第27話 飢餓と妖魔食


俺、メル達は、妖魔の死体は腐らないのでとりあえず置いておいて

腐る前に人間や魔族の死体を焼却炉に入れる


校長先生が言った


「ろくに供養も出来ずに、ごめんね。」


………

いきなり訳が分からないところに飛ばされて

殺されて、死んだ奴らはすごく悔しかっただろうな。


グー、俺のお腹のなる音が聞こえた。

みんなのお腹も鳴って居る、こんな時でもお腹は空くんだな

飢えと言う奴だろうか?それが近づいて居るのかもしれない。




校長先生はビアンカが捕らえた妖魔、カーニ・ヨコスを職員室で尋問する。

俺達は戦いの功績で、尋問の見学を許される


「…貴女の知ってる事を話してもらおうかしら?まずはここはどこ?」


「ここは妖魔界や、妖魔だけが住む世界やで。」


妖魔だけが住む世界!!

そんな世界だったとは


「でも何でだ?何で俺達はそんな世界に居るんだ。」


「アタイ達は食料を手に入れるために、転移の術で異世界の住民を召喚する。

 若い肉が大量に欲しかったから、学生を召喚したんや」


若い肉ほどおいしいから、大量に欲しいと言う訳か。


「帰る方法はないの?」


「召喚したのは、妖魔王の指示だからな。

 妖魔王を説得する以外、帰る方法はないやろ」


妖魔王、そんなのが居るのか

名前からして妖魔の王様である、と言う事は分かるが


「それと、お腹が空いたわ。

 ここには食料はないの?」


「ないで、アンタら人間以外はな。」


俺達人間以外に食料はない?

本当だろうか?妖魔だからそう思うだけで、実は食料はあるのかも。




生徒達に放送で、ここが妖魔界であることが説明され。

食料を探すために、探索隊が組織される事になった


探索隊は精鋭である俺らのパーティに、腕に自信がある生徒10人がつく形で組織された

探索隊と言っても、あまり遠くに行くと帰れない恐れがあるので。

1、2時間程度で帰れる場所を探す


俺達は森の中を探索したが

動物1匹居なかった


モブ女子生徒の1人が悪態をつく


「動物1匹居ないわ、木や葉っぱしかない。

 木や葉っぱを食えって言うの?」


それしか、ないのだろうか?


ラムルは言った


「ボクはスパイとして訓練を受けていたから。

 木や葉っぱに毒がないか、舐めるだけで分かるんだ

 舐めてみるよ」


ラムルは葉っぱを舐めた


「…これは毒だ」


ど、毒!!

ラムルはさらに木も舐めた


「これも毒、毒の木だ。」


毒の木!!


「食べることは、お勧めしないね。

 毒に犯されてしまう」


モブ男子生徒がそこらへんの木を蹴った


「葉っぱや木を食う事も出来ない、飢え死にしろって言うのかよ!!」


ジュリアンは冷静に言った


「落ち着け、木に当たっても状況は好転しない」


「だが…」


「何か方法があるはずだ、方法を考えよう」


そうだ、方法だ。

何か方法があるはずだ。




とりあえず俺達は1回学校に戻って、結果を報告した

学校の周りには木や葉っぱしかない事

それらすべてが毒性である事


校長先生は首をがっくりとさせた


「食料はない、木や葉っぱすら毒性のみ。

 絶望的ね。」


グー、俺達探検隊はお腹を鳴らす

絶望的だ、このまま腹を空かせて死ぬしかないのだろうか?




俺達の教室、俺達はただぼーっとしていた

このまま空腹で戦えなくなって

いつか妖魔に殺されるのを待つ、それが俺達の運命なんだろうか?


ビアンカは妖魔の死体をみながら言った


「あんなにおいしそうな、妖魔が死ぬなんてもったいないですわね。」


おいしそう、もちろん性的な意味なんだろうが

その言葉をヒントにした生徒が居た


人間の女子生徒だ


「おいしそう、そうよ妖魔には毒がないはずよ

 妖魔を食えばいいじゃない」


???

俺は一瞬、何を言ってるか理解出来なかった。


人間の女子生徒は妖魔の衣類を脱がすと

妖魔を食い始めた


「もぐっもぐっ…」


「な、何をしているんだ。やめろ。」


俺は止めた。

だが


レプリカヒューマンの女子生徒が別の妖魔の死体の

服を脱がせ、食べ始める


「もぐっもぐっ。お腹空いた、お腹空いた。」


「お前ら、何考えてるんだよ。

 俺達は、そんな、妖魔を食うなんて。グー…」


レプリカヒューマンの女子生徒が言った


「君も食べなよ、食べないと弱っちゃう

 弱ったら妖魔に殺されちゃうよ。」


!!!!


俺は言葉を絞って、言った


「食うのはいいが、火を通してからだ。

 食堂で調理してもらおう。

 そしてみんなに平等に分配して食うんだ。」


妖魔を食う事事態が異常だが。

今この場には妖魔以外の食料がない

それが、最善だろう。火を通さないとお腹を壊す恐れがあるしな。




食堂には調理された妖魔が並べられた

俺達はそれを食べる


「もぐっ、もぐっ」


味は意外とおいしかった


ジュリアンは言った


「こんな事正気とは思えない」


ラムルは言う


「だけど食わないと死ぬだけ、他に選択肢なんてないんだよ。」


ジュリアンは顔を歪めたが

やがて妖魔に口をつける


「…味は意外とおいしい、嫌悪感はあるが。」


ビアンカは落ち込みながら食べている


「私の食べたいは、こういう意味ではないのですがね。」


普段は性的な意味だろう

だがこんな異常事態においては、食的な意味で食べざるおえない。

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