第3話 チェック

 王女の澄んだ声が会議室に響き渡る。


「皆様方のステータスがここに示されます。これで、私たちの今後の計画に向けて、皆さんがどのような役割を果たすことができるのかを理解することができます。出席番号の順でお願いします」


 王女リリアナはあざとく手を合わせ、目をうるませながら、前屈み気味になり胸元を強調する仕草を見せた。それを見た男子たちの反応は様々だったが、多くは彼女の美しさに魅了されていた。しかし、僕にはその行動が胡散臭く、発する言葉も嘘くさいと感じた。


 最初に出席番号1番の鮎川が進み出た。彼がステータスを確認すると、石板に投射された数値が会議室内に浮かび上がった。その様子を見ながら、僕は一方通行で帰れないことを知り、苦笑いした。テンプレートの展開だと思いながらも、言われるがままステータスと念じると、目の前に自分のステータスが浮かび上がった。しかし、他の生徒のステータスも気になり、必死にノートに書き写した。幸い、僕の鞄は一緒に召喚されたためノートなど、手元にあった物を利用できた。


 王女から説明されたステータスの詳細によると、ポイントを使い、力や敏捷など5項目のみ上げることができ、1度上げると元に戻して再振り分けすることが出来ない。レベルアップすると、新たなポイントが得られるが、1度決めた数値は減らせない。魅力と幸運はポイントで増やすことができず、100が最大値。スキルは後天的に覚えるもので、現状スキル相当の技術を持っている者は、やがてスキルを得るという。


 クラス(職業)は城、神殿、または大きな町にある冒険者ギルドで変更可能で、クラスによって能力に補正が入る。


 吉川大蔵は40人の中で最大の合計値を叩き出し、委員長の南川佳苗は魔法が1番だったが、パラメーター全体の合計値は平均値だった。しかし、僕のステータスの合計値はクラスの中で最低で、一般兵とほとんど変わらないと誰かがぼやいていた。王女の顔が険しくなり、皆からも笑われた。


 その日は豪華な食事の後、各自の部屋に案内された。部屋は同じような作りの客間が割り当てられ、着る服や支度金、護身用の剣とナイフ等が一通り置かれていた。誰がどの部屋に入るのかは決められておらず、部屋の入り口に誰が入室しているか札を掛けるのだが、各自名前を書き、更にメイドが聞き取った名前をその場で書いて日本語とこの世界での名前が書かれた札が掛けられる。


 部屋は用意された服の関係から、男女別になっている程度だった。

 それと武器は明日から始まる訓練で使う物らしく、手に取って見ろということか?とため息を吐く。


 僕は1人になり、用意された服に袖を通すと、早速能力の検証を始めた。まずは特別スキルを確かめる。「安全地帯」を発動させ、そこに入れた物は出し入れ自由だと分かった(部屋に入らないとだが)。着ていた学生服や荷物、支度金を入れ、とりあえずスキルの検証を続けた。


 以下は、皆の前に投射されたステータスの一部だ。


 山田 三郎 (やまだ さぶろう)のステータス


 名前:山田 三郎

(身長165cm、体重80kg、年齢15)

1. レベル: 1

2. クラス: 無職(異世界召喚者)

3. 能力値:

力: 50

体力: 40

知恵: 70

魔力: 60

敏捷: 30

幸運: 80

魅力: 99

ポイント: 100

4. スキル: なし

5. 特別スキル: 安全地帯(Lv. 1)


吉川 大蔵 (よしかわ たいぞう)のステータス


名前:吉川 大蔵 (よしかわ たいぞう)

(身長185cm、体重80kg、年齢15)

1. レベル: 1

2. クラス: 無職(異世界召喚者)

3. 能力値:

力: 250

体力: 250

知恵: 20

魔力: 60

敏捷: 200

幸運: 34

魅力: 40

ポイント: 300

4. スキル: なし

5. 特別スキル: 武神(Lv. 1)



南川 佳苗 (みなみかわ かなえ)のステータス


名前:南川 佳苗 (みなみかわ かなえ)

(身長158cm、体重42kg、年齢15)

1. レベル: 1

2. クラス: 無職(異世界召喚者)

3. 能力値:

力: 100

体力: 75

知恵: 220

魔力: 220

敏捷: 100

幸運: 62

魅力: 80

ポイント: 200

4. スキル: なし

5. 特別スキル: 魔法創造(Lv. 1)



 特別スキル解説

 安全地帯(Lv. 1)

 戦闘から遠ざかることに長けたスキル。小さな小部屋を出し、そこに逃げ込むことで異空間に待避する。出口はその場の相対位置になるが、部屋のどこにでも出せる。


 武神(Lv. 1)

 無手の格闘の最高峰!武器を持つとスキルの恩恵が失せる制約があるも、その無手の戦闘能力は比類なき力を発揮する。


 魔法創造(Lv. 1)

 初期は初級魔法相当の消費魔力の範囲にてオリジナル魔法を創造可能。





後書き失礼します。

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