療していただける……と?」


 シスター・エヴァの問いに、キモヲタは大いに頷いて答えます。


「冒険者登録上は、我輩、二次元ロリ紳士教の僧侶となってござるが、治癒スキルもそこそこ使えるのでござるよ」


「は、はぁ……そうですか」


 まだキモヲタのことを消化しきれていないシスターに、キモヲタはある申し出をしました。


「我輩が治癒師だと証明するために、まずシスターに治癒を受けていただきたいのでござるが、いかがでござろうか。病気や怪我がなくとも、肩こり腰痛リウマチなかなか取れない目の疲れなどもスッキリするはずでござるよ」


「な、なるほど……そうなのですね……えっと……なら……わかりました」


「では、個室を用意していただけますかな。実は我輩が治癒スキルを使うことは、あまり知られたくないのでござる。な、なので治癒するところも、できるだけ見られたくないのでござるよ」

 

 は言ってないものの、言いづらいアヘ顔ダブルピースのことをあえてぼかしているので、キモヲタの言葉に微かな動揺が走ります。


 シスターが訝し気な視線をキモヲタに向けましたが、キーラの説得によって何とか納得。治癒の場所として、地下倉庫の一室を使うことになりました。


 そしてエレナとエルミアナが馬車に積んだ食糧や物資の引き渡しに向い、キモヲタとキーラとシスターは、地下倉庫へと向かうのでした。





~ シスター・エヴァの治療 ~


 キモヲタたちが地下倉庫の部屋に入って5分後。


「んほぉおおぉおおお❤」


 シスター・エヴァの全壊アヘ顔ダブルピースが10点満点で決まっていました。


「んぼぁああああああ❤ らめらめらめぇええ❤ きもてぃひいぃのぉおおおおお❤」


 いつものように耳栓をして、キーラに目を塞がれているキモヲタには、シスターによって繰り広げられているR指定なシーンを見聞きすることはありません。


 ただシスターに【足ツボ治癒】をする直前、


「ねぇ、キモヲタ。シスターに【足ツボ治癒】の悪いところも知ってもらうために、軽い治癒を体験してもらおうって考えてるよね。でも、どうせならシスターにキモヲタの凄さを方がいいんじゃないかな?」


 というキーラの言葉に納得したキモヲタ。


 気合を入れて丹念に念入りにシスターの足裏をグリグリしていたのでした。


 グイィィッ! グリグリグリッ! グリグリグリッ!


「あはぁあああん❤ もう駄目ぇぇぇ❤ そこはだめだめだめぇええ❤」


 いつもより強く揉んでいることもあって、【足ツボ治癒】で発生する緑の光がいつもより強く輝いてシスターの身体を包みこんでいました。


 グイィィッ! グリグリグリッ! グリグリグリッ!


「だめだめだめ出ちゃう❤ 出しちゃだめなのでちゃうぅぅ❤ あはぁあああ❤」


 シスター・エヴァは身体から意識と諸々の水分が飛び出ていくのを感じていました。


 そして犬耳族の少女が、治癒の前に着替えの服とバケツと雑巾を用意させた理由を遠のく意識の中でようやく理解したのでした。




~ 事後 ~


 治癒を終えたキモヲタが、キーラに目を塞がれたまま部屋を出て――


 部屋に戻ったキーラが、アヘ顔のまま意識を失っているシスターの諸々のお片付けをして――


 意識を回復したシスターがまだ朦朧としている間に着替えを手伝い終えた頃――


「ハッ!? わ、私は何を!? ここはどこ!?」


 ようやくシスター・エヴァは正気を取り戻しました。


「キモヲタ―! シスターが目覚めたよ! お着替えも済んでるからこっちきてー!」


「ほいほいでござざる~! それじゃ入るでござるよ……って、えぇええええ! キーラたん!?、この美女は誰でざるか!?」


「誰って、シスター・エヴァだよ!? なに言ってるの!? って、キモヲタの目は塞いでたからそんな反応になっても仕方ないか」


 若かりし頃は美しかったであろう面影はあったものの、見た目にも老年の域にどっぷりとつかっていたシスター・エヴァ。


 それがキモヲタ本気の親指使いで行われた【足ツボ治癒】で、外見年齢が20~30年ほど若返っていたのでした。

 

 地下倉庫の部屋には鏡がなかったので、自分の姿が確認できなかったシスターでしたが、それでも手足から見える肌の艶と張り、金髪の毛先の艶やかさに驚いていました。


「何だか身体がとても軽いですし、目も良くなったのかしら……周りがとてもハッキリと見えるわ」


「シスター! 治癒の前よりすっごく若返ってるよ!」


 キーラの言葉に、シスターが顔を真っ赤にしながらキモヲタを見つめました。


「キーラたんの言う通りでござるよ。これほどまでにシスターが美しい若返りをされるなど、我輩もビックリでござる。もし我輩がキモヲタデブ前世繰り越しDTでなければ、シスターに結婚を申し込むところでござる」


「あらあら!? まぁまぁ!?」


 キモヲタとキーラに褒められて、まんざらではないシスター。


 しかし、本当に驚くのは三人が地上の礼拝堂に戻ったときなのでした。


「誰!? あんな美人のシスター、ここ復興局にいたっけ!?」

「はわわ!? とってもとってもキレイなシスターがいるのですぅ!」

「あのお姉ちゃん、スゲー美人だ!?」

「愛してます! 結婚してください!」


 シスター・エヴァを見た全ての男性と男の子と百合が、若返った彼女に驚嘆の声をあげるのでした。


「あらあら!? まぁまぁ!?」

   

 そして皆から求婚を受けて、まんざらではない様子のシスター。


 若返るまでの過程で発生した色々な悲劇的出来事が頭からすっかりと抜け落ちてしまい――


 復興局でのキモヲタの治療を許可してしまったのでした。






















 



 



 

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