夜にいなくなる鳥

#8 色恋沙汰は人生をやり直すターニングポイントか

「さて、スミサキアカネさん。ここで問いますが、あなたは前回のクリアED8から、経験値などを引き継いて、今回またクリアED17を迎えました！しかし残念なことに、ED８もED17も真のエンディングではありませんでした。よって、あなたには再び人生をやり直してもらい、真のエンディングを目指していただきたいと思います！

　ちなみに、また4月26日の自殺未遂をしたあの時間、あの部屋に戻っても、さほど運命は変わりません。薄々きづきませんでしたか！？【この程度じゃ、何も変えられない】って！！」

　夜鳥の言葉には何故か束縛する力があるように感じられた。たしかにあのワタシの部屋に戻ったところで、なんとなく真のエンディングとやらを迎えられるとは思えないし、何百、何千ものクリア条件、エンディングがあの部屋には犇めいている気がする。

　つまり、やり直すにしても、人生の大幅なテコ入れが必要になるのではないだろうか。

「ねぇ、ヨドリさん。仮にワタシがまた人生をやり直すことになったとして、再スタートはどこからでも始められるの？それとも決まった再スタート時点が存在する？」

　夜鳥は上半身をぶるんぶるん振り回しながら、奇声混じりの笑い声をあげる。その有様がとにかくキショい。

「うっひゃひゃひゃはやひゃひゃはやはやははやはやはやはやひゃあやひゃあはやはっやははやはやははあひゃはあやはやはっやあはひゃっやはやっはやはやあはひゃははあ！！！！良い質問ですね！！【鳥葬の輪廻】をここまですぐに受け入れてくれたのはスミサキアカネさん、あなたが初めてですよ！だいたいの方々はピーチクパーチク文句を垂れながら、何度も同じ場所に戻ってはこの場所に飛んできて、喚き散らしてを繰り返すものなのです！いやはや、順応性の高さ、素晴らしい能力です！！」

　喜んでいる夜鳥は拍車をかけて気持ち悪い。さっさと話しを進めたいのだが。

　内心そんなことを考えていると、少し落ち着いたのか、説明を始めた。

「いいですか、あなたがこれから選択できるのは、【人生をやり直すターニングポイント】、【追加能力】、【追加条件】、以上の3点です！以前にお話しましたが、経験値が引き継がれているので、【能力】と【条件】を購入することができます！！

　【人生をやり直すターニングポイント】は、スミサキアカネさんの人生において重要なターニングポイントに移動することができます！思い返せば、いくつかあるのではないでしょうか！？『あの時もっとこうしておけば』、といった時のことです！

　つまり、人生のやり直しはどこからでも始めることができるわけではなく、あくまで【ターニングポイント】からやり直せるというわけです！！」

　【人生をやり直すターニングポイント】

　――ふと過ぎるのは、木小田君に告白した日のことだが、思いつく限りのターニングポイントらしき日のことは、他にもいくつかあった。

　あの色恋沙汰からやり直せば、少しはマシになるのか、それとももっと他に大事なことがあるのではないか。

　一体、どこからやり直せば良いものか……。