第4話 冤罪
前書き失礼します。これより主人公視点で物語が進みますので、文体が変わります。
夜、眠い目を擦りながらスキルの検証をしていると、突然扉がノックされた。誰かな?と思いつつ扉を開けると、そこには綺麗なメイドが立っていた。
「勇者様、今、少し宜しいでしょうか?」
「こんな時間にどうかしたんですか?まだ何かやることがありました?とりあえずどうぞ」
メイド姿の彼女は部屋に入ると、俺をチラリと見て、次に部屋の様子を見渡している。胸元が強調され、谷間がくっきり見えていた。はっきり言って美人である。色気もあり、つい胸元に目が行く。
「勇者様は何かされましたの?」
「何って?」
「身に覚えがありませんか?」
「よく分からないですね」
「そうですか。まあ良いでしょう。端的に聞きます。陛下に忠誠を誓うおつもりは御座いませんか?」
「忠誠って何を?俺たちはこの世界に招請されたのであって、配下になるために来たのではないですよね?もちろん敵対行為をするつもりはありませんが、いきなり忠誠をと言われましても」
「やはり効いていないのだな。これが最後よ!悪いことは言わないわ。陛下とは言わないまでも、王家に忠誠を誓いなさい」
「はあ?何言ってんの?頭大丈夫か?いきなり別の世界に連れてこられて、その相手に忠誠を誓えって無理だろ!」
「アタシをモノにできても?忠誠を誓うならあんたの女になるって言ってんのよ!どうせ女を抱いたことなんてないんでしょ?」
一瞬目が光り、頭がチクチクとした。思い出した。こいつ王の後ろに控えていたメイドだ。何かしたんだなと理解する。このお色気満々な女を抱ける!童貞を卒業できる?やっちゃう?と誘惑がなかったといえば嘘になる。もしも高圧的にならず猫撫声ですり寄ってきて、キスをし、私のお願いを聞いてくれたら、この体を好きにしても良いのよ!などと夜這いに来たらコロッと逝ったかもと思わなくもないが、この女危険だ!ヤバイヤバイ!と頭の中で警笛が鳴り響く。
「悪いが色仕掛けで俺は落とせないよ」
「何よ!そんなみっともない体で、どうせ童貞でしょうに!」
「童貞で悪かったな!俺も童貞を捨てる相手位ちゃんと選びたいぜ!少なくともあんたのような貞淑さのかけらもない女に引っかかるほど初じゃないんでな」
「その割にさっきからアタシの胸ばかり見ているわよ!後悔するわよ!」
「無駄だ。出て行け!」
俺は肩を掴んで扉の方に押し出そうとした。しかしメイドはひらりと躱すと、いきなり自らの服を破り捨て、胸を開け下半身も下着のみになると叫びだした。
「きゃー!何をするのですか!犯される!」
俺は始めて生の胸を見たのもあり唖然とするしかなく、女が叫ぶとほぼ同時に兵士たちが部屋に突入し、真っ先にメイドを保護した。
そして俺は殴られて床に転がされ、更に取り押さえられた。
口を開こうとしたら猿ぐつわをされてあっという間に縛り上げられ、なすすべもなく近くの部屋に連行された。
そこには王女や王がおり、ローブに身を包んだメイドが訴えた。
「この男に頼みたいことがあると呼ばれたのです。いきなり俺の女になれと言い始めたのです。私には将来を誓った殿方がおります!お許しくださいませと懇願しましたが、腕を捕まれてベッドに倒され、純潔を奪おうと服を破られたのです」
「それは真か!?」
「はっ!悲鳴を聞き部屋に踏み込みましたところ、彼女を半裸にし襲っていたのを見ました。あと僅かに遅れていましたら純潔を散らされたと思われます。この破られし服が部屋に落ちていたのが何よりの証拠!」
ビリビリに破れたメイド服を見せると、メイドは泣き出し、王女が抱き寄せて俺のことをゴミでも見るような目で睨みつけた。
「卑劣な!まさか召喚したその日にこのような暴挙に出るとは!このような暴挙、決して・・・決して許されることではない。本来我が国で強姦は死罪。されど我が国が召喚した事実もある。よって予はこの者の王都からの追放を命じる!このまま門の外に放り出すが良い!目障りだ!直ぐに連れて行け!」
俺はメイドを連れ込んで強姦しようとしたと非難され、あれよあれよという間に追放が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます