第11話 遺跡の死闘(後編)


俺達は司令室にやって来た

そこには椅子があり、目が赤い銀髪ロングヘアーの巨乳美少女が座っていた


「…侵入者か?ここまで通すとは。

   レプリカヒューマンは役立たずだな」


目が赤い種族、ここに居るからには魔族なんだろうが

いったいなんだっけ?


ラムルが呟いた


「バンパイア…」


バンパイア、バンパイアってあのバンパイア?

上級魔族のバンパイア


「その通り、私はバンパイアだ

  屑のレプリカヒューマンを指揮している」


ラムルは怒りを込めた目で言った


「自分の部下を屑扱いはどうかと思うけど?」


バンパイアは笑いながら言った


「弱い下級魔族など屑だろ?強い上級魔族以外は屑さ。」


なるほど、どうやらこいつは良く言えば選民主義者

悪く言えば差別主義者って奴らしい


ジュリアンはビビりながら言う


「で、どうする?バンパイアと遭遇するとは予想外だが。」


確かに。依頼の範囲外と言う事で逃げても

罰は当たらないだろう。だが…


「バンパイア、いつかは戦わなきゃいけない相手だ。

  戦おう。」


そう言いながら俺はバンパイアの目を見つめた

銀髪ロングヘアーの巨乳バンパイアは余裕そうな目で、こちらを見つめている

絶対の自信があるのだろう


ラムルが言った


「戦うのなら、ボクにやらせてくれ。

  こいつは、なんか気に食わない。」


「ラムル?」


ラムルが熱くなるなんて、珍しい

何かこいつの言動がラムルの癇に障ったんだろうか?


バンパイア、おそらく名前はフランと言うのだろう。

フランは笑った。


「1人で来る気なのか?無謀な。

   私は3人でも絶対に勝てない相手だと言うのに」


「それはどうかな?」


ラムルはそう言いながら殴りかかった

なかなかいいパンチだ


しかしラムルの拳はフランの剣で斬られてしまった


「ぐはっ!!」


ラムルの拳から血が噴き出す

フランは笑顔で言った


「なかなかやるじゃないか、だが剣(けん)は拳(こぶし)より強いぞ」


ラムルはフランを睨みつけた

俺は叫んだ


「よせ!!ここからは俺達も加勢する、3人がかりで…」


ラムルには聞こえて居ないようだ

無視して右足でフランに蹴りかかった。

だがラムルは逆に腹を斬られた


「ぐはっ!!」


ラムルはこちらに向かって、よろけて下がって来る

ジュリアンは心配そうにラムルを抱きとめた


「ラムル、大丈夫か?ラムル。」


ラムルは目をつぶった

腹を斬られて意識を手放したようだ


ラムルの頭から2つの角が生えてくる


「ラムルの頭から、角?」


フランは言った


「驚いた、そいつは魔族なようだ。

 ツーホーンだな。なぜ人間と一緒に居たんだ?

  潜入任務中なのか、裏切ったのか。」


ラムルが魔族だって言うのか、そんな馬鹿な!!


ジュリアンはあ然としている


「ラムルが魔族、ラムルが魔族…」


俺はジュリアンに向かって叫んだ


「ジュリアン!!」「!!!!」


そしてジュリアンをまっすぐ見つめながら言う


「今はフランを倒すのが先だ、ラムルの事は、後で考えよう」


「あ、あぁそうだな」


フランは笑った


「この私を倒せると思って居るのか?このバンパイアの私を。」


俺とジュリアンは左右からフランに斬りかかった

フランは俺とジュリアンの攻撃を同時に捌く


「やるじゃないか、2人ががかりとは言え

 バンパイアの私と渡り合うとは」


「どこまでも上から目線な奴だぜ」


俺はそう言うと蹴りでフランの胸を蹴ろうとする

だがフランは膝で俺の蹴りを受け止めた


「体術か?私も出来るぞ」


フランは体術も出来るようだ

隙のない奴だ


俺とジュリアンは左右から斬りかかるが

攻めあぐねた


どうやって有効的な攻撃を、胸への攻撃を当てたらいいか分からない


「これならどうだ」


ジュリアンは口から水を出して、フランの目をくらまそうとした。

だがフランはそれをあっさりかわした


「そんな小細工が私に通じるとでも」「つっ!!」


手ごわい、フランは本当に手ごわい


「こうなったら小細工は無用、2人の技量で上回るしかねぇ。」


「技量でって言ったって、相手は完全に上手だぞ」


ジュリアンは自信無さげだ


「自信を失えば、負けて死ぬしかない。

  やるしかないさ」


俺達は2人で息を合わせて斬りかかる。

最初フランは余裕だったが、だんだんこちらが押して来た


「押されている、この私が、バカな」


俺は笑顔で言った


「2人でのコンビプレーになれて、連携力がついて来たからな。

  だから、押せる!!」


俺の剣がフランの腕に当たった


「きゃっ!!」


フランの腕が斬れた

ジュリアンがタガー2本でフランの腹を斬った


「ぐふっ!!」


フランはもう重傷だ

俺はフランの胸を狙う


「まて、やめろ、助け」


「ないね!!」


俺はフランの胸を斬った

でかい弾力のある柔らかいそれが、確かに斬れた感触を感じる


「ぐっ、バカな。この私が、人間、なんぞ、に…」


フランは仰向けに倒れ、死んだ。

俺は笑顔をジュリアンに向けた


「やったなジュリアン、依頼達成だ。

  ジュリアン?」


ジュリアンはラムルの胸にタガーを突きつけていた


「こいつも魔族だ」


俺はジュリアンの腕を掴んだ


「…確かに魔族のようだ、だがラムルは俺達の仲間だ」


「魔族でも仲間だって言うのかよ!!」「…あぁ。」


俺はあっさり答えた、ラムルが魔族だろうと俺はラムルの仲間だ。

ジュリアンは顔を逸らしながら言った


「俺の父親は騎士でさ、魔族に殺されてるんだ」


「…そうか、でも殺したのはラムルじゃない」


「分かって居る、分かって居るけど…」


俺は司令室の端の壁によしかかるように、座りながら言った


「ラムルが魔族なら、怪我は自動的に治る

  治るまで、少し待とうか。この遺跡の敵は全員倒しただろうし」


「…あ、あぁ。」




ラムルは目を覚ました

ラムルは慌てて2本の角を抑える


「見た?」「「あぁ。」」


「そっか、見ちゃったか」


ラムルは話始める


「ボクね、魔族側のスパイなんだ。

  学園の有望な人材を調べるように、魔族のお偉いさんから言われた」


………


「でもバレたらおしまいだね、2人相手に勝てる気しないし。

  殺すなら、殺し…」


俺は叫んだ


「お前は仲間だ!!殺すなんて出来るかよ!!」


「メル…」


「スパイなんてやめて、正式な仲間になれよ。

  俺とメルとジュリアン、いいパーティだと思うぜ」


「ボクは魔族だけど、本当の姿はこれだけどいいの?」


「いいよな?ジュリアン。」「…あぁ、ラムルは俺の親の仇じゃないしな。いいんじゃないか?」


ラムルは笑顔で言った


「ありがとう、スパイをやめるよ。

 君達と一緒に居るとスパイで居る事が悔しくて、胸が痛かったんだ。

  これからは正式な仲間になる」


ラムルが正式に仲間になってくれた、やったぜ!!

元から仲間だったから、なんも変わらない気もするがな。




ラムルの怪我はそう時間が経たず治った。

俺達はクエスト受付所に帰り報告した、バンパイアが居た事も


「バンパイアが居て、バンパイアを倒したんですか!!」


「はい」


クエスト受付所の受付はかなり驚いていた


「…嘘をついているように見えませんね、では報酬に色をつけなくては」


かなりでかい、お金の入った袋をもらった


「こんなに、いいんですか?」


「バンパイア退治はそれだけの功績ですから」


やったぜ、大金だ!!




俺とラムルは2人っきりで、学園の木の下に居る


「あらためてありがとうね、ボクを受け入れてくれた事」


「…仲間だろ、気にする必要はないさ。」


「それでも、ありがとう」


ラムルは笑顔で言った

その笑顔に、俺は少しドキッとした。

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