第17話

太陽が落ち、月が昇り始めた。私は、町の方を向く。

「日向、ミト」

日向は頷いた。ミトはプルンと動いた。



予想通り、町は魔物でいっぱいだった。ゾンビが多い。9割くらいはゾンビなんじゃないかな。

「魔物は全部倒して、生存者は救出ってことで」

「おー。」

魔法はあまり使わないでおこっと。生存者まで巻き込んだらだめだからね。本当は使いたい。流星スターからの落星メテオライトで町を消滅させたい。1体1体倒すのは面倒くさい。うう……頑張るぞー。



「せい!や!ほ!ぜぃや!せぁあ!……ふぅ……これで500体くらいは倒したかな。」

生存者はいないか……。

「ミトもありがとね。」

『どういたしまして!これくらいは余裕だよ!』

喋るんだった。びっくりしたー。

「だいたいは終わったね。」

「そうだね」

「ふえ!?」

いつの間にか後ろに……

「びっくりしたぁ」

「だいたい終わったよ。」

「じゃあ出ようか。もうここに来たくない。」

「そうだね。」



・・・



――3日後――


「あ、」

家が見えてきた。ほとんど歩きっぱなしで疲れたー。



看板にはこう書かれていた。

『ヨヒス村』


「……良い村だね。」

「そうだね。」

なんでだろう。少しだけ、懐かしい気がする。


太陽が沈みかけているから宿を見つけ、1部屋借りた。

宿屋の受付に気になる絵があった。黒を背景に、ドラゴンと、3人の人が描かれている。女性が2人、男性が1人のように見える。周りを見ると、同じような絵が飾られている。ドラゴンが描かれているのはこの絵だけ。他の絵はイノシシ、カエル、トラ、ライオン。同じように人が3人描かれている。

どこかで見たことのある光景だなと思いつつ受付の人に尋ねてみる。

「あの、これらの絵ってどのような絵なんですか?」

「これらの絵はですね、昔の伝承を元に作られている絵で、3人の勇者様が洞窟の主であるドラゴンを倒し、村に平和をもたらしたと言う伝承なんです。この村の名前も、その勇者様の名前から取らせていただいたと聞きました。」

「そうなんですか。」

3人の勇者といえば、この世界ではリュウカイとソウカとカケルが有名だけど、ヨもヒもスもついてない。そして、この魔物の組み合わせは――。


部屋で日向と話す。

「この村って」

「夜月も気付いたんだ。」

「やっぱり日向も?」

「あの絵で気付かないわけないよ。」

「だよね。」

この村は私達が初めてこの世界に来た時に目覚めた場所。風景とか、変わった部分は多いけど、懐かしい気がしたのはこのためだったんだ。


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