第33話「天才少女の有言実行」
「ああ、椿くん。おはよー。昨日は……と言うより、いつも大変だねー。」
「おはよう、遊佐さん。本当にな……。GWまでは平穏に過ごせればいいんだが……。」
いつも通り、薫に挨拶してから座る。最初は教室にいるのも気を遣ったが、今はそこまででもない。
どんな状況でも、人は何だかんだ慣れるらしい。
「………?」
ふと、違和感に気付く。
薫が座ってる席とは反対側の隣の席に人がいない。正確に言えば、いつも座ってる女子がもう一つ隣にずれているのだ。
「ああ、今日転校生が来るみたいだよ?」
「この時期にか?俺も、という俺の方が特殊なのは自覚あるが、それにしても大分変な時期だな。」
「そうだよね……。するにしてもGW明けの方がまだ余裕ありそうなのに。」
薫はぱちりとした目を胡乱げに細めながら顎に指を当てて考え込んでいる。
2人して変なタイミングだと考えていると、チャイムが鳴り、暫くして慧が教室に入ってきて開口一番、皆が知りたい事を口にする。
「皆おはようございます。えっと……今日からこのクラスに新しく転校生の子がいらっしゃいます。……皆さん、仲良くしてあげてくださいね?」
転校生の事を伝えてきた慧が、気のせいかもしれないが一瞬、奏の方を見てきていた。話をする時も何故かおかしそうにしていたし、何かあったのだろうか?
未だ状況が飲み込めていない奏だったが、数秒後、全てを知り頭を抱えることになるのは、この時の彼はまだ知る由がない。
「それでは、入ってきてください!」
教室の扉が開き、聖皇の制服を着た少女が教室に入ると同時に「ガンッ!!!」と大きな音が響いた。
周りの生徒が音の発生源に心配そうに目を向けてくる。
「ちょっと椿くん!?大丈夫!!?」
「大丈夫じゃねえ…………」
音の発生源である奏は額で大きな音を立てて机に突っ伏した。額が痛いと言えば痛いが、そんな事はどうでも良かった。
教室に入って来た転校生に明らかに見覚えがありすぎるのだ。
顔を上げて教卓の方を見るが、やはり見間違いなどではない。
「そ、それでは自己紹介をお願いします、ふふ……」
(この人、絶対学園長と同じ人種だ……。)
笑いを堪えられないのか、こちらに背を向ける慧からジト目で転校生を睨む。
彼女はいつも通りの無表情に、少しだけ柔らかい笑みを浮かべて口を開いた。
「本日から皆さんと一緒に過ごす事になる三上結月です。改めてよろしく。」
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一瞬だけでも読んでくれた方、いつも呼んでくださってる方々、ありがとうございます
m(_ _)m
今日はGWなので、ちょっとだけ多めに投稿します(^^)
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