番外編「代役は綾乃さん」
「ゆーちゃん!かむばーーーーっ、かっ!!?」
今週から月曜と木曜と…結月が聖皇で授業をする事が確定した。本日は月曜、特別講師初めての授業という事で、当然結月は居ないのだが一部の生徒が即座に中毒反応を発症し……そこに眉間目掛けて粉になる勢いでチョークが直撃し、当たった生徒が沈黙する。
「はいはい、駄目よ皆。授業開始一分もしてないのに中毒反応起こしたら。チョークが無くなっちゃう。」
手をパンパンと叩きながら手についたチョークの粉を落としてるのは養護教諭で奏の母親である
結月の代理として授業をしにきたのだ。
「だって!ゆーちゃん居ないんですよ!どうやって授業を――」
「あら、私が不満なのかしら?」
「いいえ、ご褒美です!先生、俺は何をしたらいいですか!」
「取り敢えずノートを開きなさい。あと教科書も。」
「先生!ノート持ってません!!」
「「「「俺(私)も!!!」」」」
「……今すぐ購買行って買ってきなさい。あの子はどんな授業……そう言えば座学してないって言ってたわね。」
ノートを持ってないと抜かした生徒達を購買に走らせ、結月の授業の特殊性に溜め息を吐く綾乃を見ながら、流人達はノートと教科書を出した。
「……そう言えば、俺らがノートと教科書出したのって、最後いつだっけ?」
「テスト勉強でも何故か出さないから………記憶が正しければ、一年の科学の授業の初日で出しただけどな……。」
「………やっぱ、そうだよな……。」
と言うか、そもそもノートは白紙だし、何なら科学に関しては一年の頃から一度も買い足してすらいない。
「さて、と……ゆーちゃんの話してた辺りと照らし合わせると確かこの辺……、あら貴方は確かゆーちゃんの作った……」
『お初にお目にかかります。我が母によってこの世に生を受けたハルトと申します。貴方の御子息には其の節は大変お世話になりました。心よりお礼を申し上げます。今回は母に依頼され、授業のサポートをさせて頂きます。』
「まあ……何とご親切に。はじめまして、純の
母で綾乃といいます。これからも息子と仲良くしてね?」
綾乃はいつの間にか会話できるようになった人体模型のハルト君と挨拶をしてから、授業を始める。綾乃が授業内容を黒板に書き出していき、ハルト君が難しい部分の補足をしていく理想的な形だった。
「続いて………なんでみんな泣いてるのかしら?」
「先生……だって初めてですよ!?ちゃんと席に座って教科書広げてノート取るなんて!しかも綾乃先生の授業分かりやすいし!」
「……それはそれでどうかと思うのだけど……あの子、本当に何をどうしたらあんな奇跡起こせるのかしら……。けど、そう言ってもらえるのは嬉しいわ。ゆーちゃんの居ない時限定だけど、ちゃんと授業しましょうね?」
「「「「はい!!」」」」
「なあ、圭一。」
「何だ?」
お互い、黒板の内容、ハルト君の解説をノートにまとめているが、ある疑問が解消できなかった。
「どうして、みんな人体模型がしれっと会話に混ざって授業してるのをツッコまないんだろう……」
「……気にしたら負けなんだよ。」
気にしたら負けだ。圭一にそう言われ、流人もそうかもな、と再び黒板に目を向けるのだった。
―――――――――――――――――――――
皆さん、いつもありがとうございます。
時計屋です。
予定通り今回の更新で、(たぶん)最後のヒロインであるゆーちゃんこと結月が出てきました(笑)
ここからの更新は、一日に(たぶん)一回の更新になると思います。
また、コメントやレビュー、フォロー、いいねをくださった方にはいつも頭が上がらない思いでいっぱいです。m(_ _)m
少しでも覗いてくださる方にも勿論感謝しかありません。
これからもどうか、よろしくお願いします。
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