SCENE-005 日課の散歩
慣れてしまえば〔獣化〕するのも、元の姿に戻るのも一瞬で、簡単だと言っていたのに。
〔獣化〕していようと、していまいと、
獲物はいくらでも湧いて出てくるし、仕留めた獲物をいちいち解体する必要もなくて。どこのダンジョンでもシャワー付き、装備のクリーニングサービス付きの更衣室やドロップアイテムの買取場が狩場に併設されている分、出会えるのかもわからない獲物を探して野山を歩き回ったり、罠を仕掛けて見回りをする必要がある実際の害獣駆除よりも、ダンジョンでのモンスター狩りの方が、環境的に相当恵まれているとは思うけど。
『そういえば、姫って〔騎乗〕スキルを持ってたよね?』
「持ってるけど……乗らないわよ?」
『えー?』
そのうち、もっと〝
「乗らないってば」
それはそれとして。毎日お風呂に入って身綺麗にしている文明人がスキルによって姿を変えた
ぴったりと体を寄せながら隣を歩いている
私のことをオオカミの巨大な体躯で挟むよう、
「ロウ?」
それ自体は、何もおかしいことではないし。私としては、むしろ〔獣化〕するのはモンスターにエンカウントしてからでいいだろうと思っていたくらいだけど。
今までと違う行動をとった
「あっ!」
ひょいっ、と持ち上げた私のことを、
「乗らないって言ったのに!」
「この方が速い」
私がきちんと
私のことを捕まえていた
うっかり振り落とされないよう、しがみついているうちに、〔獣化〕して追いかけてきたオオカミ姿の
「足が遅くて悪かったわね……」
『そうは言っていない』
誰かに見られたらどうするの、という私の至極常識的な訴えは、見られたくないなら避けて通ればいいだろうと、まともに取り合ってはもらえなかった。
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