第133話 女神クエスト「ドドスライム退治」

 異世界転移者であるキモヲタは、【足ツボ治癒】と【お尻痒くな~る】の他に【ネットショップ】という特殊なスキルを持っていました。


 とはいえアダルトグッズ専門店でしか買い物ができないものですから、最初の頃は完全なハズレスキルだと考えていたキモヲタ。

 

 不平不満を口にしつつも利用を続けているうちに、アダルトグッズも工夫次第で何かと生活に役立つことに気がつきました。


 さらにエレナとの出会いによって、キモヲタは大人のグッズをお金に換えることができるようになったのです。


 また商品のなかにはコスチュームや下着、メンテナンス製品や衛生用品などもあり、こうしたものを販売してみるのはどうかとエレナに相談したりもしていました。


「というわけで、ネットショップから仕入れた商品で大儲けしてビリオネアーになるというのが、我輩の計画でござる」


 キモヲタから与えられたコスチュームや下着、衛生・生理用品を使い続けているキーラ。もはやこの世界のそうしたものでは耐えられない身体に変えられてしまっています。


 それはつまり、キモヲタが仕入れてくる商品の素晴らしさを、誰よりも理解しているということでもありました。


「それすごくいいね! キモヲタの出してくれるモノなら欲しがる人もいっぱいいるはずだよ!」


「そうでござろう。そうでござろう。それで仕入れのために必要なEONポイントをガッポガッポ稼ぐあてが、あるのでござるよ。いま地下水道でスライムを狩っているのは、そのための下調べをしているのでござる」


 ニタニタと笑顔を浮かべながら、両手を胸の前に持って来てワキワキと動かすキモヲタ。いつもならドン引きするようなキモヲタの表情と動きを見ても、いまのキーラはまったく気になりませんでした。


「そうだったんだ! よくわかんないけど、スライムをやっつければガッポガッポになれるんだね!」


「もちろん! ガッポガッポでござる!」


 キーラも、キモヲタが胸の前で手をワキワキと動かすのをマネはじめます。


「わーい! ガッポガッポ! ガッポガッポ! だったらキモヲタ! もっといっぱいスライムを狩ろう! 早く! 早く!」


 薄暗い地下水道を、ガッポガッポと奇妙な哄笑をあげながら進んで行くキモヲタとキーラなのでした。



~ 女神クエスト ~


 地下水道でスライムを見つけると、二人は喜々として駆け寄ってこれを退治していきます。


 その度にキモヲタは、スライムを討伐したことに対する報酬としてEONポイントが貯まっていくのを、視界に表示されているメッセージで確認していたのでした。


≫ 黒スライムを討伐しました。報酬5000EONポイントを入手しました。


 キモヲタの視界には、その他にも情報が表示されていました。そのひとつが、キーラに語ったEONポイントがガッポガッポになりそうな「女神クエスト」ウィンドウだったのです。


≫ 受注可能な女神クエスト一覧

≫ ● 悪魔勇者を探せ! 報酬:EON5000万ポイント

≫ ● 悪魔勇者を倒せ! 報酬:EON60億ポイント

≫ ● 悪魔勇者眷属を探せ! 報酬:EON3000万ポイント(個体毎)

≫ ● 悪魔勇者眷属を倒せ! 報酬:EON3億ポイント(個体毎)

≫ ● 妖異 ショゴタンの狩猟 報酬:EON300万ポイント

≫ ● 妖異 ヒトデピエロの狩猟 報酬:EON220万ポイント

≫ ● 妖異ドド=スライムの狩猟 報酬:EON200万ポイント

≫ ● 妖異 黒スライムの狩猟 報酬:EON5000ポイント


 このリストの中でキモヲタが直接であったことがあるのは、ショゴタンと黒スライムだけす。


 もちろん肝っ玉がミジンコ並みのキモヲタです。いくら報酬が高額であるとはいえ悪魔勇者などとは、絶対に関わり合いになりたくないと考えていました。

 

 となるとショゴタン、ヒトデピエロ、ドド=スライムの狩猟が候補に絞られてきます。


 そこで、キモヲタの脳内スキル【フワーデ図鑑】で調べた結果、最終的にドド=スライムを相手にすることに決めたのでした。


【フワーデ図鑑】

 ドド=スライムは、どどーんって感じのすっごく大きなスライムだよ! 黒スライムがいっぱい集まっておっきくなっちゃったの! このスライムにも核があって、それを破壊するとへにゃへにゃってなって、そのうち消えちゃうんだよ。おっきいから、消えるまでにだいぶ時間がかかっちゃうけどね! 同族を取り込んだ際、取り込まれた核がだんだん中央に集まって、より大きなひとつの核になっていくよ。おっきくなると、質量攻撃が半端なくごいすーこわいーって感じになるよ。でもね。いくらおっきくなっても火には弱いんだよね。もしず~っと攻撃をかわし続けられるなら、松明でちょっとずつスライム部分を焼いていくことだってできる! 火を近づけるとね、ジュワーッて音がして蒸発していくみたいに消えて行くの! 最後に残った核も、もし割れそうにないなら、焚火に20分ほどかけて「上手に焼けましたー!」ってなったらもう復活することもないよ。あっ、お腹が空き過ぎてるときだと、もしかしてコーヒーゼリーに見えちゃうかもだけど、食べられないからね! お腹壊しちゃうよ!



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