依存する穂村姉妹と決別し、瞑と深く深く繋がる。

〈空発学園・食堂・昼休み〉


――俺は葵の相談を聞く為、食堂へ足を運んだ。


対面する形でテーブル席に座り、俺達は昼食を取る。


それと……ありがたい事に、二人用の席がたまたま空いていて、葵の相談に乗るのには丁度良かった。 


【葵】

「……それで、“相談って言うのはさ”――」


【燈馬】

「……モグモグっッ、ンッ――ゴクッ……なんだ?」


俺は箸を置き、葵の話を聞く事にした。


一体、なんの相談があると言うのだろうか?


今の俺に出来る事は、ただ話を聞く事しか出来ない……。


【葵】

「ふぅ……“巴のコト”だよ――」


【燈馬】

「なんだよ……アイツがどうかしたのか――?」


【葵】

「いや……“あの一件あった”じゃない――?」


【燈馬】

「あぁ……“あの件ね”――うん」


俺は一瞬で理解していた。あの件とは……。


“瞑の秘密の部屋で”……穂村姉妹が崩れた、あの日のコトだ。


【葵】

「まだ、数日しか経ってないけどさ……アイツ、“アンタにまだ執着してるよ”?」


【燈馬】

「いやいや……俺にどうしろと――?」


巴が俺を気に入ったコトは理解している。


しかし……それを俺は止めるコトが出来ない。


恋がソレを証明している。あれだけボロッボロにさせても、全く俺を諦めていないのだから……。


【葵】

「ふぅ……一回、“ガチでアイツ潰してくれない”?」


【燈馬】

「……はぁ――“無駄だよ”……アイツを本気でボロッボロにして、一夜限りの関係をしたトコロで、むしろ“逆効果”になるだけだ――」


巴はそんなに諦められるヤツではない。月宮雅は未練を残しながらも、一応……別れられた。


しかし――巴は俺に彼女がいても、いなくても……。


そんなの、お構い無しに迫って来た女なのだ。


そんな女が簡単に諦められるかと言えば、諦められるワケがない……。


周りなんかより、自分優先で動く巴なのだから。


【葵】

「――分かってるけどさ……せめて、最後くらいガッツリとアイツと“ヤッテ欲しいんだ”」  


【燈馬】

「“逆効果になる”と言ってんだよ――?」


【燈馬】

「……お前、“ナニがしたいの”? そんなの、お前が一番身近にいるんだから、分かってんだろ……」


コロコロと男を誑かし、誘惑し……。


飽きたらすぐに男を捨てる様な女なのだ。


そんな巴が……唯一気に入ってしまった男――。


それが――“森燈馬と言う悪役”。


本当に気に入ったものは手放さない様に、巴も決して、燈馬を手放したりはしない。


巴にとって、燈馬……いや、俺の存在はそれ程大きくなってしまったのだ。


そうなった原因は勿論……“俺の適当な発言”なコトは否めない――。


【葵】

「ふぅ……そうだね、これは巴についての相談でもあるけど――“実は私自身の相談”でもあるのよ……」


【燈馬】

「そうかい……なら、お前の相談も聞いてやる」


なんだか……葵はさっきから、妙にソワソワしていた。


もしかすると……巴なんかより、葵自身の相談の方が比重が重いのかも知れない。


なんとなく――俺はそう感じていた。


【葵】

「燈馬……アンタも薄々気が付いてると思うけど、私さ――“巴と同じく変なんだ”……巴が家でアンタのコトを――ずっと喋っててさ……うん……ははっ……」


【葵】

「アンタには彼女いるし……でも、駄目なのに――アンタのコト……“ずっと意識してる”」


――クルクルッ……チラチラッ……。


葵はセミロングな青髪を指で遊ばせながら、チラチラと、俺に妙に色っぽい目線を向ける。


葵はどこか……発情した様子に見えた。


【燈馬】

「お前もかよ……ハァ――つまり、お前とも巴とも、忘れられるくらい……“もう一度シテくれと”……?」


本当にバカみたいな話だった。


そんなコトをすれば、巴もコイツも――。


“もう普通の日常には戻れない”……。


俺も瞑も――そして、恋も……“ある意味”――。


“イカれて異常な部類”なのだ。


本当はこんな駄目な世界へ、穂村姉妹を引きずり込みたくない。


でもきっと……嫌でもなんでも引きずり込まれる。


このルートはもう――。


“穂村姉妹とガッツリ絡む路線”なのだろう。


もう……止められないし、“止まらない”。


【葵】

「そう……“アンタのコトを忘れたいから”――」


【葵】

「“最後に”……“もう一度だけ”――“シテ”」


つまり……葵は巴が家で燈馬の名前を出す度に、あのイカれた部屋を思い出し、嫌でも発情し……。


そんな巴を止めたいが為の相談がコレなのだ。


確かに、あんな酷い世界を味わえば――。


誰だってそう思うコトだろう……。


一度受けた刺激はもう――“忘れられない”。


タバコと同じ様な“強烈な依存”を引き起こす。


そう……一度でも脳ミソにギャンギャン来る、超強い刺激を味わえばもう……“一生忘れられない”――。


俺がこの身をもって、知っている事。


“それが依存”なのだから――。


だからタバコも二十歳からしか吸えない。


そして恋愛もまた同じ……。


節度を守らないと――“壊れるくらい依存する”。


ちょっと前まで一切経験が無かった俺が、既に瞑にハマってもう……抜け出せないのだ。


度が過ぎると本当に悪影響を及ぼす。


共依存し、それはやがて“強依存”へと発展する。


そうなればもう――“戻れない”。


体も脳ミソも……もう――“オシマイ”。


だけど俺は――。


【燈馬】

「……“一人ずつは無理だ”。お前ら姉妹まとめてなら、まぁ……“本当に最後”になるけど、シテやる」


【葵】

「うん……ありがとう」


【燈馬】

「でも――分かってんだろ? 当然……“瞑も一緒”」


【葵】

「うん……それでイイよ」


【燈馬】

「……分かった。後で瞑に話しておくから、お前は放課後になったら、ウチの教室に来い」


【葵】

「うん……分かった。でも――チョットだけ、今コレから……“シテくれない”?」


【燈馬】

「バカ……お前、そんな時間ねえだろ」


【葵】

「“外の備品室”でチョットだけでいいから……」


【燈馬】

「……分かったよ。なら、さっさと飯喰って行くぞ」


【葵】

「本当にゴメン……あっはは――キツいんだよね……うぐっ――ふぅ……さてと、ご飯食べなきゃ」


葵は本当にモジモジして、ソワソワしていた。


それに……どこか高揚した表情で見られたら、俺は断れない――。


俺はどこまで行っても、押しに弱かった。


無言のまま、そのままひたすら昼飯を喰らい――。


〈空発学園・外・埃っぽい備品室〉


――俺達は……お互いを喰い合っていた。


埃っぽくて狭くて、物がゴチャゴチャした備品室の中で――。


俺達は激しく体を重ねて、激しくキスをして。


寒い寒い備品室でホッカホカになるまで……。


お互いを確かめ合う様にジックリと――。


《教室・授業中》


――案の定……昼休みは一瞬で過ぎ去り、俺達は大幅な遅刻をした。


俺と葵は別々の教室に向かい、一度分かれた。


教諭からは少し怒られて、五人衆からは怪訝そうな目で見られたり、笑われたり、逆に気にしないヤツもいて、なんだか俺は落ち着かなかった。


そのまま時が過ぎ去り――。


〈教室・放課後〉


――あれから俺は瞑だけに、ナニがあったのかを伝えた。


他の五人衆にはそのコトを伝えず、適当に誤魔化し、その場を凌いで。


瞑はアッサリとそのコトも、葵からの相談された事も受け入れた。


――ガラガラッ……。


【葵】

「……それじゃ、行こっか?」


【巴】

「ゴメンね……? 私達の変な相談受けてくれて」


【瞑】

「……私も、実は“巴ちゃんから言われたのよ”――もう一回、“サセてくれないかなって”」


【燈馬】

「だよな……こんなタイミング良く、姉妹揃って押し掛けてくるワケねえもん」


【巴】

「うん……巴もお姉ちゃんと別で、瞑ちゃんにお願いしちゃったんだ。フフッ――本当は駄目なのにね?」


【葵】

「そんなわけで……ごめんなさいだけど、月夜さん――チョットだけ、“燈馬を使わせてね”?」


【燈馬】

「おいおい……俺はお前らのオモチャじゃねえっての……」


【瞑】

「イイわよ? ふふっ……“今日だけ特別に貸してアゲル”。でも、“私も一緒なのは理解してね”?」


【巴】

「うん、ソレは大丈夫。だって、アナタが本当の彼女さんなんだから……」


【葵】

「巴……分かってるわよね? “コレで最後”。私達はコレで終わり。それ以降はこの二人に、チョッカイは掛けないのよ?」


【巴】

「うん……“そうしたいから”、今日相談したんだよ」


【燈馬】

「……“本当に最後だかんな”? 今日以降は、俺達はただの知り合いだ。じゃないと俺も瞑も大変だ」


【葵】

「分かってる。だからもう……行きましょう?」


【巴】

「お姉ちゃん? 巴、一回コンビニに寄りたい」


【瞑】

「ですって……イイわよね? ソレくらい」


【燈馬】

「あぁ……イイよ。俺も腹減ったし、適当にコンビニで飯とか買いたかったし、むしろ良かったわ」


【葵】

「それなら、もう行きましょう。時間も勿体無いし、アナタ達にも迷惑掛けるからさ……?」


【燈馬】

「あぁ……もう行こう」


――こうして俺達は、また間違いを犯す。


絶対に良くない道に進みながら……。


《マンション・瞑の秘密の遊び部屋・朝》


――ポタッ……ポタッ……ピチャッ……。


少し狭い、瞑の秘密遊び部屋に響き渡る――。


大量の汗が滑り落ちる音の数々……。


本当に俺達は……“穂村姉妹を潰して壊した”。


もう……二人共、ピクリとも動かない。


部屋はもう、メッチャクチャぐっちゃぐちゃ。


そんな酷い状況の中で……“俺達だけが嗤い合う”。


コレで穂村姉妹は満足して、諦めてくれるのか。


それは俺達には分からない……。


でも――本当に穂村姉妹は、気持ち良さそうな顔をして、本当にぶっ飛んでいた。


【瞑】

「……ふふっ――ごめんね? “もっとアナタ達と遊んでいたいけど”……“本当にコレで終わりなの”」


……さわっ――さわさわっ……。


瞑は崩れた姉妹の髪を優しく撫でる。


とてもとても……愛おしそうな顔をしながら。


スッ……。


――ズルズルッ……ガバッッ――!!


むにゅっ〜〜グイグイぃ〜〜ッッ!!


【瞑】

「さて……“ココからは私の番”よ……“ココまで我慢したんだもの”……もう限界なの……うっふふっ――」


瞑は汗だくな体を、俺に押し付けて抱き着いた。


そのまま俺の耳許で……艶めかしい吐息を吐きながら、俺を誘惑して――。


【燈馬】

「あぁ……イイぜ――“お互い壊れるまでヤろう”」


……ぎゅっッ――むにゅむにゅうぅ〜〜んっッ!!


【瞑】

「うん……いっぱいして――“この姉妹みたいになるまで”……“私を壊して”……」


【燈馬】

「あぁ……“俺もお前に壊されたい”――」


――そのまま俺達は強依存をする。


お互いが本当に潰れるまで、徹底的に愛し合って。


頭も体もボロッボロになるまでヤリあって……。


途中で目を覚ました姉妹をお構い無しに――。


俺達は狂い合って本当に愛し合った。


〈瞑の部屋・昼〉


――あれだけギクシャクしていた姉妹はもう……。


どこにもいない。


今はもう……。


【巴】

「ふふっ……お姉ちゃん――凄かったね本当に……」


【葵】

「うん……スゴかった――でも、駄目だよ? 二人の邪魔しちゃ……」


――きゅっッ――むにゅむにゅうぅ〜〜。


姉妹は堂々と俺の目の前で……。


【巴】

「うん……だから、“お姉ちゃんが慰めてね”?」


【葵】

「わ……分かってるよ。私も辛くなったら、“アンタにシテもらうから”――」


瞑のベッドの上で本当……イチャイチャしていた。


そんな姉妹はお互い、大きな胸を押し着けながら、抱きしめ合って、どこか……ウットリした表情を見せながら――。


俺の目に……良く映える光景を魅せつけていた。


【瞑】

「よっし……“コレで一件落着ね”――?」


【燈馬】

「……ま――まぁ……“ちょっと駄目な方向”での解決だけど……まぁ、いっか? アッハハ――ははっ……」


【瞑】

「イイじゃない……“あんな姉妹がいても”……」


【燈馬】

「ま……まぁ――ね? もう、どうでもいいや……」


――そんな本当に酷い展開を迎えた俺達は、そのまま学園をサボり、まったりユッタリした時間を過ごしていた。


〈瞑想の自宅・玄関前・夕方〉


――カタカタッ――カッッ……。


葵は靴を履きながら、一度止まる。


そのまま、二人を見送る俺達に向かって……。


【葵】

「燈馬……“後は恋だけよ”――私達は受け入れたけど、“あの子はまだアンタを狙ってる”……」


【葵】

「“本当に気を付けて”――燈馬もそうだけど……」


【葵】

「――“瞑さん”……“アナタもよ”……? 油断してると、恋に奪われるわ。あの子、未だに何考えてるか、分かってないし……“ナニしてくるか”――」


【瞑】

「分かってる……でも、“絶対に負けないから”」


【巴】

「頑張ってね? 巴も応援するからさ? あ、でも……“たまには二人の姿を見せてね”……?」


【巴】

「ふふぅ……だって、“あんな乱れた姿”見たらもう……ダメだもん――“忘れられないもん”!!」


【葵】

「ハァ……始まったよ――ゴメン、二人共……後でキツく言っとくからさ――」


【瞑】

「……イイわよ? “見るだけなら”……タダだし」


【燈馬】

「お――おい、ナニ言ってんだお前……?」


【瞑】

「いや、だから……“燈馬は使わせないけど”、見せるだけならいっかなって……?」


【巴】

「わーいっ!! ヨカッタ……本当にムラムラしたら抑えられないからさ? ウフフッ――? お姉ちゃん……お姉ちゃんも、“ソレでイイよね”……?」


巴は葵お姉ちゃんに懇願していた。


俺は頭をポリポリ搔きながら、ボケーっとそんな姉妹の様子を眺める。


【葵】

「ま……まぁ――アナタ達がイイなら……“その方が助かるかも”……?」


【燈馬】

「……仕方がない――スゲー恥ずかしいけど、イイよもう……好きにして」


【瞑】

「よしっと――そんなワケで、アナタ達はもう帰りなさい? 親御さん達、心配してるだろうしね?」


【瞑】

「ソレに……ふふっ――“コレから私達まだスルんだから”……」


【巴】

「ハイハイ――邪魔者は撤退しますよっと……」


【巴】

「お姉ちゃん……帰ろっか? “ちょっと名残惜しいケド”……」


【葵】

「はいよ……そんじゃ、またね……?」


【瞑】

「えぇ……ソッチも仲良くね?」


……ガチャッ――パタンッ――。


こうして、俺達はキレイに? お別れをした。


薄暗い玄関で俺達二人っきり……。


【瞑】

「さてっ……と――“続きしよっか”……“邪魔者は居なくなったし”――ふふっ……やっと自由な時間になったんだもの……」


――ススッ……キュッ――グリグリぃ〜〜。


【燈馬】

「ふぇ……ちょっと休ませてぇ〜〜っッ!!」


【瞑】

「だめ……クラクラしてグラグラして――お互い……目の前が真っ暗になるまで……ふひっ――“ヤルの”」


【燈馬】

「ふひっ……じゃないって――ひぃっッ!! 怖いよぉ〜〜ふぇ……えぇ……」


【瞑】

「駄目――怖くても、なんでも……たくさんするのよ? じゃなきゃ……“本当に愛し合えないわ”?」


【燈馬】

「はひぃ……あぅ――」


俺は瞑にガッチリ抱き締められ……。


そのまま――部屋中ドコでも構わず……。


たくさん愛し合った――。


もう……疲れ果てて目の前が真っ暗になるまで――。


快楽地獄に堕ちまくって、お互いの体を……。


貪り喰って、喰って喰って喰って――。


死ぬほどヤリまくった……。

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