SCENE-003 犬の嗅覚
「
教室棟から出てきた私と目を合わせるなり、くしゃりと露骨に顔を顰めて。つかつかと距離を詰めてきた
「誰?」
「国文科の一年」
「……茶髪の?」
「そう」
「トイレで会ったかも」
そんな名前だったかな……と、いまいち確信が持てないので断言はできないけど。
自分の髪をつまんでくんっ……と嗅いでみた私が嗅ぎ慣れた整髪料の匂いしか感じられなくて、首を傾げると。私のことを壁際へと引っ張っていった
「すれ違ったくらいじゃこんなに匂わないよ」
それなのに、どうしてこんなに匂うのか。
じっ……と問い詰めてくる
「少しだけ話はしたけど……触られてはいないわよ?」
「それはわかってる」
尚もじーっと見つめてくる
「眉間の皺、取れなくなっちゃうわよ」
むっすーとした
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