第14話 新大陸へと向かう船


俺達は適当な船を探して、船の壁をよじ登り船のデッキに乗り込んだ

そしてこそこそと船の内部に入り込む


運よく見つからず、俺達は船の物置らしき場所に隠れる事に成功した。

俺は言った


「ここで大丈夫か?見つからないかな?」


「見つからないように祈るしかないよ、出航すれば引き返せないはずだから

  少なくても出航までは」


確かに、祈るしかなさそうだ。

天運に身を任せる




しばらくして

船が発進したのが分かった

この船がどこに向かうのか知らないが、どこかへ向かうらしい。


「発進したな、この船はどこに向かうんだ?」


ジュリアンが聞いて来る


「知る訳ねぇだろ、俺達が」「だよな」


俺達が知って居たら逆にすごい

余裕がなくて、いきなり乗り込んだ船な訳だからな。




しばらくして、足音が聞こえてくる


「誰か来るぞ!!」


俺は言った


「誰だ、誰にしろ…」


ジュリアンはとりあえずタガーを2本構えた

荒事は避けたいが、俺達は罪人で密航者だ。

そうも言ってられない。


物置の扉が開かれた

ジュリアンは入って来た人物の首に、タガーを2本突きつけた


「ひっ!!お、落ち着くッス。」


入って来た人物は、角が1つ生えた

レプリカヒューマンであった。


オレンジ髪ショートヘアーの美少女だ

ジュリアンは顔を険しくして聞いた


「俺達は人間の船に乗り込んだはずだ。

  なんでレプリカヒューマンがここに?」


「こ、これは新大陸に向かう船だからッス」


新大陸?

俺は聞いた


「新大陸?新大陸とはなんだ」


レプリカヒューマンは言った


「人間と魔族が共存して居る大陸ッス、そこでは人間も魔族も仲良く手を取り合っているッス」


人間と魔族が手を取り合っている?

ラムルが呟いた


「そんなバカな…」


「本当ッス、とりあえず私を離すッス」


俺は聞いた


「離して、どうなるんだ?

  この船での密航者の扱いは?」


「密航者だろうが、共存をしてくれるなら新大陸に連れていくのみッス。

  それがこの船の掟ッスから」


「随分と都合のいい話だ。」「でも事実ッス」


ラムルが言った


「元スパイのボクから見て、彼女が嘘をついているようには思えないよ」


ラムルは元スパイで、出会ったばかりの俺の実力をあっさり見抜いた

その彼女が言うなら、レプリカヒューマンは本当の事を言って居るのかもしれない


俺は聞いた


「お前名前は?」「リカ・レンジッス」


「リカか、嘘をついていたらその胸切り裂いてやるからな」


「う、嘘はつかないッス!!私正直ものッス!!」


だといいんだが

俺はとりあえずリカを離した




すると俺達は船の一室に案内された


そこには人間も魔族も居た

もっとも、みんなボロボロの服を着ており

世間のつまはじきもの、と言った感じだが。


リカの言っていた共存は本当なのかもしれない

人間と魔族が居るのに、争う気配を見せない


ラムルはここでなら角を生やしていいと思ったんだろう。

角を2本生やした。


「これが自然体だから」


そうだな、ラムルは魔族だ

人間に化けているのが変身体で、2本角が生えている方が自然体なんだろう


ボロボロの服を着たレプリカヒューマンが、ラムルに話しかけた

青髪ショートヘアーで気が強そうだ


「ツーホーンは上級魔族だ。

  上級魔族様がこんな船に乗るなんて、何かあった訳?」


「スパイ任務を放棄して、さらには正体バレしてね

  無惨にも逃亡する羽目になって、この船に乗ったんだよ」


聞いてみたら、すごくドジっ子な感じがするな

スパイ任務を放棄して、さらには正体バレ


「マジ受ける、任務放棄して正体バレとか

   上級魔族様も万能じゃないんだね。」


ラムルは聞き返した


「そう言うそっちは、何でこの船に?魔族だよね?」


レプリカヒューマンは言った


「任務中、人間の子供を殺せと言われて、殺せなくて。

   隊から追い出されて1人になって、アタシらしくない情だったよ。

    その結果がこの船行きさ」


ラムルは笑顔で言った


「そうなんだ、確かにその情は軍人としては失格かも知れないね。

  だけど魔族として、子供を殺さなかったのは、いいと思うよ。

   魔族としては正解だと思う」


「つっ!!そ、そんな事言われるのは初めてだよ」


青髪ショートのレプリカヒューマンは顔を赤くした。

そして後ろを向いた

照れ隠しかな?




俺は話題を振る


「共存の新大陸、想像してなかったな。

  魔族と人間が共存する環境、どんな環境なんだろうか?」


ラムルはシリアスな表情で言った


「共存って言っても、寿命も姿も違うから

   影で差別やらあふれて居るよ、きっと」


ジュリアンはおいおい、と言う表情で言った


「おいおい前向きに行こうぜ、共存と言う事は美少女魔族とたくさん触れ合えるって事だ」


まぁ、ジュリアンならそう考えるか。


「つまり、俺ハーレムって事。

  俺にとっては天国だぜ」


ラムルは呆れたような表情で言った


「言っておくけど、魔族はレズ多いからね。

  そう簡単に行くとは思わないでね、女の子同士の恋愛が当たり前だ。

   と思って居る魔族多いから」


ジュリアンはおいおい、と言う表情をまたした

ジュリアン…


「壁は高ければ高いほど燃えるものだぜ!!

  レズ女子!!攻略してみせる!!」


ジュリアンのその自信と情熱はどこから来るのだろうか?

とりあえず


「俺は男だから、百合女子の相手はきつそうだな」


「いや、君は女だと。いやもういい、

  君には何を言っても無駄だって分かっているからね

   何を言おうと君の性自認は変わらない」


そうだ、分かって居るじゃないか

何を言われようと俺は男だ

それを貫くのみ。




それから2週間して


「新大陸についたぞぉおおおおお!!」


船長のおっさんの大声が聞こえた

俺達はデッキに出て、新大陸を見る


港町が、見えた

俺は呟いた


「あれが、新大陸。」


ラムルは笑った


「素のままの姿で動ける大陸だね、素の姿ってうれしい」


ジュリアンは言った


「どんな俺のヒロインが待って居るんだろうな。」


ジュリアンの脳は下半身で出来てるのか?

とにかく、新大陸、共存の大陸


「ワクワク止まらねぇ!!」

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