第29話 仲間と話し合い
ヨゾラさんとユリアさんが正式に仲間になったので、バーベキューの後は、戦い方などの確認をすることにした。
まずはヨゾラさん達の戦い方を聞いてみた。
「私達の戦い方は、強い相手には私がドーム状の結界を張って二人で入って、結界の中から闇魔法で敵の魔法防御を下げたり目つぶししたりして、ユリアの雷魔法で倒すという感じよ。」
「結界の中から自由に攻撃できるんですか?」
「ドーム結界は通過する対象を設定できるわ。敵の攻撃を防ぎながら一方的に攻撃できるわよ。」 強すぎだろ。
「それは強いですね。もはや剣もいらなそうです。」
「いえ剣は必須よ。レベル上げのためのソロ討伐に必要だし、ザコ相手のMP節約とか時間短縮にも必要よ。闇魔法は攻撃が弱いしドーム結界はMP消費も多いから。」
なるほどな。無敵ならソロ討伐できるけど、闇魔法は攻撃が弱いから剣で倒すんだな。あとゴブリンとかに魔法使ってたらMPがもたないもんな。ドレインしてもMP少なそうだし。
ドーム結界をさらに詳しく教えてもらった。
・半径2メートルくらいのドーム状で大きさや形状は変えられない。
・自分を中心にしか張れない。ドームは動かせない。
・張ったあと自分は動ける。一応ドームから出ることも可能。
・ドームを張っている時は、体の結界は消える。なので基本ドームからは出ない。
・1つしか出せない。消してすぐ張り直しは可能。
こんなところだ。
体の結界が消えるのでドーム内に敵が入ると危険だ。敵が近くにいる時は使えないな。あと結界を使って切断とかはできないらしい。結界を張った時に境界上にいたり通過中に設定を変えたりしても境界上の物は影響ないらしい。まあ味方を間違って切断したりしない安全設計なんだろう。
ドーム内から死体収納が使えるかも確認した。設定すれば使えるようだ。これで安全に死体収納が使えるな。あとやっぱり防げるようだ。もちろん配下で試した。ヨゾラさんに死体収納を試したりはしない。
防御系のユニークスキルには死体収納は効かないと思っておこう。
闇魔法も教えてもらった。
ダーク:一定範囲を暗くする。広さはMP消費量次第。
ナイトビジョン:暗いところでも目が見えるようになる。
ブラインド:敵の表面に黒いモヤをまとわりつかせて目を見えなくする。小ダメージあり。
HPドレイン:敵のHPを奪う。
MPドレイン:敵のMPを奪う。
各ステータスダウン:敵のステータスを下げる。小ダメージあり。
こんな感じだ。結構強そうだ。ただ敵に使う魔法は、黒い玉を飛ばして当てる必要があるようで、速い敵に当てるのは結構難しいらしい。
一番ダメージが多いのはHPドレインだけど、ヨゾラさんはほぼHPが減らないし、消費MPが多い割にダメージが低いので微妙だそうだ。
しかしダークとナイトビジョンはかなり使えるかもしれない。ダークで日光を防げばどこでも配下が使えるし、配下は暗視を持っている。ナイトビジョンを使ってもらえば俺も見える。見えれば暗い所でも死体収納が使える。めちゃくちゃ俺の死霊術士と相性が良いぞ。さすが闇魔法使いだ。同じ闇系統なだけある。
本来アンデッドは夜が活動時間なのに、俺が良く見えないと死体収納が使いにくいし転ぶし夜は危険だったんだよね。ナイトビジョンがあるなら夜活動しても良いな。まあ二人には嫌がられそうだけど。普通は夜は寝たいからな。美容と健康に良くない。
しかしヨゾラさんは全然闇っぽい性格じゃないのに何で闇魔法使いにされたんだ? ああ見えて心に闇をかかえているのか? ・・・単に名前が夜空だからな気がするな。神の配下は適当そうだったし。相性とはなんだったのか。まあいいや。
ユリアさんの雷魔法も聞いてみよう。
ユリアさんはこちらの話よりつのっちに夢中だ。ふやけた顔をしている。真面目な子かと思っていたが、どうやら残念な子だったらしい。聞いて大丈夫かな・・・
「ユリアさんの雷魔法はどんな感じですか? 強そうなイメージがありますけど。」
「え? あ、はい。その、雷魔法の特徴は、威力が強いのと、当たるとしばらく痺れて動けなくなるのと、凄く速いので躱しにくいのと、あの・・・」
「おお~、凄く強いですね。」 聞く限りとにかく強い感じだが。
「あの、でも制御が難しくて。」 なんだ?
「雷魔法は敵の近くに剣とか槍とか持った仲間がいると、避雷針みたいになってそっちに当たっちゃうのよね。」 ヨゾラさんが説明してくれた。
「え?! そ、そうなんですね。」 フレンドリーファイアかよ! ・・・雷だし剣に落ちるのも仕方ないのか?
「魔族なのもあるけど、それもあってパーティー組めなかったのよ。でも私は当たっても大丈夫だから組むことができたってわけ。」
「は~なるほど。」 無敵なら大丈夫だもんな。でも確かに戦闘中に大ダメージで動けなくなったら死ぬから普通は組めないな。でも良く考えるとゲームと違って現実だと魔法はフレンドリーファイア問題があって当たり前か。銃や手榴弾みたいな物だしな。軍隊みたいにちゃんと連携すれば問題ない気もするが、軍隊レベルの訓練なんてしないだろうから難しいのかもな。
「そ、そうなんです。すみません。だから迷惑かけちゃうかもしれなくて・・・」 落ちこんでいるようだ。
「もう!ユリア!こいつは後衛だから大丈夫よ!それにあんたが仲間になりたそうにしてたんじゃない!しっかりしなさい!」 そうだぞ。仲間になりたそうにしてくれてありがとう。
「うう、つのっちちゃんがかわいくて・・ごめんなさい。」 つのっちは罪な兎だ。
「いえいえ。仲間になってくれて凄く嬉しいですよ。それに、私は前に出ないですし、前に出る配下も体が真っ二つになっても死なないアンデッドなので、当たっても回復すれば大丈夫です。気にせず撃っちゃってください。」
「え? 体が真っ二つになっても死なないの?」 ヨゾラさんが驚いている。
「そうです。グレイが真っ二つにされたときは、死んだと思ってお墓を作ろうとしたら生きてました。いやアンデッドなので死んでますが。」
「グレイちゃんが?!」 ユリアさんが驚く。
「ええ、冒険者に襲われた時に。あの時は悲しかったな。」 襲われた話はしてある。
「この世界の男冒険者は本当にろくでもないわよね。私もユリアも撃退できるから良いけど、他の人たちは大丈夫かしら。」
どうやらユリアさんも襲われたことがあるらしい。大丈夫だったのだろうか。この感じだと大丈夫だったのだろう。
「ユリアさんも近接戦闘ができるんですか?」 あまり襲われた話を女性に聞くのは良くないが、戦えるか確認は必要だ。
「は、はい。一応魔法で・・」
「雷魔法には、スタンガンみたいな魔法があるのよ。痺れるし威力も高いからね。襲ったら痛い目見るわよ。」
「ハハハ。襲ったりしませんよ。」 ・・・気を付けよう。
しかし二人はおそらく襲ってきた相手を殺してしまったことがあるのだろう。だから俺が人を殺して配下にしていることを、こんなにあっさり受け入れているのではないだろうか。普通ならもうちょっと抵抗があるだろうからな。逆に人を殺してしまった者同士の仲間意識みたいなものを感じているのかもしれない。まあとても聞くことはできないが。
その後、戦い方を話し合い、俺達が強敵と出会った時は、3人でドーム結界内に入り、敵が近づいてくれば死体収納で倒し、近づいてこなければ、闇魔法と雷魔法と配下で倒す。ということになった。状況に応じてダークやナイトビジョンも使う。
ヨゾラさんのMPが切れない限り負けが無い戦術だ。強すぎだ。近づいてくれれば魔王にも勝てるんじゃないか? ・・・いや魔王は防御系ユニークスキルくらい持っているかもしれないな。魔王じゃなくても強い敵に遠距離から持久戦されたら負けか。慢心しないようにしよう。
話し合いも終わり、今日は解散となった。
明日は俺が今やっているカニと亀の魔物を一緒に倒しに行くことに決め、配下に町まで二人を送らせた。
当然泊まっていけなどと言えるわけもなく、むこうもそんなことは言わない。ユリアさんはつのっちから離れがたそうにしていたが。
ちなみに俺は今回かなりがんばったが、二人のどちらかを恋人にしたいわけではない。
二人とも俺の好みからは少々外れているし、非モテの俺は高確率でフラれるだろう。フラれて気まずくなってパーティー解散するのは嫌だ。
魅力をまったく感じないわけではないが、変な気は起こさず仲間としてうまくやっていこうと思う。今の俺には彼女より仲間と無敵バリアと寿司の方が大事だ。
配下たちのおかげで、今のところ大成功だしな。欲をかいてはいけない。俺は分をわきまえている。 ・・・ぐぬぬ。いや何でもない。
日が沈み寒くなったので家に入り、暖炉に火を灯した。
パチパチと音をならす炎を見つめながら、穏やかで静かな夜を過ごした。
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