第13話
問注所は反論しようと前のめりになるも何も思いつかなかったのか落胆し、肩を落とした
「ごめんなさい。ミカンを食べたのは僕です。」
問注所はちらちら執権の方を窺いながら発言する。
「もう、全部言っていいですか?」
執権は苦笑しながら肯定する。
全部…?
一体何のことなんだろうか。
まさか臣下全員共謀説が真相だったのか?
「時系列通りにお話ししましょう。」
問注所は犯人であると当てられたからか、冷静さをもって話そうとしているが声がやや震えていた。
「一番最初は政子ちゃんが鎌倉幕府の皆さんにという形でミカンをくれたことから始まりました。それで今日は午前授業で終わりだから僕たちは一旦帰宅してそのあとかまくらに集合してみんなで貰ったミカンを食べようという約束をしました。その後、帰宅する前に執権が政子ちゃんから話しかけられました。今日、告白するつもりだと。」
「告白?」
オレは思わず前のめりになる。
しかし、オレ以外は後ろめたそうにオレから視線を反らした。
「おい、告白ってどういうことだよ。」
しかし、返事はなく、しばらく無言が続いた。
沈黙を破ったのは執権だった。
「すまんな、頼朝。実は今日政子ちゃんは頼朝に告白する予定だったんだ。どうにか2人きりにして欲しいと政子ちゃんに頼まれたからかまくらに集まる約束だけして俺たちは家に帰った後俺たちだけで集まって遊んでたんだ。政子ちゃんにはそう伝えておいたんだ。だから頼朝に呼ばれるまでオレたちはかまくらに来ることはなかったんだよ。」
「ごめんなさい将軍様〜!!!僕はまだ政子ちゃんを諦められなくて…!!どうしても告白を邪魔したくてミカンが盗まれたとなれば将軍様が騒いで僕達を呼ぶから告白を中止できると思ったんです!!!」
もう、問注所の声は届かない。事件の真相どうこう、犯人への敵意どうこうはもうどうでもよく思えてしまうほど衝撃な事実である。
政子ちゃんがオレに告白…!?
新雪のように柔らかく新鮮で、ミカンのように甘酸っぱい雪の思い出。
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