第50話 ネットショップ「ナイトタイムラバー」

 対ショゴタン戦では傷ひとつ追わなかったキモヲタですが、アイシャ村長による精神の凌辱で、心をポッキリと折られたキモヲタ。


「スーハー、スーハー、はぁ……キーラたんの耳の匂いが、我輩の精神安定剤でござるぅぅ」

 

 いまキモヲタは、キーラを膝の上に乗せて、その大きな犬耳に鼻を埋めていました。


 当然キーラを膝に乗せたとき、キモヲタの脳内ではすぐに異端審問が開かれました。


 しかし、アイシャの精神攻撃によって、キモヲタの心が瀕死の重傷であることを考慮し、今回に限り目を瞑るという慈悲深い判断が下されたのでした。


 単に自分に甘いというだけかもしれません。


「もうっ! 耳がくすぐったい! それに息が荒くてキモい! もういいでしょ! そろそろボクを放してくれないかな!?」


「スーハー、スーハー、我輩の穢されてしまった魂が浄化されるまで、後、30分は必要ですぞ。それともキーラ殿の尻尾の付け根をクンカクンカさせていただけるのですかな? それなら5分でしますが?」


「いやっ! 尻尾は駄目! 絶対、キモヲタ変なことするし!」


「ならば後30分、このままですな! スーハー、スーハー」

 

「うぅ……嫌なのに……」


 涙目になったキーラを可哀そうに思ったエルミアナが、少し怒りを含んだ声でキモヲタに言いました。


「嫌がっている少女に無理強いするとは……まさか、奴隷紋を使って従わせているのではないでしょうね!?」


「奴隷紋は使ってござらんよ」


「本当に!?」


 エルミアナがキーラに目線で確認すると、キーラはコクコクと頷きました。


 てっきり奴隷紋による強制力で、無理やりキーラを従わせていたと思っていたエルミアナは、それ以上は何も言えなくなってしまいました。


 それから30分続くと思われたキモヲタのセクハラは、5分程度で終了します。


 というのも――


異端審問官:「裁判長、キモヲタが、膝に乗せたキーラタソのお尻の柔らかさを堪能していることが判明しました。どうやらこれは、最初にキーラタソのお尻が、キモヲタの膝に接触した瞬間から行われていたようです」


弁護人:「裁判長、それだけではありません! 膝に乗せたキーラタソが落ちないようにと自分に言い訳しながら、先程からキーラタソの二の腕をずっとサスサスしています!」


キモヲタ:「ちょ弁護人!? 弁護はどうしたでござる!?」


裁判官:「ふむ。それでは判決を言い渡す」


異端審問官:「……」


弁護人:「……」


キモヲタ:「……」


裁判官:「……」


異端審問官:「……」


弁護人:「……」


キモヲタ:「……」


裁判官:「ギルティ!」


キモヲタ:「ノォオオオオ!」


―――――――

―――


「えっ? キモヲタもういいの? まだ5分も経ってないけど?」


「だ、大丈夫でござる。これ以上続けたら、警察に通報されてしまいますからな」


「ケーサツ?」


「まぁ、とにかく、キーラたんのおかげで我輩、自分の性癖に自信を取り戻すことができたでござるよ。ありがとうでござる。デュフコポー」


 キモヲタから、いつものキモイ呼吸音が聞こえてきたので、キーラはキモヲタが元気になったと思って、ほっとしたのでした。




~ ネットショップ ~


 村から大変な感謝と歓迎を受けたキモヲタたちは、しばらくの間、このアネーシャ村に滞在することになりました。

 

 村の安全を確認するために周囲の調査に向うエルミアナにキーラを押し付けて、キモヲタは宿の部屋にひとり腰を落ち着けるのでした。


「さて、ネットスーパーというのを使って買い物でもしてみるでござるかな」


 キモヲタが視界に現れた「ネットショップ」に意識を向けると、奇妙な確認ウィンドウが表示されました。


「この先は18歳未満の方は進めません。あなたは18歳以上 / 18歳未満」


 10歳の頃から、こうした確認画面では反射的に「18歳以上」を選んできたキモヲタは、このときも反射的に「18歳以上」を選択しました。


 ピロロンッ!


 そうして表示された画面には、大きな文字で次のようなメッセージが表示されていました。


「ネットショップ『ナイトタイムラバー』にようこそ! あなたの性癖に合わせた商品を取り揃えております。どうぞお楽しみください」


「んっ!?」

 

 キモヲタは、そのメッセージを読んで自分の目を疑いました。というか自分の頭がおかしくなったのではないかと疑いました。


「ど、どうやら我輩疲れているようでござるな。今日は色々あったから仕方ないと言えば仕方ないでござるよ」


 キモヲタは目を閉じて視界をクリアにし、それから立ち上がって、身体を伸ばして、軽い運動をした後、再び最初からネットショップの画面を呼び出しました。


「ネットショップ『ナイトタイムラバー』にようこそ! あなたの性癖に合わせた商品を取り揃えております。どうぞお楽しみください」


「んっ? まだ我輩、眠ってござるかな?」

 

 そしてもう一度、目を閉じるところからやり直しました。


「ネットショップ『ナイトタイムラバー』にようこそ! あなたの性癖に合わせた商品を取り揃えております。どうぞお楽しみください」


「なんじゃこりゃぁああああああ!」


 キモヲタの絶叫が宿中に響き渡りましたが、その声を耳にした村人たちは「またあのオークが騒いでる」くらいにしか思わず、階下で食事をしていたセリアとユリウスも、いつものことだと思って、特に気に留めることはありませんでした。




※天使の補足

異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

第25話 神ネットスーパー

https://kakuyomu.jp/works/16816927860409109640/episodes/16816927861390127939

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