第16話

探索終了。目ぼしいものは無しっと。でも、賑やかで活気があった。皆、幸せそうだったなぁ。町並みも綺麗で、ゴミが落ちてなくて、路地裏に人がいなくて、皆不自由してない。良い町だ。でも―――

「夜月。」

「……日向、早くこの町から出よう。」

「そう言うと思ってた。」

――この町は、おかしい。


売り物が、ほとんどない。あるとしても、腐っている。人々の会話は成立していない。皆エガオで、痩せ細っている。そして、靴を履いてなくて、どこかに血がついている。

おかしい。誰もが気づくおかしさだ。


だから、夜まで待つ。町から離れた場所で。


・・・


「さて。暇を潰したい。」

待っている間の暇潰し〜

「そう言えば、テイムのスキル」

「一回も使ってないね。」

「魔物探してみな?」

「んー、そーするー。」


どこかにいないかなー。スライムが良いな。かわいいし。癒しといえばスライムでしょ!触るとどんな感じだろ?気になる〜!


ハッ!あれは!?見つけた!

近づいて、

「こんにちは。」

スライムはポヨポヨ跳ねている。

「何考えてるのか分からないや。」

スライムはポヨポヨ跳ねている。

「跳ねてるだけじゃわかんないよ〜。」

スライムはポヨポヨ跳ねている。

「…おいで?」

スライムは手の上に乗ってきた。

「手のひらサイズ...!かわいい!冷たくてぷるぷるしてる!」

スライムは夜月の方を見ている。

「…?テイム。」

スライムが輝き出した!

「うわ!?」

スライムが仲間になった!

「…これで良いのかな?」

名前を決めないとね。うーん…そうだな〜…青くて、きれいで…まるで、海みたいな……海…sea……いや、違うなー。

スライムはぷるぷるしてる。

ゼリー?プリン?うーん……違う気がする。

普通の人名を考えてみよっと。

海…うーん……海斗?水斗?違う気がする。……ミト……これだ!

「ミト!君の名前はミトだよ!よろしくね、ミト。」

スライムは1回転した。

「嬉しいのかな?かわいい。」



ミトと一緒に日向のところに向かった。

「戻ったよー」

「おかえりー。あ、テイムできたんだ。名前は?」

「ミト。」

「良いじゃん。鑑定した?」

「あ、まだ。鑑定。」


【ミト】

〈種族〉

イルスライム

〈マナ〉

50000/50000

〈スキル〉

メルト

リカバリー

全語理解

〈持ち物〉

テイムの証


テイムの証?えーっと、テイマーの腕輪でテイムした魔物をしまうことができる…。このテイムの証で認識するみたい。そういえばイヨも腕輪をつけてたな〜。アイテムボックスに入ってるわけ…………入ってる!?と、とりあえず付けとこ。


「うーん……どうやったら強くなるんだろ?」

「全語理解って」

「全ての言葉を理解できるだけのスキルでしょ?」

「すごくない?」

「ミト、話せないし、」

『僕、話せるよ?』

「え?頭に声が」

『ついさっき思念伝達のスキルを手に入れたんだよ!』

「すご」

「え、なんで」

『僕はあるじのマナを浴びることで少しづつ強くなるんだ。もちろん、他の魔物と戦うことでも強くなるけどね♪』

「そうなんだ。じゃあ肩に乗っててよ。そしたらたくさんマナを浴びれると思うよ?」

『はーい!』


………かわいい

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