第2話 音崎麗
板倉大地
「結局、入部したんですか」翌日の昼、圭一が僕に聞いた。
「あのね...彼らはどうしても僕を入団させたかったんだ。 結局、断れなかった。 それに...。 本来の目的であるカウンセリングを受けるのを忘れてしまったんだ」
圭一はしばらく私を見た後、満面の笑みを浮かべた。
「板倉、ついに君の時代が来たようだ」。
「どういう意味ですか?」
「君はついにクラブに入ったんだ。 彼女を作るための第一段階はクリアした。」
「ナイスジョーク」
この男、いつもの戯言か......。
「私の言うことが信じられないのなら、賭けをしようじゃないか。 3ヶ月以内に大地は必ず彼女を作る」。
「いいよ。 もし僕ができなかったら、君はガールフレンドにイタズラして、浮気してるって言わなきゃいけないんだ」。
「俺を殺す気か?」
今の圭一の顔は、まるで幽霊でも見たかのようだった。 とにかく、私はすぐに彼を落ち着かせるために、冗談だと断言した。
時計は午後3時......。
授業が終わった後、私は部室に行った。 これは私にとって新しい経験だった。 初めて部員になったのだ。 正直、少し興奮した。
「入ってもいいですか」私はゆっくりとドアを開けた。
「はい」と聞き慣れない男性の声がした。
入ってみると、橘先輩も矢波さんもいない。 ただ一人、椅子に座ってスマホを見ている男がいた。 その男はかなりイケメンで筋肉質だった。
これが「ハジメ・コウジロウ」? 圭一が話していたもう一人の先輩?
顔を上げて私に気づくと、彼は尋ねた、
「はい?」
「あの...。 板倉大地です。 新メンバーの...」
「ああ、そうですか。 立花から君のことは聞いている。 座って、他のメンバーも来るから」。
最初は少し怖かったが、先輩がとても気さくそうだったので安心した。
僕はテーブルの反対側に座ろうとしたが、ハジメ先輩が横に座るように指示した。
「よぉジュニア、見せたいものがあるんだ」
「ああ、いいよ」
「今までクラブに男がいなかったから、いつも退屈していたんだ。」
「そうだね!」
目に涙が...。 こんな気さくな先輩がクラブにいるとは思わなかった。 本当にラッキーだった。 一方、ハジメ先輩はスマホで何かを見せようと準備していた。
「見てみて、どれが一番いい?」と画面を見せながら聞いてきた。
画面には3人のアニメ少年が映っていた。 服装を見ると、どこかの王子様?
ハジメ先輩が何を聞いているのかよくわからなかった。 これは何かのゲームなのだろうか?
「うーん......3人目の男の子はかっこよく見えるけど、何のゲームなんだろう?」
「そうなんですか? すごい、考え方が一致してる。 僕も3番が一番いいと思う」と、ハジメ先輩は興奮気味に話していた。
「そうだけど、これは何? ゲームですか?」
「僕の大好きなデートシムだよ!」
「そうなんだ。 待てよ。」
デートシム?
私は改めて先輩を見た。 こんなイケメンでムキムキの男がデートシムをやっているなんて......漫画やアニメでしか見たことのない「ギャップ萌え」だ。
ちょっと意外な気もするけど、デートシムって10代に人気だし、ありえない話じゃない。
でも、ちょっと待って。
普通、デート・シムには複数の女の子が登場するもの? でも、ここでは複数の男しか出てこない?
いや、そんなはずは...。
「あの...先輩...このゲームって...もしかして...乙女ゲームですか?」
「え?もちろんですよ。」
ハジメ先輩は淡々と答えた。
「......」
僕は改めて先輩を見た。 こんなイケメンでムキムキの男が乙女ゲームなんて......漫画でもアニメでも見たことのないギャップ萌えだ。
「後輩ちゃんもやる?」
「いや、大丈夫!あ、私はあっち側に座った方がいいと思うんだけど…」
私が逃げようとすると、ハジメ先輩が私の手を掴んだ。
「ねぇ、一緒にやろうよ」
「あ、いえ......大丈夫です」
「いいじゃん、楽しいんだから」
「ハジメ!ダイくんを放っておいて!」
そしてついに、立花先輩が私の救世主として入ってきた。
「あ、大地とこのゲームしてたんだ」
「大くん にちょっかいを出すのはやめなさい。 それに携帯ゲームはここでやっちゃいけないんだよ」
「ああ、残酷だな、橘!」
ハジメ先輩はがっかりした様子で私のもとを去った。 私は橘先輩の横に座った。
「大くん、小次郎肇です。 もうお知り合いでしょう。 ところで、肇は大君の邪魔をしないでくれ。」
「まるで私たちの母親みたいじゃないですか」
肇先輩は橘先輩に口を尖らせた。
その瞬間、ドアが開き、ショートヘアの女の子が入ってきた。 まだ来ていなかった八奈見さんではない。
紫色の髪の女の子は、矢波さんよりほんの少し背が低かった。 髪の切り方がとてもかわいかった。
「参ってもいいですか?"と彼女は尋ねた。」
「ここに座って、あなたの悩みを聞かせてください」と橘先輩が答えた。
この子は見たことがある。 彼女は私と同じ2年生だったが、クラスは違った。 その女の子は椅子を取り、私の右側に座った。 私は彼女を近くから観察することができた。
別に変な意味で彼女を観察していたわけじゃないよ?
「うーん......」彼女はなぜか落ち着かない様子だった。
橘先輩が「言いにくいことですか? 」
「ううん、そんなことないけど、お願いだから他の人には言わないで。 」
「もちろんです! こんなこと聞かなくても。」
「わかった。 私の名前は乙崎玲。 2年D組です」と彼女は話し始めた。
みんなうなずいた。
同じクラスに『白金倫太郎』という男がいる。 私の幼なじみです。 私...彼のことが好きなんです"
みんなうなずいた。
「『桜井由美子』という女の子もいる。 私は...彼女のことを絶対に軽蔑しています」
今度は......誰も頷かなかった。
突然、あどけなさの残る乙崎さんが怖いオーラを放った。 そして全員の顔に汗が吹き出た。
橘先輩が「乙埼さん、もう少し詳しく話してもらえますか?
「もちろん...子供の頃から倫太郎のことが好きでした。 いつも一緒にいました。 でも、告白する勇気が出なかった。 実際、告白することが重要だとも思っていなかった。なぜなら、彼はいつも一緒にいてくれるという自信があったからだ。 でも今は......」
「でも、今は?」と私は尋ねた。
「でも今は......あの由美子って女が......倫太郎が私より由美子と過ごすように、きっと黒魔術をかけたんだ!」。
「乙埼さん、二人はただの友達かもしれないよ......可能性はあるんじゃない?」と、私は彼女をなだめようとした。
「私もそう思ってた......由美子本人が倫太郎のこと好きだって言うまでは......」
気にしないで...。 私は間違っていた。
彼女は今、実際に炎を放っていた。 部屋の温度はサハラ砂漠を超えているようだった。 女の子って本当に怖い。
「あの女! 私を倫太郎に近づく手助けをしてくれる友達だとでも思っているのだろうか! バカにしてるのか?」
「あの...それで、今どうしたいんですか?"と橘先輩がなんとなく聞いてきた。」
「そうなんです。 ジレンマがあるんだ。 どの選択肢を選べばいいか教えてくれませんか?」
「選択肢って?」
「由美子と仲良しになって、倫太郎に告白する方法を教えてあげる...。 それとも...」
「それとも?」
と私は尋ねた。
「それとも......あの子を殺すべきか?」
彼女は悪魔のような笑みを浮かべて私を見た。 それは美しく、同時に恐ろしかった。
人の恋の悩みを解決しようと「恋愛相談部」に入ったら、自分のラブコメを作ってしまった @Terrible_Writer
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