第10話 遺跡の死闘(前編)


それから数か月、俺はジュリアンの怪我が治るまで

授業をまじめに受け、放課後鍛錬し、修行の日々を送った


ラムルはよく分からないが、ジュリアンもリハビリがてら少し修行していたようだ


とりあえずジュリアンの怪我が治った以上、依頼を受けない理由はない

休日、俺達はクエスト受付所の前で待ち合わせする。


ジュリアンとラムルが先に来ていて、俺は少し遅くなった


「悪い、待ったか?」


「そんなに待ってないぜ、だよなラムル?」「うん。」


気を使って言ってくれているのか

本当にそんなにまってないのかは分からないが、とりあえず


「全員そろったし、依頼を受けるとしよう。」


「そうだな」「そうだね」


俺達はクエスト受付所の中に入り、掲示板を見る


「相変わらずバンパイア退治が目立つな。」


「目立つからって受けないでよ?死ぬからね」


受けるつもりはないさ、死ぬ気はないしな。


「ほんじゃま、ジュリアンは怪我の治りたてだし。

  またレプリカヒューマン退治の依頼でも受けるとしますか」


「ボク達いっつもレプリカヒューマン退治してない?」


確かに、そんな気はする。

でもまぁ。


「レプリカヒューマンって退治するには手ごろだし」


レプリカヒューマン退治の依頼を探すと、あった。

遺跡に拠点を構えているレプリカヒューマンを退治して欲しいって言う依頼だ。


「よし、これにしよう。」


俺は依頼書を剥がすと、受付に渡した


「これでお願いします」


「はい、分かりました」




俺達はレプリカヒューマンが居る遺跡にやって来た

遺跡の前ではレプリカヒューマンが2体見張りをしている


緑髪ショートヘアーのレプリカヒューマンと白髪ショートヘアーのレプリカヒューマンだ


俺は笑いながら言った


「レプリカヒューマンの見張りの相手は慣れてるぜ。」


そして緑髪ショートヘアーのレプリカヒューマンに突撃する


「うわっ!!敵襲、ですか?」


「そうだ、死ね!!」


俺は緑髪ショートヘアーのレプリカヒューマンの胸を

剣で斬ろうとする。だが


緑髪ショートヘアーのレプリカヒューマンに受け止められた。


「なっ!!」


こいつ、出来る


「そんな単純な動き、私に通用しませんよ」


これは訓練された受けだ。

ただのレプリカヒューマンじゃないって言う訳か。

だが俺も、伊達に修行はしてないぜ。


俺はレプリカヒューマンの剣を押した


「なっ!!」「鍛えているからな、力はこっちが上のはずだ」


そしてレプリカヒューマンの剣を押しきった

レプリカヒューマンの剣は吹っ飛んで行く


「つっ!!」


その隙に俺はレプリカヒューマンの胸を斬った


「きゃっ!!」


「お前はそこそこ強かった、だが俺の方が強かったな。」


レプリカヒューマンは倒れた


「無念…ガクッ」


横を見ると、白髪ショートヘアーのレプリカヒューマンが倒れている

ラムルがそれを見下ろしている

ラムルも倒せたようだ


「…今回、強いよ、リーダーはもっと強いだろうし

  今までほど楽にはいかなそう」


「だな、だが依頼を受けた以上、やるしかねぇ。」


そう言いながら、俺は遺跡を見る

中世の小規模な軍事基地のような遺跡だ


軍事基地に手ごわい、レプリカヒューマン。

厄介な気しかしないぜ。




俺達は遺跡の中に入る、遺跡は軍事基地らしく部屋がたくさんある


「1つずつ調べていくか?」


「全員退治しなきゃだし、それしかないね」


俺達は各部屋を調べつつ、レプリカヒューマンを退治して行った

確かに普通のレプリカヒューマンに比べて強かったが

俺達に退治できないレベルではなかった





だがピンチが訪れた

訓練所で10体のレプリカヒューマンに囲まれたのだ


黒髪ロングヘアーのレプリカヒューマンが言う


「あなた達は強そうだけど、多勢に無勢よ。

  10体には勝てないでしょ」


確かに、この強さを10体は厳しいな。

俺は少し怯んだ


だがラムルが言った


「怯まないで、怯んだら負け

  勝てなきゃ死ぬだけ」


そうだな、勝てなきゃ死ぬだけだ。

やるしか、ねぇ!!


「ブシャ!!」


ジュリアンは口からウォーターを出して、黒髪ロングヘアーのレプリカヒューマンに当てた


「きゃっ!!目が…」


レプリカヒューマンは一瞬目を閉じる

ジュリアンはその隙に素早く、2本のタガーで黒髪ロングヘアーのレプリカヒューマンを斬った


「きゃっ!!こんなやり方で、殺されるなんて…ガクッ」


ジュリアンは緑髪ショートヘアーのレプリカヒューマンと、緑髪ロングヘアーのレプリカヒューマンに挟まれる


「よくもやってくれたな!!」「よくもやってくれたわね!!」


だがジュリアンは冷静に、タガー1本ずつで

ショートヘアーの方とロングヘアーの方の胸を刺した


「うわっ!!」「きゃっ!!」


2体は死んだだろう。

だが赤髪ロングヘアーのレプリカヒューマンがその隙をついて、ジュリアンを刺そうとする


「仲間の仇だ!!俺の剣のさびとなれ。」


「!!!!」


ジュリアンはタガー2本が刺さってるため動けない

俺がリカバリーしなきゃな!!


俺はジュリアンを狙うレプリカヒューマンの胸を斬った


「がう!!」


「2本全部刺すなよ、隙だらけになるだろうが」「すまない、メル」


俺は敵を見渡した。

敵は残り6体か。


白髪ショートヘアーのレプリカヒューマンが斬りかかって来た


「せいやっ!!」「とりゃ!!」


俺はカウンターでレプリカヒューマンの胸を斬った


「きゃっ!!」


「これで残り5体。」


オレンジ髪ロングヘアーのレプリカヒューマンとオレンジ髪ショートヘアーのレプリカヒューマンが

コンビを組んで俺に襲い掛かって来る


「私達」「アタイ達」


「「姉妹の連携に勝てる?」」


2人はどうやら姉妹のようだ

2人で見事に呼吸を合わせて、俺に斬りかかって来る


「つっ!!おわっ!!つっ!!」


俺は受け止めるだけで精一杯だ


「私達の連携は我が軍一よ」「アタイ達の連携の前に、死体になりなさい。」


こんなところで死体になるわけには…「いかねぇ!!」


俺はロングヘアーの方の攻撃を片手で持った剣で受け止めると。

もう片方の攻撃は腕を掴んで受け止めた


「「え?」」


予想外の受け止められ方に2人は怯む。

その隙に俺は、2人の乳房を横になぎ払うように蹴った


「「きゃっ!!」」


2人は倒れる


「俺は剣だけじゃない、格闘もある程度出来るんでな。」


2人の姉妹はうつ伏せになりながら、お互いを求めるように手を伸ばす


「私の愛するべき妹、ジェリー」「アタイの愛するべき姉、シェリー」


2人の手は、結ばれた

そして2人は死んだ


「………」


なんだよこの姉妹愛、複雑な気持ちになるじゃねぇか


「せ、せいやっ!!2人の仇っ!!」


黄色髪ショートヘアーのレプリカヒューマンが俺に斬りかかって来る

だが俺はあっさりカウンターで胸を斬った


「きゃう!!」


黄色髪ショートヘアーのレプリカヒューマンは倒れる

次はピンク髪ロングヘアーのレプリカヒューマンがかかって来る

おれはそれの胸もあっさり斬る


「あふん!!」


レプリカヒューマンは倒れ、死んだ

残り1体


俺は黒髪ショートヘアーのレプリカヒューマンを見つめる


「残るはお前1体だな。」


黒髪ショートヘアーのレプリカヒューマンは笑った


「私達のリーダーは強い、お前たちを全滅させるだろう」


「そうか、だがお前はここで死…」


黒髪ショートヘアーのレプリカヒューマンは自分の胸に剣を向けた


「「「!!!!」」」


「お前らの手では、死なん!!」


そして自分の胸を刺した


「きゃう!!フラン、様…ガクッ」


レプリカヒューマンは仰向けに倒れ、死ぬ

フラン、それがここのリーダーの名前か


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