第135話 みんなで一緒にスライム退治
大ネズミ退治クエストで、黒スライム対策について自信を深めたキモヲタは、女神クエスト「ドド=スライムの狩猟」を受注することにしました。
その日の夜、宿に戻ったキモヲタは、エルミアナとエレナに女神クエストについて話、二人に協力をお願いしました。
「わかりました! 他ならぬキモヲタ殿の頼みとあらば、すぐにでも向かいましょう!」
王都に来てからずっとエレナの護衛ばかりで、色々と鬱憤が溜まっていたのか、エルミアナが喰いついてきました。
一方のエレナといえば、最初はかなり慎重な態度で色々とキモヲタに質問をしていました。しかし、異世界のアダルトグッズを仕入れるためにEONポイントが必要であることを理解すると、積極的に協力する姿勢を見せるようになりました。
「ヘラクレスが高級娼館や貴族の間で大人気なのよ。その女神クエストとやらに成功したら、仕入れを増やせるってことでいいわよね」
「もちろんでござる! 最低でも20本は約束するでござるよ」
瞳に金貨を浮かべながら、頭のなかで皮算用をはじめるエレナ。そんなエレナのGカップをペシペシしながら、キーラはヘラクレスでどうしてお金を稼ぐことができるのだろうかと頭を巡らしているのでした。
「そういえばユリアスはどうするの? ボクたちと一緒に来れるかな?」
「ふーむ。ユリアス殿は相変わらず御多忙中の故、おそらくこの度のクエストには参加できんでござろうが、一応、声は掛けておくべきでござるな」
「となると、出発は明後日? となると南橋には行けないね。あの娘、大丈夫かな」
あの娘というのは、キモヲタとキーラが南橋で出会った幼い娼婦のことでした。キモヲタは銀貨5枚を渡し、1日1枚で彼女を買いました。銀貨がなくなるまでに再訪を約束していたのですが、その期限が明日だったのです。
「今回は仕方ありますまい。そもそも女神クエストの報酬があれば、エレナ殿に換金して貰って少女の身請ができるでござるからな。それから先のことはわからぬでござるが、少女ひとりくらい支えるお金は手に入るはずでござる」
キーラは目を伏せて、しばらくキモヲタの言葉について考えていました。その結果、あの自分よりも幼い少女のために何をするのが正解なのかはわからないまでも、いま自分のできる最善のことをやろうと決意をしたキーラなのでした。
「そうだね! お金がガッポガッポ入れば、きっと何とかなるよね!」
「そうでござる! この女神クエストでガッポガッポでござるよ! デュフコポー!」
キモヲタとキーラが、両手を胸の前にしてワキワキする姿をみて、頭がおかしくなったのではないかと本気で心配するエルミアナでした。
~ ドド=スライム退治 ~
それから翌々日。
エレナの馬車に乗って、キモヲタたちはドド=スライムのいる洞窟を目指して進んでいました。
「ヒヒィィイイン!」
エレナの馬車を引くキンタは、ひさびさの旅路にご機嫌のようでした。
洞窟は、カザン王国の首都から西に馬車で一日の距離にありました。馬車は、ユリアスが御者を務めており、その隣にはキーラが腰かけていました。
「ユリアスも一緒に来られてよかったよ! やっぱり皆がそろった方が楽しいよね!」
「私もそう思います。ちょうど書類の山を整理し終えたところで、休みを取ることができたのは僥倖でした」
アシハブア王国大使館での書類仕事にうんざりとしていたユリアス。キモヲタたちが女神クエストに出発するときいて、かなり強引に掛け合って休暇を取得したのでした。
「ただこのクエストが終わった後のことを考えると、少し憂鬱になってしまいますが……」
ユリアスは、この休暇中にも机に積み上げらるだろう書類の山を想像して、思わず肩を落とすのでした。
キーラがどう慰めようかと困っているところへ、前方から偵察に出ていたエルミアナの白馬が駆け戻ってきました。
「この先にそれらしき洞窟がありました! キモヲタの言う通り、かなり大きな鍾乳洞のようです!」
キモヲタの視界には受注した女神クエストの詳細が表示されており、そのなかに「ターゲットまであと2km」という項目があったのです。
馬車が進むに連れ、表示されている距離はどんどん小さくなっていきました。
「ふむ。その穴で間違いないでござるな」
洞窟の前に馬車が到着するころには、キモヲタの【索敵マップ】にも数多くの敵らしきマーカーが表示されていました。
「うげっ!?」
洞窟の入り口で、そっとなかを覗き込んだキーラが悲鳴を上げました。
「すぐ近くまで黒スライムが出てきてる! この洞窟、黒スライムだらけだよ!」
キーラと同じように洞窟を覗き込んだユリアスとエルミアナも、黒スライムの量に驚いて息を呑んでいました。
ちなみに冒険者でないエレナはわざわざ悲鳴をあげるようなことはせず、馬車の上でずっと待機しています。
馬車の荷台から、大量の松明を降ろしたキモヲタは、火を起こしながらキーラに声を掛けました。
「黒スライムだらけということは、すなわちEONポイントだらけということでござるよ、キーラたん!」
「そうだよ! そうだった! これはガッポガッポだよ! おっきいスライムもいるんでしょ? 激ヤバガッポガッポだね!」
「その通りでござるよ!」
唖然とする他のメンバーをよそに、二人のテンションは最高潮なのでした。
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