第13話 好奇心での尾行

 ……全く、外が暗いのにサングラスだけは外さないのね。

 あかねは二人組の後を追って、物陰に隠れて尾行をしていた。

彼らは繁華街を抜けて、徐々に人通りの少ない場所に入っていく。あかねも辺りを確認してそれに続いていく。


 あかねの右側には築何十年か分からない古い住宅地の蛍光灯が所々切れているのがあるのだが、その場所にはいかず、左の方に入っていった。さらに暗い場所に入っていく。

 やがて、彼らは誰もいない、廃墟ビルの一角に入っていこうとしたのだが、確認の辺りを見渡す。あかねは思わず近くの壁に隠れ、そっと左目だけ二人の様子を伺う。


「……」

 何やら話声が聞こえる。何の話をしているのかは、あかねには聞き取れない。

 二人はようやく中に入った。あかねは抜き足差し足で、ようやく彼らが入った廃墟のビルまで来た。


 周りは完全に暗い。こんなところにビルなんてあったんだ。あかねは見上げてみるが、電気なんてついていない。

 この中に入って、何をしているのだろうか。

 ……建築会社の人じゃないよね。


 あかねは何となく怖くなり、身震いした。こんな時に助手の飯野真がいれば、また心強いのだが……。

 あかねは少しだけ、中で何が行われているのか知りたかった。ゆっくりと重たく感じるドアを手前に引いて開けようとするのだが、何も見えない。


 と、その時、ザッと何か後ろから足音が聞こえた。ハッとしたあかねは後ろを振り返ることも出来ずに、そのまま柔らかい布で鼻を覆われて何かを嗅がされた。

 ……これは、以前女子高生首吊り事件で使われたクロロホルム?

 あかねはそのことが分かると同時に、力が無くなり倒れ込んで、一瞬にして目の前が真っ暗になって瞼を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る